メルセデス・ベンツのバッテリーリサイクル工場は、バッテリーモジュールの破砕から乾燥、活性バッテリー材料の処理まで、すべての工程をカバーするヨーロッパ初の施設だ。機械的プロセスでは、プラスチック、銅、アルミニウム、鉄を複雑な多段階プロセスで選別・分離を行い、その後の湿式冶金プロセスでは、いわゆる「ブラックマテリアル」が処理される。これらは、バッテリーセルの電極を構成する活物質だ。コバルト、ニッケル、リチウムなどの有価金属は、多段階の化学プロセスで個別に抽出され、新しいバッテリーセルの生産に再利用される。
現在ヨーロッパで確立されている乾式冶金プロセスとは異なり、湿式冶金プロセスはエネルギー消費と材料の無駄が少ないという特徴がある。処理温度が最高でも80℃と低いため、エネルギー消費量も少なくて済む。さらに、メルセデス・ベンツのすべての生産工場と同様、このリサイクル工場も純炭素ニュートラルな方法で運営されている。6800平方メートルの建物の屋根部分には、ピーク出力350キロワット以上の太陽光発電システムが設置されており、工場は100%グリーン電力で運用されている。
メルセデス・ベンツは、バッテリーシステムの循環性に対して包括的なアプローチを取っており、循環型設計、価値維持、マテリアル・ループの3つを主要テーマとしている。電気自動車のメルセデス・ベンツのバッテリー生産は、3大陸にあるバッテリー工場で、カーボンニュートラルで行われており、現地でのバッテリー生産は、メルセデス・ベンツの持続可能なビジネス戦略の成功の鍵となる要素となっている。