「EV化はジムニーの本質に反する」……スズキ社長のコメントから“ジムニー電動化計画”の進捗を探る

スズキ ジムニー
スズキは11月4日、同ブランド初のバッテリーEVである「e VITARA」をイタリア・ミラノで初公開した。2023年初頭に電動化ロードマップの発表の際には、ヨーロッパ向けに完全電動のジムニーを開発中であることを認め、ジープのようなグリルの周りに新しいLEDヘッドライトグラフィックを備えた暗いシルエットをほのめかしていたが、鈴木俊宏社長はEV版ジムニーに否定的なコメントをしている。

スズキは先日、ブランド初のEVとなる「e VITARA(eビターラ)」を2025年春から生産し、同年夏ごろに発売すると発表したことで、ついに電動化の世界に足を踏み入れたが、主力SUV「ジムニー」の動向に関する情報を入手した。

スズキ ジムニー ピックアップトラック 予想CG

eビターラの登場により、ジムニーのフルエレクトリック化も期待されるが、鈴木俊宏社長は“ジムニーがすぐにEV化されることはない”と示唆しているという。

同氏によると、完全電動ジムニーは車両の本質と根本的に相反することになるといい、バッテリーの重量を重大な問題として挙げた。

「ジムニーEVについて語ると、ジムニーの一番いいところが台無しになってしまうと思います。ジムニーの核となる強みは適正な重量だと思います」

だがこのコメントは、2023年初頭に公式発表されたスズキの電動化ロードマップと矛盾している。当時、同社は欧州市場向けに完全電動のジムニーを開発中であることを認め、ジープのようなグリルの周りに新しいLEDヘッドライトグラフィックを備えた暗いシルエットをほのめかしていたのだが、どうやら開発が思うように進んでいない可能性もありそうだ。

スズキ ジムニー ピックアップトラック 予想CG

鈴木社長は、ジムニーの将来として代替燃料について考えを巡らせており、「ジムニーをプロ用ツールとして市場に提供し続けたいのであれば、e-fuel、つまりICE技術を活用したバイオ燃料が、現在考えられる一つの提案です」と言及した。これは、今後どんな規制上のハードルが待ち受けていようとも、ジムニーが何らかの形で内燃機関を維持する未来を暗示するものだ。

一方、現行型についても2018年のデビューから6年が経過しており、大幅改良がなされる可能性がありそうだ。また、このタイミングでマイルドハイブリッドまたは自己充電ハイブリッドパワートレインのオプションが追加するのではという情報も入っている。さらにはピックアップトラックバージョンの導入も噂されており、世代交代を前にラインナップが拡大する可能性がありそうだ。

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1965年東京文京区生まれ・世田谷区在住。INS通信社を経て1996年に独立し、車ニュース配信会社アポロニュー…