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■手軽でコンパクトなステーションワゴン、3代目ウイングロード
2005(平成17)年11月14日、日産自動車はコンパクトなステーションワゴン「ウイングロード」の3代目をデビューさせた。日産は、1996年に高級なステーションワゴン「ステージア」、安価でコンパクトな「ウイングロード」を投入したが、3代目ウイングロードが結果として日産最後のステーションワゴンとなってしまった(2024年11月現在)。
ステーションワゴンブームの中で登場したウイングロード
スバルの初代(1989年~)および2代目(1993年~)「レガシィ・ツーリングワゴン」の大ヒットで、1990年代は空前のステーションワゴンブームが起こった。日産は、1996年に高性能な高級ステーションワゴン「ステージア」と、安価でコンパクトなステーションワゴン「ウイングロード」を投入した。
ウイングロードは、「サニー カリフォルニア」と「サニーADワゴン」を統一する形で誕生。カルフォルニアとADよりもハッチゲートの傾斜を強めて、より乗用車的なイメージとなり、サイズやスタイリングはライバルの「カローラ・ツーリングワゴン」に近かった。
パワートレインは、1.5L(105ps)&1.8L(125ps)直4 DOHC、2.0L直4 SOHCディーゼル(76ps)の3種と、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式はFFをベースに日産が独自開発した「アテーサ4WD」が用意された。
ウイングロードはコンパクトで扱いやすい、そして安価なステーションワゴンとして存在感を示し、大ヒットとはならなかったが堅調な販売を記録した。
キープコンセプトながらスポーティさをアピールした3代目ウイングロード
1999年の2代目を経て、2005年11月のこの日に3代目ウイングロードがデビューした。
外観は“スタイリッシュ&高機能”をテーマにデザインされ、大胆なツリ目のヘッドライトを採用した躍動感のあるフロントフェイスに変わった。また、全体的なスタイリングも先代よりもスポーティさが強調された。
パワートレインは、それぞれのエンジンを新型に刷新し、ディーゼルエンジンは外された。具体的には、ノーマル系には1.5L(109ps)、エアロ系には1.8L(128ps)直4 DOHCエンジンを搭載し、トランスミッションは4速ATおよびCVTが組み合わされた。駆動方式はFFをベースに、モーターを後軸に配置したe-4WDも設定された。
車両価格は、FFの標準グレード(15RS)149.3万円~ハイグレード(18RXエアロ)189.2万円と先代同様安価な設定だった。すでにステーションワゴン市場は萎んでいた中、3代目の販売は当初は好調に滑り出したが、翌2007年以降、人気は減速してしまった。
その後もウイングロードは、商品力強化を図りながらモデルチェンジすることなく2018年に生産を終えた。2007年に高級ステーションワゴンのステージアがすでに生産を終了していたことから、ウイングロードが消えた今、日産からステーションワゴンは完全に消滅することになった。
上手くステーションワゴンブームに乗れなかったウイングロード
レジェンド・ツーリングワゴンがけん引したステーションワゴンブームは、高性能エンジンを搭載して人も荷物も運べてどこでも快適に走行できることが特徴。この人気に刺激を受けた他社も、日産「ステージア」、トヨタ「カルディナ」、「カローラフィールダー」、ホンダ「アコードワゴン」、「アヴァンシア」、三菱自動車「レグナム」、マツダ「アテンザスポーツワゴン」などを投入した。
日産は、高性能ワゴンはステージアに任せ、ウイングロードはコンパクトで使いやすい、安価なステーションワゴンで差別化を目指したが、ブームの中では地味に扱われて十分な存在感を示すことができなかった。さらに、200年にはより実用性に優れたミニバンブーム、さらにSUVブームと続き、ウイングロードには厳しい環境下での戦いとなったのだ。
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一大ブームを起こしたステーションワゴンの中で、ウイングロードは安価で扱いやすいコンパクトなワゴンという別の方向で訴求した。しかし、2000年を迎える頃にはコンパクトサイズやミディアムサイズのミニバンブームが到来、このブームに埋もれる形になってしまったのだろう。
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