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ケルヒャーは高圧洗浄機やスチームクリーナーだけじゃない!? 「清掃ソリューション・カンパニー」が見据える社会的課題とは……

床洗浄ロボット『KIRA B 50』。人手を介することなく、高度な自律型運転が可能。視野型マルチセンサーシステムを搭載し、瞬時に360度ビューを作成することで、ガラスや突出した障害物も把握できる。
高圧洗浄機やスチームクリーナーなどの家庭用機器でお馴染みのケルヒャーながら、持てうる技術はそこだけに留まらない。あらゆる清掃シーンに向けたプロ用清掃機器も数多く揃え、そのうちのいくつかはここ日本でも展開されている。社会課題にも取り組む、業務機器の一端をここでは垣間見てみよう。

国内での業務用機器の取り扱いは半世紀に及ぶ

今でこそ、家庭用機器としてすっかりおなじみのケルヒャーながら、業務用機器でも世界的な展開がなされている。「清掃ソリューション・カンパニー」を自負するだけに、その活躍シーンはあらゆる場所にまたがるものだ。

日本国内での展開実績も、すでに半世紀以上に渡る。プロレベルの高圧洗浄機やバキュームクリーナーといった家庭用おなじみのモデルはもちろん、床洗浄機やカーペットクリーナー等に至るまで、その製品種類も幅広い。最近では、ドライアイス洗浄など、特殊なシーンに向けたスペシャルモデルも注目されているところだ。

水を使わずに汚れだけを除去でき、研磨力が小さいために繊細な箇所の清掃にも向くドライアイスブラスター。そして写真が新モデルの『IB 10/15 L2P Advanced』。液化炭酸ガスからドライアイスペレットを生成することで、気化しやすいドライアイスの管理もたやすい。

スペックで表しづらいアドバンテージも活用

ケルヒャーと言えば、高圧や高温といったハイスペックを連想されがちだが、それはあくまで技術的な一要素に過ぎない。ここに来て脚光を浴びているのが、薬剤を使わず、水だけを使うことでこそ得られる効果だ。

「温水除草」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは高温の水を使うことで雑草のタンパク質を破壊し、枯れさせるというもの。薬剤を使うことはないので周囲の環境に対する悪影響も少なく、新たな種子の飛散がない限り、再生も抑えられるという。また、ダニやトコジラミといった害虫除去にも、高温のスチームが効く。特に寝具の場合はうかつに薬剤を使いづらく、水だけで対処できることがアドバンテージにもなる。

温水除草システムにおける、アタッチメント先端部の使用イメージ。雑草の根元にあたる成長点に高温の水を含浸させることでタンパク質を破壊する仕組みだ。

最たる目的は清掃におき、その手段として技術を持つ

ひいて言えばSDGsにもつながるこれらは社会課題でもある。業務用機器でいえば人手不足も嘆かれるところで、これに対しても清掃ロボットを用意することで時流のニーズに応えている。

ロボット型掃除機『KIRA CV 50』。家庭用のロボット掃除機と見た目こそ似ているものの、障害物を感知するLiDARセンサーの対応距離はごく長く、20m以上の広い環境をカバーするほか、暗いエリアでも清掃が可能になる。

また製品筐体に再生プラスチックを使った環境配慮型の製品もこの2024年11月から予約販売が開始された。

日本の業務用清掃機器市場では初となる、本体プラスチック部品の60%に再生プラスチックを使った環境配慮型クリーナー『T 11/1 Classic Re!Plast』。タフで軽量な部品設計がとられることで、使い勝手の良さも兼ね備えている。

そこにあるのは、技術ありきの製品化ではなく、清掃目的あってこその多様な技術展開。クリーニングケアにおける顧客優先主義も窺える。

何よりその根底にあるのは、掃除があらゆる社会課題を解決するという「清掃ソリューション・カンパニー」ゆえの矜持。ケルヒャーにおける業務用機器を見ることで、コロナ禍後の日本社会で求められる様々な課題もまた見えてくる。

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