スズキ 新型「eビターラ」日本初公開! 2031年に売上収益8兆円を目指す、インド・EV戦略を本格化

スズキは、新中期経営計画を発表し、2031年3月期までに売上収益8兆円、営業利益8000億円を目指す。「e VITARA」をはじめ2030年までにBEVを6モデルを投入予定。インド市場では生産能力を強化しシェア50%を狙う戦略だ。

2031年に営業利益8000億円目標 – インド市場強化と電動化推進

スズキ株式会社は2月20日、2025年から2030年度を対象とした新中期経営計画を発表した。この計画では、2031年3月期までに売上収益8兆円、営業利益8000億円、営業利益率10.0%、ROE(自己資本利益率)13.0%を目指すと明示している。また、研究開発と設備投資にそれぞれ6年間で2兆円、合計4兆円を投じる計画だ。  

新中期経営計画「By Your Side」は、スズキの創業精神や社是、行動理念である「小・少・軽・短・美」「三現主義」「中小企業型経営」といった同社のオペレーティングシステム(OS)を反映し、生活に密着したインフラモビリティの提供を目指すものだ。この計画の一環として、2030年代前半には営業利益率10%以上、ROE15%以上の高収益体質を実現することを目指している。  

新中期経営計画を発表した鈴木俊宏社長

現行の中期経営計画(2021~2025年度)を振り返ると、2024年3月期の実績で売上高5.4兆円、営業利益率8.7%、ROE11.7%を達成し、目標を前倒しでクリアした。しかし、インド市場でのシェア低下や電動車の競争激化など、事業環境の変化に直面し、戦略の再考が必要と総括している。  

新たな計画の具体的な取り組みとして、日本市場ではラインアップの拡充を図り、ハイブリッド車(HEV)の強化や、2025年度中にバッテリー電気自動車(BEV)「e VITARA」と軽商用バンBEVの2モデルを導入する予定だ。さらに、2030年度までにBEVを6モデル投入する計画である。  

新型バッテリーEV「eビターラ」

インド市場においては、自動車業界のリーディングカンパニーとしてシェア50%を目指し、年400万台の生産体制を構築する。また、BEVの生産・販売・輸出でトップを狙う方針だ。  

トヨタ自動車とのアライアンスでは、先進安全技術やBEVユニットとプラットフォームの共同開発などで協業を継続する。具体的には、スズキからトヨタへ「e VITARA」や「バレーノ」などを供給し、トヨタからスズキへは「ランディ」や「アクロス」などが供給される予定である。  

財務戦略として、研究開発と設備投資にそれぞれ6年間で2兆円を投じ、EV比率の増加や労務費の上昇、原材料費の上昇に対応する。販売台数の増加や商品・ブランド価値の向上を通じて収益性を改善し、2030年代前半には営業利益率10%以上、ROE15%以上の高収益体質を実現することを目指している。  

新中期経営計画「By Your Side」では、2031年3月期までに売上収益8兆円、営業利益8000億円を目標としている。

スズキの電動化戦略の象徴的なモデル「eビターラ」を日本初公開

最小回転半径は5.2m、車両重量はグレードにより1702kg〜1899kgとなっている。

スズキは新中期経営計画の発表と同時に、新型バッテリーEV「eビターラ」を日本で初公開した。このモデルは、同社のグローバルEV戦略の一環として2025年度に発売予定で、軽商用バンBEVとともに日本市場への投入が計画されている。「eビターラ」はスズキの電動化戦略の象徴的なモデルとなり、2030年度までに投入予定の6車種のBEVラインアップの先駆けとなる。

全長4275mm×全幅1800mm×全高1635mm、ホイールベースは2700mm。

インド市場においても「eビターラ」は重要な役割を担い、EVシフトが進む中で市場競争力を高める狙いがある。スズキはインドでのEV生産体制を強化し、今後の成長の柱として電動車の展開を加速させる方針だ。

今回の新中期経営計画「By Your Side」は、スズキがこれからの6年間で持続的な成長と社会への貢献を果たすための指針となる。同社は、顧客に寄り添い、生活に密着したモビリティの提供を通じて、さらなる飛躍を遂げることを目指している。

バッテリー容量は、49kWh(FWD)と61kWh(FWD or 4WD)の2種類をラインナップする。

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