フロンクスのコンセプトは「扱いやすいクーペスタイルSUV」
インドで生産され、日本に輸入される新型コンパクトSUVのフロンクス。そのアピールポイントはズバリ、4つある。まずは、スタイリッシュで上質な内外装に注目だ。エクステリアは、2段式のヘッドライト類、なだからに下降するルーフライン、樹脂製フェンダーアーチ+ブリスターフェンダーのダブルフェンダーなどが見どころ。足元を彩る16インチアルミホイールも、外周の切削部分に段差のあるステップリムをスズキの国内モデルで初採用している。
インテリアは、ブラック×ボルドーのエレガントな配色が魅力。インパネのミドル部分には、金属フレームを表現した高輝度シルバー塗装を施すほか、レザー調とファブリックを組み合わせたシート表皮、レザー調ドアアームレストなど、上質感も上々だ。
続いてのポイントは、取り回しやすいサイズ。フロンクスのボディサイズは、全長3995mm×全幅1765mm。インドの税制は4m以下の車両が優遇されるため、フロンクスも全長4m以下となっている。それでいて、全幅は日本の5ナンバーサイズにとらわれることなく、コンパクトSUVとしては広めなのが特徴。また、最小回転半径はソリオやスイフトと同等の4.8mに抑えられているとともに、全高は機械式立体駐車場に対応する1550mmというのも、狭い道や駐車場に悩まされれることが多い日本(特に都市部)のユーザーにとってはうれしいところだ。
3つめのポイントは、走行性能である。フロンクスは1.5L(K15C型)直列4気筒エンジン+マイルドハイブリッドを搭載。トランスミッションは6速ATが組み合わされる。日本仕様では、より国内の道路事情に合わせたサスペンションチューニングが施されているほか、スポーツモードをスズキの2WD車に初設定。さらに、4WD車も日本専用に設定し、4WD車にはヒルディセントコントロール、グリップコントロール、スノーモードも採用するなど、走りに関しても捻り鉢巻で開発されているのである。
最後のポイントは、充実した装備群だ。フロンクスは、電動パーキングブレーキやスマートフォンのワイヤレス充電器、前席シートヒーター、さらにナビゲーション(スマートフォン連携機能付き)まで標準装備。先進安全装備も充実しており、歩行者/自転車/自動二輪車を交差点でも検知する衝突被害軽減ブレーキ(デュアルセンサーブレーキサポートII)や、全車速追従機能・停止保持機能付きのアダプティブクルーズコントロール、車線維持支援機能も標準装備するのだから、このクラスとしては出色と言える。
フロンクスの価格は、FFが254万1000円、4WDが273万9000円。その額面だけを見れば、ライバルと目されるダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ、トヨタ・ヤリスクロス、ホンダWR-Vなどよりも高いと思われるかもしれない。しかし、こうした装備の充実ぶりを考慮すれば、むしろ、フロンクスのコスパの高さが際立ってくるのである。
スズキは今年4月、エスクードの日本販売を終えている。ということで、今後、スズキの国内SUVのフラッグシップは、このフロンクスが務めることとなるわけだ。その重責を担うに相応しい実力派であり、激戦区のBセグメント(全長3.8mから4.3m程度)SUVにおいても存在感を発揮する1台である。