クリス・バングルがデザインしたクーペフィアットは、1994年から2000年まで製造された4人乗りの2ドアクーペだ。デビュー翌年の1995年には日本市場にも導入され、同年のグッドデザイン賞金賞を受賞した。
現在の自動車市場に欠けているものといえば、手頃な価格の2ドアクーペだろう。長らくSUVに独占されていたセグメントも、ホンダ「プレリュード」の復活、トヨタ「セリカ」、日産「シルビア」などもそれに加わる可能性があることから、復権が期待されている。
フィアットは現在、コンパクトまたはミッドサイズセグメントでローダウンモデルを提供していないため、デザイナーTheottle氏はデジタルイラストレーションのベースを別のものにする必要があった。彼は、ベースとなるボディにアウディ「RS5 クーペ」を選択。そのうえで、オリジナルのクーペフィアット(キャビン)、ベントレー・コンチネンタルGT (トランクとテールライト)、Lynk&Co 07 (ノーズ) の要素を融合している。
最終的な結果は驚くほどモダンに見え、クーペ フィアットのスタイリングが時代を先取りしていたことを証明しているようだ。デザインは、オリジナルのスプリットヘッドライト、特徴的なシャープなフェンダーの折り目、角張ったキャビンを維持しながら、斬新な機能を追加している。
テールは予想以上に従来型に近く見え、クーペ フィアットのフェラーリ風の丸型テールライトをベントレー風の楕円形ユニットに置き換えている。ディフューザーと楕円形のテールパイプはアウディRS5から流用、アバルト風のデザインでさらに改善されている。
クーペ フィアットが復活するなら、ステランティスの「STLAミディアムアーキテクチャ」の採用が予想されるが、ハイブリッド、PHEV、EVパワートレインとの互換性を備え、新しいクーペフィアットに最適と言えるだろう。また、これらをスポーティなシャシーと魅力的なスタイリングと組み合わせれば、アルファ ロメオも羨むようなモデルが完成すること間違いない。
日本でジワリ盛り上がりを見せる2ドアスポーツカー市場だが、このイタリア版「プレリュード」とも言えるクーペフィアットが加われば、尚一層熱くなりそうだ。