使用する個所に合わせて“粘度”をセレクト

動きが鈍くなったり、きしみ音など異音が発生している場所にシュッとひと吹きするだけで解決できる防錆・潤滑スプレー。万能アイテムと思われがちだが、実際に使用してみると短時間で潤滑効果が失われたり、逆に動きが鈍くなったりすることも。実は防錆・潤滑スプレーには様々な種類があり、使用個所に合わせて使い分ける必要があるのだ。

防錆・潤滑スプレーの主な成分は、いわゆる“油”だが、種類によって“粘度”が異なっている。大きく分けると粘度の低い「サラサラタイプ」と、粘度の高い「グリースタイプ」の2種類。

前者のサラサラタイプは可動部分に浸透しやすく、清浄効果も得られるというメリットの反面、熱や荷重のかかる部分では効果が薄くなりやすいというデメリットがある。
一方グリースタイプは高荷重、高温個所でも高い粘度で油切れが起こりにくいが、軽い負荷部分では動きが鈍くなってしまうこともある。具体的にはドアのヒンジなどにはサラサラタイプ、スライドドアのレール部分やボンネットロックなどはグリースタイプを使用すると、長期間の潤滑効果が期待できるのだ。

また防錆剤やフッ素、溶剤などの配合成分によって錆止めや洗浄といったプラスαの効果も得られる。使用する個所に合わせて賢く使い分けよう。

Pro Staff WORKS『WS 防錆・潤滑スプレーF・2WAY(実勢価格:878円/税込)』
耐久性に優れたフッ素配合により、高い潤滑性能で可動部の動きをスムーズにできるほか、初期の錆なら落とすことができ、固着したネジの取り外しにも活用できるサラサラタイプの防錆・潤滑スプレー。使用個所に応じて拡散噴射とスポット噴射を使い分けられる2WAYノズルを装備。
Pro Staff WORKS『WS グリーススプレーM・2WAY(実勢価格:768円/税込)』
耐圧・耐熱・耐水性に優れた二硫化モリブデンを配合し、ベアリングやギヤなどのエンジン可動部やスライドドアのレール部など高荷重、高温部でも、油切れの心配もなく、長期間潤滑効果を持続できる高粘度のグリーススプレー。使用個所に応じて使い分けられる2WAYノズルも装備している。

強力洗浄なら溶剤タイプ、よりマルチに使いこなすなら無溶剤タイプがオススメ!

長年の使用でこびりついてしまった油汚れなどを強力に分解・洗浄してくれるのが、溶剤タイプのクリーナー。ギヤやサスペンション回り、キャブレターなどの洗浄で威力を発揮してくれるが、樹脂やゴムなど金属以外の素材を侵してしまう恐れもあるため、使用する際には注意が必要だ。しかし、エンジン始動中のキャブレター吸気口にそのまま直接吹き付ければ、スロットルニードルの目詰まりやこびりついたワニス(透明な茶色で接着剤のような不純物)、ガムカーボンなどを強力洗浄できるなど、金属パーツのお手入れに欠かせないアイテムなのだ。

一方、溶剤をまったく含有せず、金属部分はもちろん樹脂部品にも安心して使用できる、シリコンオイル配合の防錆・潤滑スプレーもガレージに常備しておきたいアイテムのひとつ。高荷重・高熱になる部分での使用には不向きだが、それ以外ならほとんどのシチュエーションで使用でき、昨今の樹脂部品を多用しているクルマに最適な潤滑スプレーなのである。

いずれもクルマのメンテナンスに必要不可欠なケミカルアイテムだが、使用するパーツの素材やシチュエーションに合わせて賢く使い分けることがポイントだ。たとえば燃料供給に、樹脂パーツを多用しているインジェクション車の洗浄に、溶剤タイプのクリーナーは御法度。また、シリコンオイル配合の防錆・潤滑スプレーは浸透力が強いため、ブレーキ回りで使用する際にはディスクブレーキなどに付着しないよう、細心の注意が必要だ。しかしながらいずれも、適切な個所で使用すれば、クルマのメンテで大活躍してくれること、間違いなしなのだ。

ProStaff『メンテナンス&キャブクリーナー(実勢価格:598円/税込)』
金属パーツに焼き付いたピッチやゴム、汚れたグリースやギヤオイルなどの頑固な油汚れを溶解・洗浄してくれるパーツクリーナー。また、機械式キャブレターの吸気口に直接吹き付ければ、気化系統や燃焼系統にこびりついた汚れも一掃できる。
ProStaff『シリコンマルチスプレー(実勢価格:598円/税込)』
主成分にはシリコンオイルを使い、樹脂やゴムを傷めることなく防錆・洗浄作業が行える無溶剤タイプのメンテナンス・スプレー。また、錆びて固く締まったネジやナットに5〜15秒連続スプレーすると、温度が急速に下がって金属が収縮。潤滑効果と合わせてネジを外すことができる。