日産「シルビア(S15)」、今のところの最終モデルはFRスポーツらしさを追求し177万円~【今日は何の日?1月19日】

日産7代目シルビア
日産7代目シルビア
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日1月19日は、日産自動車のスペシャリティクーペ「シルビア」の7代目(S15型)が誕生した日だ。7代目は、シャープなボディと爽快な走りで本格派FRスポーツクーペを印象づけたが、残念ながら最後のシルビアとなってしまった(2025年1月現在)。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型シルビアのすべて、20世紀スポーツカーのすべて

■7代目をもってシルビアの歴史は終焉を迎えた

日産7代目シルビア
日産7代目シルビア

1999(平成11)年1月19日、日産自動車のFRスペシャリティクーペ「シルビア」の最終世代となった7代目(S15型)がデビューした。大ヒットした5代目(S13型)に続いた6代目は、3ナンバーボディとなってダイナミックさをアピールしたが人気は得られず、7代目はシャープな5ナンバーとなって人気回復を図った。

日産7代目シルビア
日産7代目シルビア

美しさと走りでファンを魅了したシルビア5代目

日産初代「シルビア」
1965年にデビューした日産初代「シルビア」。美しいクリスプカットから走る宝石と呼ばれた
日産初代「シルビア」
日産初代「シルビア」のコクピット
日産3代目「シルビア」
1979年にデビューした日産3代目「シルビア」。四角4灯ライトで人気を獲得
日産4代目「シルビア」
1983年にデビューした日産4代目「シルビア」

初代シルビア(CSP311型)は、1965年に高級スペシャリティカーとして誕生。その後、進化を続けて1988年についに名車5代目(S13型)シルビアがデビューした。

日産5代目「シルビア」
日産5代目「シルビア」

5代目シルビアは、FRならではのハンドリング性能やパワフルなDOHCエンジンなど性能的にも優れていたが、最大の魅力はエレガントストリームラインを名乗ったその美しいスタイリングだった。発売当初のパワートレーンは、最大出力135ps/最大トルク16.2kgmを発揮する1.8L直4 DOHCエンジン(CA18DE型)と175ps/23.0kgmのインタークーラーターボエンジン(CA18DET型)の2種と、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。

また、新世代FRに相応しいリアサスペンションとしてマルチ・リンクシステムを採用。さらにオプションだが、コーナリング中にステアリングの切れ角に応じて後輪も操舵する4WS(ハイキャス機構)も設定。これらが、一段と高いレベルの走りとシャープなハンドリング性能を求めるスポーツ派に応えた。

5代目シルビアは、若い男女のデートをお洒落に演出するデートカーの代表的なモデルとして、ライバルのホンダ「プレリュード」やトヨタ「セリカ」を凌ぐ人気を獲得したのだ。

シャープなシルエットで走りを追求した最終7代目

日産6代目「シルビア」
1993年にデビューした日産6代目「シルビア」。3ナンバーボディとなって落ち着いた雰囲気に

1993年には、シルビア史上初めて3ナンバーボディとなった6代目(S14型)に切り替わり、先代よりも大人の落ち着いた雰囲気となったが、またRVブーム到来などの市場の変化によって先代のような人気は得られなかった。

日産7代目シルビア
日産7代目シルビア

そして1999年1月のこの日、7代目(S15型)にモデルチェンジ。6代目の反省を踏まえて、開発コンセプトは“軽快コンパクトなスポーティクーペ”、そのために再び5ナンバーボディに戻してスリム化し、先代よりも全長は75mm、全幅は35mm縮小され、全高は10mm低く仕立てられた。

日産7代目シルビア
日産7代目シルビア

低くスラントしたフードとシャープな薄型ヘッドランプを組み込んだフロントマスク、エアインテークを設けたエアロバンパーなどで精悍さを、リアも流れるようなリアピラーなどでシャープさをアピール。2つのグレードが設定され、スペックRは最高出力250psを発揮する2.0L直4 DOHCターボエンジン(SR20DET型)を搭載、スペックSは最高出力165psの2.0L直4 DOHC NAエンジン(SR20DE型)を搭載。トランスミッションは、5速&6速MTおよび4速ATが組み合わされた。

日産7代目シルビア
日産7代目シルビアのNAエンジン、SR20DE型
日産7代目シルビア
日産7代目シルビアのターボエンジン、SR20DET型

サスペンションは、前ストラット式/後マルチリンク式の4輪独立タイプをスポーツチューン。7代目シルビアはFRの楽しさを徹底的に追求し、エレガントさよりもスポーティであることを重視して本格派の走りのスポーツクーペを印象づけたのだ。

日産7代目シルビア
日産7代目「シルビア」のコクピット

車両価格は、5速MT仕様でスペックR が239万円、スペックSが177万円。当時の大卒初任給は19.6万程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値でスペックRが約280万円、スペックSが約208万円に相当する。

シルビア終焉に向けてラインアップを強化

7代目シルビアは、ファンの要望に応えるようにラインアップ強化を積極的に進めた。

日産・シルビア「bパッケージ」
10ヶ月後に追加された内外装をドレスアップした日産・シルビア「bパッケージ」

1999年10月には、“bパッケージ”と称するファッション性を重視したグレードが追加。これには、ライトブルーイッシュシルバーと呼ぶ専用外表色やブルーのスエード調クロス内装、クローム色アルミホイールなどが装備された。

同時に、オーテックジャパンが各部をチューンナップした“オーテックバージョン“も加わった。スペックSをベースに、圧縮比アップやステンレス等長エキマニ、カムプロファイルなどの変更などで最高出力/最大トルクは200ps/21.8kgm(SR20DE型)まで向上した。

日産「シルビア・コンバーチブル・ヴァリエッタ」
2000年にデビューした日産「シルビア・コンバーチブル・ヴァリエッタ」。国産初のフルオープン電動メタルトップ

極めつけは、2000年7月にオープンスポーツコンバーチブル・ヴァリエッタの登場である。注目は、国産車初となる電動メタルトップのオープン構造で、クローズド時はクーペと同等の静粛性と耐久性を持つ。こちらも、ベースはスペックSだ。ちなみに、ヴェリエッタの車両価格は5速MTで279.8万円、ベースよりも約100万円高額だった。

歴代シルビア
歴代シルビア

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7代目シルビアの走りは、歴代シルビアの中でも際立ち、走り好きにとっては憧れのクルマだったが、販売は振るわずシルビア最後のモデルとなった。2000年を迎える頃には、若者のクルマ離れが進み、スポーツモデルにとっては冬の時代となってしまったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…