【タイモーターエキスポレポート】

これはカッコいい! いすゞのピックアップトラック・D-MAXの”純正”カスタムモデル『X-SERIES』は1.9Lターボ+6速MTのFRスポーツ!?

微笑みの国、タイの首都バンコクで、2024年11月28日~12月10日の期間で、国際モーターショー「第41回モーターエキスポ2024」が開催された。タイは、日系ブランドが大きなシェアを持つ日本車大国でもある。そこで出会った日本では出会えない日本車を紹介したい。今回は、いすゞの1トンピックアップトラック「D-MAX」に2024年1月に発表されたニュータイプ「X-SERIES」について紹介しよう。
REPORT&PHOTO:大音安弘(OHTO Yasuhiro)

カスタム需要旺盛なタイ市場はメーカー自らカスタムモデルを提案

ピックアップトラックの巨大市場であるタイで、2024年1月にいすゞは、D-MAXの新たなバリエーション『X-SERIES』を追加した。同シリーズは、人とは違う個性的なスタイルのピックアップトラックを求めるユーザーをターゲットとしたメーカー純正のカスタマイズモデルだ。

2024年1月に追加された新いすゞD-MAX『X-SERIES』。仕様は車高が高められた「HI-LANDER」のダブルキャブだ。

興味深いのは、ハイラックスにも設定されるトヨタ「GRスポーツ」のようなモータースポーツ由来のものではなく、ストリート系スタイルであることだ。そのクールなスタイリングは、トラックの持つビジネス色を薄め、カスタムカーの雰囲気を強く醸し出す。私も、今回、実車を始めてみたが、D-MAXの中でもスタイリングのかっこよさは、ピカイチだと思う。

こちらのD-MAX『X-SERIES』は、車高が標準仕様となる「SPEED」ダブルキャブだ。フロント、サイド、リヤにエアロパーツを装着し、スポーティさを強めている。

そのドレスアップの特徴は、ガーネットレッドを用いることでより立体デザインが協調され、妖しい魅力と力強さを増したフロントグリルを始め、ボンネットとカードドアのシルバーのスポーティなデュアルストライプを装着。さらに仕様により異なるが、専用エアロデザインとブラックアルミホイールが追加されている。また豪華さやデザイン性を高める狙いもあり、前後ライトも全車LEDライトユニットを標準とする。

ガーネットレッドのアクセントが加えられたフロントグリル。エンブレムもレッドとなる。

ノーマル車高の『SPEED』か、ハイリフトの『HI-LANDER』か?

仕様は、標準車高シャシーとなる後輪駆動車の「SPEED」と車高を高めた後輪駆動車の「HI-LANDER」の2種類。いずれも後部スペースを拡大したサブドア付きの2ドア(スペースキャブ)と4ドア(ダブルキャブ)を用意する。

いすゞブースのD-MAX『X-SERIES』の展示車は、全てダブルキャブだった。

「SPEED」グレードの外観上の特徴は、フロント、サイド、リヤのスカートを追加したアンダーエアロが追加されることだ。立体的な形状に仕上げられており、かなりスポーティなデザインとしており、トラック感を薄める要素となっている。足元には、グロスブラック塗装の16インチホイールを装着する。

『X-SERIES』専用アイテムのボンネットデカール。
フロントフェンダーには専用の「X」エンブレムを装備。
展示車両は16インチホイールに215/70R16サイズのブリヂストンDuravis R611を装着。
バックドアにも、専用デカールを装着。
荷台は、通常モデルと同じ作りだ。

「HI-LANDER」グレードの外観上の特徴は、車高などのキャラクターの違いから「SPEED」とは少々異なる。前後スカートは専用デザインとなり、やや張り出しも控えめに。ボディサイドは、サイドステップが付属することからサイドスカートレスに。

「HI-LANDER」では、フロントバンパーのリップが悪路走行を意識した仕様となる。

ただ迫力を増すアイテムとして、空力性能を高めるテールゲートスポーツバーが追加される。さらに足元もグロスブラック塗装のアルミホイールが18インチ化される(ただし、2ドアモデルのみ17インチ仕様に)。

展示車両は18インチホイールに265/60R18サイズのブリヂストン「DUELER H/T 684II」を装着。「HI-LANDER」では、ボディ下部のエアロがない代わりに、テールゲートスポーツバーが追加される。

スポーティなインテリアに、『SPEED』はなんと6速MTのみ!?

さらにインテリアも「SPEED」と「HI-LANDER」で若干仕様が異なる。よりスポーティなテイストとなるのが「SPEED」だ。「SPEED」は、なんと6速MT仕様だけ。内装のカラーリングも、ブラックにレッドをアクセントに取り入れる。

レッドのアクセントがスポーティな雰囲気を強める「SPPED」のインテリア。

「SPEED」の細部を見ていくと、メーターはシンプルな2眼式となるが、メーターにはレッドアクセントが取り入れられ、スポーティな演出を追加。

レッドアクセント付きの2眼式メーターパネル。
6速MTシフトのまわりには、レッドのアクセントモールを追加。
ブラックとレッドのコンビカラーとなるスポーティなシート。「X」のロゴも入る。

ダッシュボードやドアパネル、シフトパネルにもレッドアクセントが用いられる。シートも、ブラックとレッドを組み合わせたスポーツシートとなるのも専用仕様である。

ダッシュボードまわりとシートのレッドのアクセントがスポーティなコクピット。
フロントシートと同様のパターンのリヤシートは3名乗車。

「HI-LANDER」では、メーターパネルが7インチ液晶ディスプレイメーターにアナログタコメーターなどを追加したコンビメーターとなるが、こちらもデザインはスポーティな仕様に変更。

ブラック主体となる「HI-LANDER」のインテリア。ステアリングやシートなどにレッドステッチを用いる。

シートデザインもスポーツタイプとなるが、ブラック合皮にレッドステッチ仕様となる。ただし、表皮は通気性の良いクールマックス仕様となり、機能性を高めている。また6速AT仕様が選べるのはダブルキャブの「HI-LANDER」のみで、パドルシフト付きとなる。

「HI-LANDER」のダブルキャブのみ6速ATを用意。
Xロゴ入りのスポーティーシート。
前後ともシート表皮には、通気性の良い素材を使用。

全仕様にワイヤレスでApple CarPlayとandroid AUTOに接続可能な高機能な8インチディスプレイオーディオシステムが標準装備されている。

新エンジンは搭載されず、その分お買い得な価格設定に?

パワーユニットは全車共通で、1.9Ddi Blue Powerエンジンを搭載。1.9L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンの性能は、150ps/3600rpm・最大トルク350Nm/1800~2600rpmを発揮する。トランスミッションは、6速MTと6速ATとなる。

以前に紹介した最新D-MAXは新開発の2.2L Ddi MAXFORCEに、ATも8速ATに換装されているが、こちらはエンジンもトランスミッションも従来型のまま。価格を重視した戦略の可能性も高いが、近い将来、新パワートレインに換装される可能性もありそうだ。

パワー9%&トルク14%アップ!2.2LターボのFR車・いすゞ「D-MAX」は新エンジン搭載で275万円から!! 日本導入を期待したいピックアップ

微笑みの国、タイの首都バンコクで、2024年11月28日~12月10日の期間で、国際モーターショー「第41回モーターエキスポ2024」が開催された。タイは、日系ブランドが大きなシェアを持つ日本車大国でもある。そこで出会った日本では出会えない日本車を紹介したい。今回は日本では乗用車から撤退して久しいいすゞのピックアップトラックを紹介しよう。 REPORT:大音安弘(OHTO Yasuhiro) PHOTO:大音安弘(OHTO Yasuhiro)/ISUZU

ボディカラーは、キャラクターが明確化された白のシベリアンホワイトと有償色となるブラックバイエルンマイカの2色のみ。価格は、「SPEED」(シングルキャブ)の76万3000バーツ~「HI-LANDER」(ダブルキャブ/6速AT)の103万2000バーツという設定で、日本円では約348万4000円~約471万2000円(1バーツ=4.57円換算)となる。

「SPEED」
「SPEED」
「HI-LANDER」
「HI-LANDER」

スポーティな内外装とMTが基本となる仕様のピックアップトラックは、今の日本には存在しない価値観だ。こいつをベースにちょっと手を加えても面白そうと感じた。

タイいすゞのD-MAX『X-SERIES』商品ページ。プロモアニメーションに唐突に「凄い」と漢字が出てくるなど、なかなか面白い。

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著者プロフィール

大音安弘 近影

大音安弘

1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃からのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後…