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■パジェロの弟分、パジェロミニに続いたパジェロジュニア
1995(平成7)年11月20日、三菱自動車から人気の「パジェロ」の弟分、「パジェロミニ」に続いて「パジェロジュニア」がデビュー。パジェロジュニアは、パジェロミニをベースにしたコンパクトサイズのオフロード4WDだが、軽ベースだったため室内空間が狭いことが不評で人気は限定的だった。
大ヒットしたパジェロをシリーズ化したパジェロファミリー
1982年、三菱ジープの開発で培った技術を生かした新しいタイプのオフロード4WDのパジェロが誕生した。パジェロは、それまでの武骨なイメージの本格オフロード4WDとは異なる、悪路だけでなく一般路でも乗用車のように快適に走れるお洒落なオフロード4WD車として人気を獲得した。
1990年を迎える頃には、日本ではアウトドアブームが起こり、さらにパリ・ダカールラリーでの大活躍もあり、パジェロはRV(リクレーショナル・ビークル)ブームを巻き起こす空前の大ヒットモデルとなった。
三菱は、パジェロブームの勢いに乗ってパジェロのファミリー化を展開。まず第1弾として1994年に軽自動車のオフロード4WD「パジェロミニ」、翌1995年にコンパクトサイズのオフロード4WD「パジェロジュニア」を投入したのだ。
パジェロファミリー第1弾のパジェロミニ
1994年、パジェロの弟分の第1弾としてパジェロをスケールダウンした軽オフロード4WDのパジェロミニがデビュー。当時、軽のクロカン4WDはスズキ「ジムニー」の独壇場だったが、ジムニーのラダーフレームに対し、パジェロミニはモノコックボディで乗用車ライクな雰囲気で差別化した。
具体的なコンセプトは、パジェロ譲りのオフロード性能とオンロードのしなやかな走り、そして軽らしい取り回しの良さを追求することだった。
パワートレインは、軽としては当時珍しかった4気筒の660cc直4 SOHC&DOHCターボの2種エンジンと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFと4WDが用意され、パジェロ譲りの4WDの走行モードは2WD(後輪駆動)とハイ/ロー2タイプの3つのモードが選べるセレクティブ4WD方式が採用された。
ライバルであったジムニーは、本格的なオフロード性能を持ち、その分乗り心地はハードである。一方のパジェロミニは、オフロード性能に加えて都会的なソフトな雰囲気も持ち合わせていたので、その両方を求めていた層に支持され、ヒットモデルとなった。
パジェロファミリー第2弾がパジェロジュニア
パジェロジュニアデビューの翌1995年に、コンパクトサイズのパジェロジュニアが登場。パジェロジュニアは、コストと開発費を極力抑えるため、パジェロミニのプラットフォームを流用してトレッドを拡大し、オーバーフェンダーと太い大径タイヤでSUVらしさを強調した。
パワートレインは、最高出力80psを発揮する新開発の1.1L 直4 SOHCエンジンと5速MT/3速ATの組み合わせ、駆動方式は全車パートタイム4WD。小さなボディにパワーアップしたエンジンを搭載したパジェロジュニアは、一般路とオフロードで力強い走りを実現し、その点では高い評価を受けた。
車両価格は、134万~163万円。当時の大卒初任給は19.4万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で159万~193万円に相当する。しかし、軽のパジェロミニのプラットフォームを流用してサイズアップしたため、コンパクトカーSUVとしては室内空間が狭いといった中途半端な面が指摘されて販売は伸びなかった。
そこで、1998年のパジェロジュニア生産終了の3ヶ月後に、急遽パジェロジュニアの代替として「パジェロイオ」を投入。パジェロイオは、パジェロジュニアの反省を生かし、シャシーとボディを専用設計して人気を獲得した。
しかし、2000年を過ぎた頃にはRVブームも終焉を告げ、絶好調だったパジェロの勢いも減速。その結果、パジェロファミリーの人気も右肩下がりになり、2012年のパジェロミニの生産終了をもってファミリーも市場から撤退した。
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開発費や開発期間短縮のため、パジェロジュニアのように軽ベースでコンパクトカーを作った幾つかの例があるが、多くの場合安直で軽のイメージが払拭できず、市場で評価されなかったケースが多い。パジェロジュニアでなく、最初からパジェロイオを投入していれば、パジェロファミリーはもう少高いし評価を受けていたかもしれない。
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