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■高級ステーションワゴンのクラウンエステート
1999(平成11)年12月15日、トヨタの11代目「クラウン」をベースにした高級ステーションワゴン「クラウンエステート」がデビューした。ビジネスでもレジャーでも使えるマルチパーパスなステーションワゴンで、ライバルはメルセデス・ベンツ「Eクラス・ワゴン」やBMW「5シリーズ・ツーリング」だった。
ワゴンの設定は2代目クラウンから始まった
1962年に登場した2代目「トヨペットクラウン」は、当初セダンと商用車ライトバン、ピックアップが設定されたが、乗用車として使われることを意図したステーションワゴン「トヨペットクラウン・カスタム」が追加された。
この時期の日本では、ステーションワゴンと言っても個人が乗用車として使うことは希だったが、トヨタはいち早く、米国で人気のステーションワゴンを国内市場にも取り入れたのだ。セダンと同様にベンチシートの6人乗りで、後席を畳むと長さ1925mmの広い荷室スペースが活用できる。
パワートレインは、先代から受け継いだ最高出力80ps/最大トルク14.5kgmを発揮する1.9L直4 OHVエンジンと、3速MTおよび2速セミAT(トヨグライド)が組み合わされた。
その後もクラウンのステーションワゴンは、ほぼ世代ごとにクラウン・カスタムやクラウン・ワゴン、クラウン・ステーションワゴンの名で設定された。
クラウンエステートが誕生したのは、若返りを狙った11代目クラウン
1990年代初めのバブル崩壊を機に、セダンの人気は低迷し、トヨタを代表する高級車クラウンも同様だった。人気を回復させるには、ユーザー層の若返りをすることが必要であり、1999年に登場した11代目の大きな使命となった。
11代目クラウンは、21世紀という新時代に向けて“21世紀へ。このクラウンで行く”というキャッチコピーを掲げ、伝統と革新を融合したデザインが注目を集めた。従来のイメージを大切にしたロイヤルシリーズとともに、アクティブな走りを求めるユーザー向けのアスリートシリーズを設定。アスリートの最強モデルは280psを誇る3.0Lターボを搭載、また2001年にはマイルドハイブリッドを設定し、ユーザー層の拡大を図った。
ユーザーの若返りに成功したわけではないが、優れた走りや環境性能への取り組みについては評価された。
登場したエステートワゴン、しかし最後のワゴンに
11代目クラウンの約3ヶ月後のこの日に、12年ぶりに高級ステーションワゴンとしてクラウンエステートが登場した。
エステートは、標準的なロイヤルシリーズとスポーティなアスリートシリーズの2系列にそれぞれ設定。高級セダンならではの優れた走行性能と居住性に、使い勝手に優れた荷室スペースがプラスされ、ビジネスだけでなくレジャーでも使える、マルチパーパスな高級ワゴンをアピールしたのだ。
パワートレインは、220psを発揮する3.0L V6 DOHC&200psの2.5L V6 DOHC、280psの2.5Lターボの3種と、4速/5速ATの組み合わせ。駆動方式はFRが基本だが、フルタイム4WDも設定された。
当時、スバル「レガシィ・ツーリングワゴン」を筆頭に、日本ではステーションワゴンブームが起こっていたが、国内には高級ステーションワゴンは存在しなかったので、ライバルは欧州のメルセデス・ベンツ「Eクラス・ワゴン」やBMW「5シリーズ・ツーリング」などだった。
車両価格は、標準的なグレード(2.5L/FR)で、ロイヤルサルーン・エステートが351万円、アスリート・エステートは348万円。当時の大卒初任給は19.6万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約412万円/408万円に相当する。
クラウンエステートは、高級ステーションワゴンとして一部のユーザーに歓迎はされたが、2000年を過ぎた頃にはステーションワゴン自体の需要が減少したため、クラウンエステートは2007年6月をもって生産を終了した。
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現在注目されている新型クラウンだが、クロスオーバー、スポーツ、セダンに続く第4弾として、エステートが2024年投入の計画となっていたが、計画より遅れ2025年2月頃では?とされている。発売されれば17年ぶりの復活となる。ステーションワゴン市場が縮小しているなか、新たなワゴンとして人気が得られるか、注目だ。
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