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将来の戦闘機は無人機を率いて戦う
現在、日本はイギリス、イタリアと共同で次期戦闘機の開発計画「GCAP(グローバル・コンバット・エア・プログラム)」を進めている。2035年頃の配備を目指すもので、日本ではF-2戦闘機の後継と位置付けられている(詳しくは本年8月18日の記事を参照。
GCAP戦闘機は、現役機(F-35など)の「次の世代」の戦闘機であり、ステルス性能はもちろん、より一歩進んだ能力・機能を持つことになる。そうした機能のひとつが「複数の無人機との連携(チーミング)」であり、無人機が偵察から戦闘まで幅広い任務を遂行することが期待されている。防衛省では、この無人機を「戦闘支援無人機」と呼び、実用化に向けた研究を進めている。
三菱重工の「戦闘支援無人機コンセプト」
では、今回展示された三菱重工の模型を見てみよう。ステルス性を追求した「のっぺり」としたデザインで、当然ながらコックピットは存在しない。模型の全長は、おおよそ1m強。1/10スケールであり、実機は11~12m程度になるようだ。「戦闘機に随伴する無人機」と聞くと小型なものをイメージしがちだが、F-35(約15m)やF-22(約20m)と比較しても、意外に大きい。三菱重工の担当者によれば、有人戦闘機と同じ武装(ミサイルなど)を搭載することを考えると、それなりの大きさの機体が必要とのことだ。
また、今回の展示では、役割(攻撃/偵察)ごとに主翼や兵装を変更するモジュール設計や、民生部品や民間生産技術の転用による生産性の向上といったアイデアも示されていた。場合によっては「使い捨て」にされる無人機だけに、機能性だけでなく低価格であることも重要なのだ。
なお、注意したいのは、本機は「三菱のコンセプト」であり、そのまま自衛隊に採用されるわけではないことだ。防衛省の戦闘支援無人機に向けた取り組みは、いまだ要素技術研究の段階であり、具体的な用途や性能の決定、そして機体設計は、まだまだ先の話となる(三菱重工は、要素技術研究のうち、AI開発などを受注している)。今回展示された模型は、現時点におけるアイデアのひとつ…と考えておくべきだろう。