一世風靡のデートカー、日産S13「シルビア」が日本カーオブザイヤーを受賞【今日は何の日?12月23日】

日産・5代目シルビア
日産・5代目シルビア
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日12月23日は、日産自動車が1988年5月に発売して、お洒落なデートカーとして高い人気を獲得していた「シルビア」5代目が、“‘88~’89日本カーオブ・ザ・イヤー”を受賞したことを発表した日だ。
TEXT:竹村 純(JUN TAKEMURA)/PHOTO:三栄・日産 新型シルビアのすべて

■5代目シルビアが“日本カー・オブ・ザ・イヤー”受賞

1988(平成10)年12月23日、日産自動車の「シルビア」5代目が“1988~1989日本カー・オブ・ザ・イヤー”を受賞したことを発表。5代目シルビアは、デザインの美しさとFRらしい走りの楽しさを実現したスタイリッシュな2ドアFRクーペとして、また楽しいデートを演出するデートカーとして人気を獲得した。

1988-1989日本カー・オブ・ザ・イヤー
1988-1989日本カー・オブ・ザ・イヤー
日産・5代目シルビア
日産・5代目シルビア

その年を代表するクルマに与えられる日本カー・オブ・ザ・イヤー

「日本カー・オブ・ザ・イヤー」とはその名の通り、その年を代表するクルマを称える賞である。先進的な技術はもちろん、走り、使い勝手、商品性などを総合的に判断して選定される。

1980年に、主要自動車専門誌や一般誌の共同主催で始まり、現在一般社団法人の日本カー・オブ・ザ・イヤーが構成する日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会により運営されている。選考対象となるクルマは、前年の11月1日より当年の10月31日までに日本国内において発表された乗用車で、60名を上限とした選考委員の投票によって決定される。

また、海外メーカー車でもっとも多く得票したクルマに「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」が与えられ、さらに2つの部門賞「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」と「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」が設けられている(※年代により選考方法には違いもある)。

80年代カー・オブ・ザ・イヤー受賞車を見てみる

1980-1981日本カー・オブ・ザ・イヤー
1980-1981日本カー・オブ・ザ・イヤー
マツダ5代目「ファミリア」
1980-1981日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したマツダ5代目「ファミリア」

・1980-1981第1回日本カー・オブ・ザ・イヤー:マツダ「ファミリア」
栄えある1980-1981の第1回日本カー・オブ・ザ・イヤーは、マツダ(当時は東洋工業)の「ファミリア」が受賞した。5代目となるファミリアは、当時最先端だったエンジン横置きFFレイアウトを採用し、スタイリッシュなフォルムと俊敏な走りで“赤いファミリア旋風”を巻き起こして大ヒットした。

1981-1982日本カー・オブ・ザ・イヤー
1981-1982日本カー・オブ・ザ・イヤー
トヨタ初代「ソアラ」
1981-1982日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したトヨタ初代「ソアラ」

・1981-1982第2回日本カー・オブ・ザ・イヤー:トヨタ「ソアラ」
高性能エンジンと時代を先取りしたデジタルメーターなど、新たなクルづくりの方向性を示唆した。

1983-1984日本カー・オブ・ザ・イヤー
1983-1984日本カー・オブ・ザ・イヤー

・1982-1983第3回日本カー・オブ・ザ・イヤー:マツダ「カペラ」&フォード「テルスター」
広い室内空間と俊敏な走りで日本以上に欧州で評価を高め、マツダの欧州進出を加速させた。

1984-1985日本カー・オブ・ザ・イヤー
1984-1985日本カー・オブ・ザ・イヤー
ホンダ3代目「シビック」
1983-1984日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したホンダ3代目「シビック」。愛称は、ワンダーシビック

・1983-1984第4回日本カー・オブ・ザ・イヤー:ホンダ「シビック&バラード」
セダン、ハッチバック、ワゴン、クーペのボディごとにサイズやパッケージングを最適設計した意欲作として評価された。

1984-1985日本カー・オブ・ザ・イヤー
1984-1985日本カー・オブ・ザ・イヤー
トヨタ「MR2」
1984-1985日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したトヨタ「MR2」。日本初の量産ミッドシップ

・1984-1985第5回日本カー・オブ・ザ・イヤー:トヨタ「MR2」
日本初の量産ミッドシップで、前後重量配分に優れたMRらしい俊敏なハンドリング性能を実現した。

1985-1986日本カー・オブ・ザ・イヤー
1985-1986日本カー・オブ・ザ・イヤー

・1985-1986第6回日本カー・オブ・ザ・イヤー:ホンダ「アコード3代目&ビガー2代目」
スタイリングやエンジン、インテリアすべてが斬新でスポーティなモデルに変貌して評価された。

1986-1987日本カー・オブ・ザ・イヤー
1986-1987日本カー・オブ・ザ・イヤー

・1986-1987第7回日本カー・オブ・ザ・イヤー:日産自動車「パルサー/エクサ/ラングレー/ロベルタ・ビラ」
合理的設計と欧州車を超える走りによって、フォルクスワーゲン・ゴルフやオペルのライバルとして高く評価された。

1987-1988日本カー・オブ・ザ・イヤー
1987-1988日本カー・オブ・ザ・イヤー

・1987-1988第8回日本カー・オブ・ザ・イヤー:三菱自動車「ギャラン」
トップモデルVR-4は、ターボ+フルタイム4WDを装備したスーパーセダンと呼ばれる豪快な走りをアピールした。

美しさと走りで魅了した5代目シルビア

日産・5代目シルビア
日産・5代目シルビア

シルビアは、1965年に高級スペシャリティカーとして誕生。その後、進化を続けて5代目を迎えたシルビアは、1988年5月にデビューした。FRならではのハンドリング性能やパワフルなDOHCエンジンなど性能的にも優れていたが、最大の魅力はエレガントストリームラインを名乗ったその美しいスタイリングだった。

日産・5代目シルビア
日産・5代目シルビアのコクピット
日産・5代目シルビア
日産・5代目シルビアに搭載されるエンジン。右がCA18DE、左がCA18DET

パワートレインは、最大出力135ps/最大トルク16.2kgmを発揮する1.8L直4 DOHCエンジン(CA18DE)と175ps/23.0kgmのインタークーラーターボエンジン(CA18DET)の2種と、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。

日産・5代目シルビア
日産・5代目「シルビア」のリアビュー

また、新世代FRに相応しいリアサスペンションとしてマルチ・リンクシステムを採用。さらにオプションだが、コーナリング中にステアリングの切れ角に応じて操舵する4WSのHICAS-IIも設定。これらが、一段と高いレベルの走りとシャープなハンドリング性能を求めるスポーツ派に応えた。

日産・5代目シルビア
日産・5代目シルビア

車両価格は、標準グレードが166.5万円、ハイグレードが176.5万円、インタークーラーターボのトップグレードが214万円。当時の大卒初任給が15.8万円(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値でそれぞれ約242万円/257万円/312万円に相当する。

シルビアは、若い男女のデートをお洒落に演出するデートカーの代表的なモデルとして、ライバルのホンダ「プレリュード」やトヨタ「セリカ」を凌ぐ人気を獲得したのだ。

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最近になってシルビア復活のニュースが流れて話題となっている。日産の関係者が公言したということで真実味がある情報のようだ。復活するとしたら、HEVかEVだろうが、どちらにせよ、名車シルビアの名を引き継ぐだけでも大歓迎である。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…