メルセデスAMGでは、“AMG.EA”プラットフォームを採用する2番目のモデルとなる、高性能電動SUVの次なるフェーズが開始された。
高性能電動SUVと密接したメカニズムを持つGT4ドアのプロトタイプは、現在、北極圏に近いスウェーデン北部で寒冷地テストを受けている。この地の氷点下の気温は、公道と専用トラックの両方で行なわれる主要コンポーネントの性能評価試験に厳しい条件を加え、技術者たちには過酷な訓練の場となっている。
公開されたSUVプロトタイプは、GTと同様に完全にディテールを隠蔽している。しかし、柔らかく丸みを帯びたラインと、SUV としてはかなり低いシルエットから、メルセデス AMG GT4ドアEV から大きく影響を受けていることがわかる。
専用のAMGプラットフォームを用いて作られるこのモデルは、標準的なメルセデスSUVに特別な部分改修を加えるという従来的な作り方を超えることを目指しており、AMGのパフォーマンスDNAを中核としてゼロから設計されるのだという。“AMG.EA”アーキテクチャに基づいて「完全自社開発」されるこの新型モデルは、メルセデスSUVの高性能派生モデルではなく、ゼロから作られるブランニューのAMG特注品となることが最大の特徴なのだ。
ティザーイメージでは、いくつかのヒントが示されている。長いボンネット、アグレッシブなフェンダーライン、メルセデスのSUVよりも、フェラーリのプロサングエ風の流麗なルーフラインを備えた筋肉質のサイドビューが明らかになっている。しかし、フェラーリのアプローチほど派手ではないようだ。
AMG.EAプラットフォームは800Vアーキテクチャを採用しており、今後発売されるSUVと、AMG GT 4ドアの電動後継車の両方をサポートする予定だ。どちらのEVにも、英国を拠点とするYasa社がAMG向けにカスタム開発した軽量の軸流式電動モーターが搭載される。
量産型には、4基のモーターを搭載、最高出力は1014ps以上が見込まれ、全輪駆動と高度なトルクベクタリング機能を提供する。このモデルは、4輪操舵、アクティブサスペンション、AMG専用バッテリーも搭載される。ライバルBMWも同レベルのスペック、技術を持つM3後継電動モデルを開発中で、高級ブランドの電気モデルは、“クワッドモーター(4モーター)”、“1000ps”の時代に突入したようだ。
ボディサイズは、全長約5.1m(200インチ)、ホイールベースは3m(118インチ)以上で、2022 Vision AMGコンセプトとサイズが似ていると予想されている。これにより、ICE駆動のメルセデスAMG GLE 53/63よりもフットプリントが大きくなり、完全電動のEQS SUVフラッグシップのスケールに近づく。
市場では、ポルシェ カイエンGTをはじめ、アストンマーティン DBXなどガソリン駆動の強豪、BMW XM、ランボルギーニ ウルス、ロータス エレトレなどハイブリッド及びフルエレクトリックモデルと競合することになる。
メルセデスAMGは今後もティザーキャンペーンを展開、今後数か月でさらに多くの情報が得られることになるだろう。尚、同社は、開発テストドライブが、今冬に開始される予定であることを認めている。