次期型CLAは、ハイブリッドとバッテリー電気の両方のパワートレインを使用するように設計された、新開発のメルセデス・モジュラー・アーキテクチャ(MMA)を採用した最初のモデルとなる。CEOのオラ・ケレニウス氏は、このプラットフォームについて、「このセグメントでお客様が期待できるすべての側面を大幅に向上させる」と述べている。
メルセデス・ベンツは『EQ』ブランドでバッテリー電気自動車市場に参入、その後のEV市場の後退で優先順位を変更したものの、MMAプラットフォームはバッテリー電気でもハイブリッドでも妥協することなく対応できるよう設計されていたため、双方で利用可能となっている。
捉えられたプロトタイプを見ると、初スクープから22ヶ月変わらなかったプロトタイプのカモフラージュがついに削ぎ落とされてサイドビューを完全に露出させており、開発は最終段階に突入したようだ。
フロントエンドとリヤエンドはまだ偽装が残るが、白いプロトタイプは、流線型ボディシルエットがくっきりと見てとれ、より流麗なフォルムが確認できる。また、EQEとEQSからデザインをいくつか取り入れていることもわかる。
フロントエンドには、スリーポインテッドスターのLEDデイタイムランニングライトを備えるヘッドライトを装備、シングルグリルバーと新設計のバンパーが加わる。また後部では、内部に星型のグラフィックを配置する円形のLEDテールライトが初めて露出している。
最大の注目はボンネットの下にある。1つめは、まったく新しいハイブリッドパワートレインで、まったく新しいM252型 1.5L 直列4気筒ガソリンエンジン、1.3kWhバッテリーパック、eモーター、そしてパワートレインとシームレスに連動するように設計された新開発の8速デュアルクラッチトランスミッションで構成されている。
これまでのエンジン開発とは異なり、これはまったく新しいアプローチだ。エンジン自体は、置き換えられる1.5L M260型エンジンよりも小さく、17%軽量化されており、システム全体が単なるマイルドハイブリッドではない。メルセデスは、eパワーにより最高時速100kmで数キロ走行できると主張している。
メルセデスによると、ハイブリッドモデルには最高出力135ps、162ps、189psの3つの出力が提供される。燃費に関しては、パワートレインエンジニアのカルステン・クレブス氏は、新型ハイブリッドは「ディーゼル並みの燃費効率に達する」と語る。また、トランスミッションエンジニアのヤン・ベッカー氏は、「48Vで提供するシステムが、日常使用に最適な組み合わせだと考えています」と語っており、プラグインハイブリッドモデルを提供する予定はないようだ。
もう1つの選択肢はバッテリー電気モデルだが、同ブランドはこれをEQAとは呼ばない。メルセデス・ベンツはバッテリーセルの化学特性の改善に大きく前進し、より効率的で、パッケージがコンパクトで、大型車並みの技術を備えた新しい電気駆動モーターを導入している。バッテリーオプションは2種類提供され、58kWhの容量を持つリン酸鉄リチウムパックと、85kWhのニッケルマンガンコバルトパックだ。
メルセデスによると、バッテリー電気パワートレイン全体では「750km以上の航続距離が期待できる」という。急速充電と電子機器の軽量化のため、800ボルトアーキテクチャを採用し、最大320kWの充電が可能になっている。同社によると、これは10分で最大300kmの走行距離を追加できることを意味しているという。
超効率的なエンジニアリングと充電およびバッテリー管理により、電気CLAのプロトタイプモデルは、EVによる24時間での最長距離走行という記録を樹立した。メルセデスはそれまでのポルシェ タイカンの持つ記録を破り、24時間で3717kmを走行したのだ。メルセデスは、新型CLAの急速充電能力と長い航続距離、そして低抵抗の外観を強調している。
すべての電気CLAモデルは、後輪軸に269psの電気駆動モーターを搭載している。後輪軸のeモーターは、高速時のモーター効率を向上させるように設計された2速ギヤボックス(ポルシェ タイカンやアウディ e-Tron GT によく似ている)を備えている。“4Matic”4輪駆動バージョンも、前輪軸に108psのeモーターを搭載している。
CLA次期型は2025年にデビュー予定で、その後は、新世代のCLAシューティングブレークであるGLA、GLBを発売予定となっている。CLAと同様に、これらの新しいモデルはすべて、ハイブリッドとバッテリー電気オプションを備えることになるだろう。