「ニスモ」との違いは!? 日産セレナとノートオーラに追加された「オーテック」走りの新顔「スポーツスペック」の中身【東京オートサロン2025】

日産ノートオーラ・オーテックスポーツスペック(手前)、セレナ・オーテックスポーツスペック(奥)
千葉県の幕張メッセで開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン2025」で、西ホール2・3(日産!)にブースを構えた日産自動車。総計10台ものカスタムカーを披露した中で、今回はNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)が手がけるコンプリートカー「オーテック」シリーズの2台、セレナとノートオーラの「オーテックスポーツスペック」を紹介する。

REPORT&PHOTO●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●長野達郎(NAGANO TATSUO)

見た目だけではなく走りも上質なのが「オーテックスポーツスペック」!

2024年10月3日に発表されたセレナを皮切りに、同年12月19日発表のノートオーラも続いた、「オーテック」シリーズの新たなライン、それが「オーテックスポーツスペック」だ。

では、従来の「オーテック」と、新たな「オーテックスポーツスペック」、一体何が違うのだろうか?

セレナ・オーテックスポーツスペックのフロントまわり。上質かつスポーティな装いは従来の「オーテック」と同様だ。

従来の「オーテック」は、NMCのルーツの一つである旧オーテックジャパン発祥の地、湘南・茅ヶ崎の「海」と「青」をモチーフとした、上質かつスポーティな内外装が与えられたドレスアップカー。

これに対し「オーテックスポーツスペック」は、内外装のみならず走り全体も上質かつスポーティに仕立てられたチューニングカー、と言えるだろう。

セレナ・オーテックスポーツスペックのインパネ。黒を基調に湘南ブルーのアクセントが施されたインテリアも「オーテック」シリーズ共通。
セレナ・オーテックスポーツスペックは本革のような見た目と手触りに高い耐久性と耐水性を兼ね備えたレザレットを採用する。

両車のチューニングメニューを見ていこう。まずセレナの「オーテックスポーツスペック」は、セレナで唯一の17インチタイヤ、具体的には215/55ZR17(98Y)XLのミシュラン・パイロットスポーツ5を装着。これに組み合わされるのは、専用のダークグラファイトフィニッシュアルミホイールだ。

セレナ・オーテックスポーツスペックは215/55ZR17 98Y XLのミシュラン・パイロットスポーツ5と専用17インチダークグラファイトフィニッシュアルミホイールで足元を引き締める。

このスポーツタイヤ装着に合わせ、前後のスプリング・ダンパーを強化し、ボディのフロア前後にクロスバーを追加。またボディからの微振動を減衰する「パフォーマンスダンパー」をフロントに装着している。

セレナ・オーテックスポーツスペックの主なチューニング部位。

それだけではない。よりリニアな操舵感と、レスポンスの良い加速フィールを与えるべく、電動パワーステアリングとシリーズハイブリッド「e-POWER」の制御コンピューターを専用チューニング。さらにはフロントサイドガラスを遮音タイプに変更することで、旋回性能、乗り心地、ハンドリング、アクセルレスポンス、静粛性のすべてをバランス良くレベルアップさせているのだ。

セレナ・オーテックスポーツスペックのリヤまわりにはエアロバンパーとメタル調のプロテクターを装着し、さりげなく上質かつスポーティに。

対するノートオーラの「オーテックスポーツスペック」はどうか。ドレスアップ、チューニングとも、基本的な方向性はセレナと共通だが、ベース車のエクステリアが2024年6月のマイナーチェンジにより、以前にも増して前衛的にデザインへと一新されたことで、「オーテック」シリーズの落ち着いた大人の上質感がより一層引き立つようになったのが興味深い。

ノートオーラ・オーテックスポーツスペックのフロントまわり。メタル調フィニッシュがベース車とは異なる落ち着いた雰囲気を醸し出す。

インテリアも、セレナが機能性も重視してレザレットを全面的に採用しているのに対し、ノートオーラはシートに本革、インパネやアームレストにレザレットを使い分けている。

シートに本革を使用したノートオーラ・オーテックスポーツスペックのインテリア。

タイヤはサイズこそベース車と変わらない(ロードインデックスは89Vから93Wへ強化)ものの、銘柄を操縦安定性と乗り心地のバランスに優れたミシュランeプライマシーに変更。サスペンションはスプリングとダンパーを単に強化するのみならず、リヤダンパーをモノチューブ式に変更することで、路面の凹凸や横風によるふらつきを抑えているのもポイントだ。

ノートオーラ・オーテックスポーツスペックは205/50R17 93W XLのミシュランe-プライマシーと専用17インチダークグラファイトフィニッシュアルミホイールを履く。

さらに、「パフォーマンスダンパー」を車体フロア後端に追加したほか、ダウンフォースを向上させる大型ルーフスポイラーを装着。電動パワーステアリングと「e-POWER」の制御コンピューターを専用チューニングして、ノートオーラがベース車の時点で備えている上質感を一段と際立たせた。

ノートオーラ・オーテックスポーツスペックの主なチューニング部位。

ところでノートオーラには、同じくNMCがチューニングを手がけるコンプリートカー「ニスモ」も設定されているが、「オーテックスポーツスペック」とはどういった点が異なるのだろうか?

オートサロンの会場で同社の説明員が答えてくれた説明は、極めて簡潔明瞭だった。

「ニスモはピュアスポーツで、乗り心地よりも速さを重視しています。対してオーテックスポーツスペックはプレミアム。走りだけではなく快適性や上質さも重視しているのです」

それを端的に示しているのが、「パフォーマンスダンパー」の有無なのだとか。

「ですからニスモには、パフォーマンスダンパーは装着されていません。また先代セレナのオーテックスポーツスペックもパフォーマンスダンパーが非装着だったのですが、新型セレナのオーテックスポーツスペックには装着して、2列目以降も快適に過ごせるようチューニングしています」

そして、こうした明確な作り分けが可能なのも、両車を同じNMCが開発するメリットと言える。

「パーツを共用できるところは共用し、セッティングだけ変更することで、より安価にお客様へ提供できるのも、開発元が同じ強みでしょうね」

家族の身体にもお財布にも優しい「オーテックスポーツスペック」は、全国の日産ディーラーにも試乗車が順次配備されていくとのこと。ぜひ家族連れで試してみてほしい。

ノートオーラ・オーテックスポーツスペックのリヤまわり。ダウンフォース増大により直進安定性を高める大型ルースポイラーが装着されている。

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著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…