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内装質感や装備が大幅に向上 柔軟な乗り味で操舵性も良好

日本ではミニバンにカテゴライズされているが、欧州では“フルゴネット”という商用バンとしての方が認知度の高いカングー。最大積載量987㎏のモデルまで存在するため、ボディのしっかり感は乗用車のレベルを遥かに超える。
エクステリア




現在のモデルは第三世代。二世代目までは商用車の雰囲気を色濃く残し、価格が安い代わりに、内装がフルトリムでなかったり、樹脂部品の仕上げが粗くバリが目立ったりしていたが、むしろそんな“素材感”が受けていた。三世代目は打って変わって、内装品質や快適装備・安全装備を乗用車レベルにアップデート。エクステリアもキリッと精悍になった。この点に賛否はあるものの、本国にはない無塗装黒バンパーや乗用モデルのダブルバックドアを堅持したルノー・ジャポンには敬意を表したい。
乗降性


パワーユニットはメルセデス・ベンツと共同開発した1.3ℓガソリンターボと、日産と共同開発した1.5ℓディーゼルターボの2種類。後述する限定車を除き、トランスミッションは7速デュアルクラッチ式AT(EDC)だ。ガソリンエンジンは発進からスムーズ。ターボラグが出そうな回転数をEDCが巧みに避けるので、全域でストレスは感じない。100㎞/hからの加速の伸びも良く、高速走行も快適だ。ディーゼルは従来型の最終モデルと同じ、鋳鉄ブロックにSOHC2バルブという古典的仕様。
インストルメントパネル

ターボ過給によって低中速トルクはライバルに劣っていないが、追い越し加速など高回転側の伸び感は、一歩譲る印象がある。NOX処理には尿素SCRを使用するため、1万㎞に1回程度の補充が必要だ(走り方によって違いはある)。乗り心地はしなやか。車重の重いディーゼルモデルの方が“しっとり感”があるが、軽量なガソリンモデルは動きが軽快だ。コーナーでは姿勢変化を許容しながら、タイヤは粘り強く路面を捕らえ続ける。峠を攻めるタイプのクルマではないが、曲がった先が思ったより回り込んでいたような場合でも、安心して対処することができる。
居住性


運転支援システムは、日産のプロパイロットに相当するものを標準装備。アダプティブクルーズコントロールの加減速や、レーンセンタリングアシストのステアリング制御は、熟練ドライバー並みの滑らかさだ。ぜひ押さえておきたいポイントは、定期的に特別限定車が用意されること。専用色が設定されたり、専用装備が装着されながら、価格は据え置きか、むしろ安いこともある。最新の限定車は“クルール ディーゼルMT”。日本向けラインナップにはない6速MTを搭載し、マルチルーフレールやイージーパーキングアシストを装備しながら、価格は399万円と、ディーゼルEDC車より20万円安いバーゲンプライスだ。
うれしい装備





月間販売台数 NO DATA
現行型発表 23年2月
WLTCモード燃費 17.3 ㎞/ℓ※ディーゼル車

ラゲッジルーム


ただし140台限定の抽選販売で、受付期間は11月10日まで。限定数に達しない場合は通常通りの先着順になるが、本誌発売時点で残っているかどうかは微妙なところ。2023年のカングージャンボリーで3列シートの“グランカングー”がお披露目されたが、販売開始がいつになるかは、現段階では未公表だ。

