端正な表情と先進機能を導入して大刷新「プジョー・リフター」【最新ミニバン 車種別解説 PEUGEOT RIFTER】

24年夏にエクステリアを中心にマイナーチェンジが図られた「プジョー・リフター」。ボックス型のLEDライトになったヘッドライトとブラック一色となったフロントフェイスや視覚的に低重心の印象で安定感をもたらすリアデザインなど、トレンド感をプジョーらしくミックスしている。先進運転支援機能も大幅に向上し、爽快かつ安定感と安心感を提供している。
REPORT:島﨑七生人(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽/中野幸次 MODEL:渡川もも

プジョーらしさを継承しつつ見た目も機能性も大幅進化

ご存知のとおりシトロエン・ベルランゴ、フィアット・ドブロとともにバッジエンジニアリングにより生まれた1台がこのプジョー・リフターだ。日本市場へはベルランゴに続いて2020年11月に導入された。

エクステリア

5人乗りと7人乗りでボディサイズが異なり、7人乗りの「LONG GT」は全長が4760㎜となる。いずれにせよ日本の道路環境でも使いやすいサイズ感ではあるが、「LONG GT」の最小回転半径は5.8mと、それほど小回りが効くわけでもない。テールゲートを開けたときは先端部分の高さは約2050㎜となるが、下に向かって引っ張りやすいようにベルトが装備されている。
リヤには新デザインのPEUGEOT ロゴを装着。ライオンの3本爪をモチーフにしたフロントデザインもリフレッシュされ、LEDヘッドライト&フォグライトを新たに採用した。最小回転半径は5.8m。

直近の2年8月にはマイナーチェンジを受け、新型に切り替わったばかり。エクステリアデザインではまずフロントまわりの表情を一新。これまでのめっきのフレームが付いた比較的オーソドックスだったグリルが、最新のライオンのロゴをあしらいつつ、周囲をブラックアウトしたブロック状のパターンに変更。デイライトもブロック状になった。またヘッドライト、フォグランプは従来のハロゲンからLEDに替え、夜間の視認性を向上させている。リヤに回ると、PEUGEOTレタリングロゴが幅広く配置され、これはメーカーの説明によれば〝視覚的に重心が低くなり、安定感を印象づけたもの〞となっている。

乗降性

インテリアでは、中央のタッチスクリーンがこれまでの8インチから10インチに大型化。インフォテイメントシステムも刷新され、他のプジョー車と同様にOTA(=オーバー・ジ・エアー)により車両のソフトウェアアップデートが可能となり、常にソフトウェアを最新の状態に保てるようになった。Apple CarPlay、Android Auto対応のUSBコネクターには新たにType-Cが採用されている。そのほかメータークラスターが従来のアナログメーターからデジタルメーターに変更されており、表示がドライバーの好みの設定に切り換え可能になった。ほかにステアリングヒーターも新装備となっている。インストゥルメントパネルは従来のブラウン/ブラックのツートーンからグレー/ブラックのツートーンに変更、シート生地はエンボス加工を施したファブリックとなった。従来の5人乗りにあったマルチパノラミックルーフ、リヤシーリングボックスが廃止され、リヤゲート間口を最大化(特に上方)、大型の荷物の積載が可能となっている。

インストルメントパネル

大きなセンターコンソールを備える基本構造に変更はないが、センタータッチスクリーンは8インチから10インチに拡大。新たにデジタルメーターとステアリングヒーターも採用。

先進運転支援機能関係では、アクティブクルーズコントロールがミリ波レーダーの追加で性能向上、停止後3秒以内の再発進が可能に。レーンポジショニングアシストも追加された。クルーズコントロール&スピードリミッターのスイッチは、ステアリングコラムからステアリング上に変更され操作性を向上させている。

居住性

ラインナップはこれまでどおりで、「GT」と「LONG GT」の2タイプ。いずれもターボチャージャー付きの1.5ℓ直4ディーゼルエンジンと8速ATの組み合わせだ。ボディカラーはシルカ・グリーン、ペルラ・ネラ・ブラック、アイシー・ホワイトの3色で展開する。

うれしい装備

一脚ずつ独立している3列目シートは、車体から取り外すことも可能。荷室スペースを最大化したいときに便利だ。ただし、シート自体が重いので、頻繁に外すような使い方には向いていない。
月間販売台数      NO DATA
現行型発表    19年10月(マイナーチェンジ 24年8月)
WLTCモード燃費   18.1 ㎞/ℓ

ラゲッジルーム

……とマイナーチェンジの内容の主立った点をお伝えしたが、実は本稿の締め切りまでに試乗が叶わなかったことをお断りしておきたい。ただしエンジンが従来モデルと同様ということで、走りはこれまでどおり〝シュッ〞とした、兄弟車3車の中ではプジョーらしい爽快なキャラクターは変わらないはずだ。ステアリングの上からメーターを見るプジョー独特のポジションも、このリフターにこそ相応しいとも思う。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.164「2025年 最新ミニバンのすべて」の再構成です。

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