今後は電動クラスの設置も視野に入れ、より一層環境に配慮した大会を目指していく
「Honda エコ マイレッジチャレンジ」は、ホンダ・スーパーカブ50などに搭載されている4ストローク50ccエンジン(※)をベースに、学生から一般までの参加者が手作りのマシンで燃費効率を競う大会。実際の競技では、規定周回数(距離)を決められた時間の中で走行し、燃料消費量から「燃費」を算出して、その燃費性能の高さを競う。各チームは独創的なアイデアと技術力を駆使し、マシンの設計や形状、走り方など、燃費向上のためにあらゆる要素において効率を高めることを目指す。エンジニアを目指す若者の夢の実現を後押ししたい、また、ものづくりの喜びを体験してほしいという思いから、1981年に始まったこの大会は今年で43回目を迎え、のべ1万5000チーム以上が参加している。
※ニューチャレンジクラスのみホンダ4ストローク 50cc以上150cc以下
ホンダは2050年カーボンニュートラル実現に向け、ホンダに関わるすべての製品と企業活動の環境負荷低減に取り組んでいる。「Honda エコ マイレッジチャレンジ」においても、今回新たに植物由来のバイオマスを原料としたカーボンニュートラル燃料を採用し、これまで以上に環境に優しいモータースポーツに進化させている。
今回の導入に先駆け、昨年度の全国大会では2チームによるエキシビション走行を実施。カーボンニュートラル燃料に初めて触れる参加者に向けた講座や、参加者間の意見交換の機会を設け、ものづくりの喜びや、目標に向けて仲間とともにチャレンジする楽しさを伝えるとともに、若い世代の環境意識醸成とカーボンニュートラル燃料の認知拡大・理解促進にも取り組んでいる。今後は、電動クラスの設置も視野に入れ、より一層環境に配慮した大会を目指していく方針だ。
同大会の会長を務めるホンダの加藤稔執行役はこのようにコメントしている。
「ホンダの原点であるものづくりの喜びを体感できる『Honda エコ マイレッジチャレンジ』は、1981年の開始以来、多くの方にご参加いただいています。中には学生時代に参加し、現在エンジニアとして活躍している方々もいることをうれしく思います。カーボンニュートラル燃料での走行は非常に難易度が高い挑戦ですが、真にエコな大会を目指して、ホンダはこれからも参加者の皆さんとともに、環境負荷ゼロへのチャレンジを続けていきたいと思います」
■「Honda エコ マイレッジチャレンジ2024(第43回 本田宗一郎杯)」実績
●ハイオク燃料クラス
・参加チーム数:165
・最優秀賞:3010.105km/L
●カーボンニュートラル燃料クラス
・参加チーム数:57
・最優秀賞:2516.072km/L
■「Honda エコ マイレッジチャレンジ」の歴史
ホンダは創業以来、積極的に環境課題の解決に取り組んできた。1958年にスーパーカブ C100を発売。運転が簡単で機動力が良いことから、通学や商店の配達用途など、世界中多くの方々に愛用された。1970年代には低公害の「CVCC(※)エンジン」を開発し、当時世界で最も厳しい自動車の排出ガス規制といわれた米国マスキー法に世界で初めて適合。1983年には180km/Lの燃費を実現したスーパーカブ50スーパーカスタムを発売し、大きな注目を集めた。
環境への取り組みは自社製品の燃費向上にとどまらず、モータースポーツにも広がった。若い世代の環境意識醸成を目指し、1981年に鈴鹿サーキット(三重県)と桶川特設会場(埼玉県)で、Honda エコ マイレッジチャレンジの前身となる「Hondaエコノパワー燃費競技大会」が始まった。
初年度の最高記録は、鈴鹿コースで292km/L、桶川の高速訓練コースで621km/L。回を重ねるごとに記録は向上し、第5回大会(1985年)に1000km/Lを突破すると、第14回大会(1994年)には3000km/Lの壁を越え、第31回大会(2011年)には現在の大会記録である3644.869km/Lを達成した。
燃費向上のための最大の課題は車体の小型化と軽量化。車体の剛性を保ちながらボディをスリム化し、空気抵抗を低減するため流線形に設計・制作を行う。また、走行中のチーム内でのコミュニケーションも重要なポイントだ。ドライバーとチームメンバーが密に連絡を取り、スピードの緩急やエンジン停止タイミングなどを調整する。
高校生クラスや専門学校・大学生クラスに加え、2005年からは中学生クラスも新設。より若い世代にも仲間とともにチャレンジする機会を提供している。のべ参加台数は1万5968台、参加者数は約8万人にのぼる。
※Compound Vortex Controlled Combustion(複合 渦流調整燃焼方式)の略