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模擬戦闘飛行から特別塗装機まで、盛り上がりを見せた百里航空祭
今年の百里航空祭は、例年の4万人規模を上回る6万人以上が来場する賑わいとなった。今回の目玉は、やはり航空自衛隊のアクロバット・チーム「ブルーインパルス」の展示飛行だ。もちろん、同基地所属の第3飛行隊も負けてはいない。実戦を模したAGG(模擬空対地射爆撃)では、4機のF-2による迫力ある飛行で会場を沸かせた。
さらに今回、石川県小松基地から来訪した2機の特別塗装F-15Jも注目を集めた。第6航空団 第303飛行隊より北陸新幹線をイメージした白とブルーに銅色のラインをあしらった機体が、第306飛行隊より航空自衛隊70周年を記念して、「古希」を意味する紫に、日本を象徴する桜柄がちりばめられた機体が、それぞれ展示飛行を行なった。
特別塗装機では、百里航空祭と同日開催となった沖縄県那覇基地の「美ら島エアフェスタ2024」でも、特別塗装のF-15が飛行している。こちらは第9航空団 第204飛行隊所属の機体で、部隊創立60周年を記念したものだ。
ステルス機には特別塗装ができない!?
さて、ファンからも人気が高い特別塗装機だが、いずれは消滅してしまうかもしれない。その理由はステルス戦闘機への世代交代にある。航空自衛隊でもF-35戦闘機が導入され、その数を増やしているが、ステルス戦闘機には特別塗装がNGなのだ。
ステルス機は主に機体形状によってレーダー波の乱反射を防ぎ、対レーダー・ステルスを実現しているが、さらにレーダー波吸収材(RAM)を機体表面に塗布することで、より効果を高めている。このRAMは非常に高価であり、基本的にグレーなどの実用的なロービジ(低視認性)色しか存在しない。そもそも、RAMは航空部隊の整備レベルでは塗装できない。
従来機の特別塗装は基本的に通常の塗装の上から、水性系の塗料で彩色しているが、当然RAMの上にこのような塗装をすることもできない。ステルス機のデコレーションとしては、カッティングシートを用いて垂直尾翼などを飾るくらいが限界のようだ。
従来機がすぐに消えるわけではないが、ステルス機が主流となっていくなかで、いずれ特別塗装機はいなくなってしまうかもしれない。技術の進歩は喜ぶべきことだが、ファンとしては、ちょっと寂しい気持ちだ。