業界トップクラスのSoCをホンダ×ルネサスで
開発するSoCは業界トップクラスとなるAI性能2,000 TOPS・電力効率20 TOPS/Wの実現を目指しており、Hondaの新たなEV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」の2020年代後半以降に発売するモデルへの搭載を予定している。
TOPSとは「Tera Operations Per Second」略で、整数演算を1秒間に何兆回できるかを示す数値でAI処理の性能を表す単位だ。
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この2000TOPS、20 TOPS/Wの最先端半導体は、2020年代後半以降に発売されるHonda 0シリーズに搭載される予定だ。つまり、2026年の0 SUVとS SALOON、エントリーSUVには、まだ搭載されない見込みだ。
ホンダは、独自のSDVの実現に取り組んでいる。Honda 0シリーズのE&Eアーキテクチャーは、クルマのシステムを制御する役割を持つ複数のECUをコアECUに集約するセントラルアーキテクチャー型を採用する。
SDVの中心となるコアECUは、AD/ADAS(自動運転/先進運転支援システム)といった運転支援やパワートレーン制御、快適装備など、車両のさまざまなシステムを一元的に管理する。そのため、コアECUにはより高性能なSoCが必要となるが、そこにおいては、従来に比べて高い処理能力と同時に、それに伴う消費電力の高まりを抑制することが求められる。
ルネサスは、自動車OEMが取り組むSDVの実現に向け、車載用半導体の開発に力を入れている。ルネサスはマルチダイチップレット技術(異なる機能を持つチップ”ダイ”を複数組み合わせてひとつのシステムを構築する技術)を活用して、SoCにAIアクセラレータ( AIの計算処理を高速・高効率に行なうために設計されたハードウェア)を追加することで、AI性能の向上とカスタマイズを可能にした。
今回、ホンダの目指すSDVを実現するため、ホンダとルネサスはコアECU向け高性能SoCの開発契約の締結に至った。
この高性能SoCは、TSMCの自動車向け最先端プロセスである3nmテクノロジーを使用することで、消費電力を大幅に削減することが可能だ。ルネサスの汎用車載半導体である第5世代「R-Car X5シリーズ」SoCに、Honda独自のAIソフトウェアに最適化されたAIアクセラレータを、マルチダイチップレット技術により組み合わせたシステムを実現する。この組み合わせにより、自動運転など知能化に必要な高いAI処理性能を省電力で実現することができるとともに、チップレット技術を活用することにより、将来においても必要な機能と性能に合わせて柔軟にカスタマイズでき、機能拡張も可能だ。
ホンダとルネサスは、長年に渡り良好な関係を継続してきた。今回の開発契約締結により、Honda 0シリーズに最先端の半導体やソフトウェア技術をスピーディーに実装していくための開発を加速させる。
ちなみにホンダは、2030年以降のSoC半導体については、IBMと共同開発契約をすでに結んでいる。