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高速道路や山道も安定感抜群 同乗者も快適で安心の走り
日本市場への導入は2016年1月のことだったから、ほどなく9年目を迎えようとしている、実に息の長いモデル。名義上は“ゴルフトゥーラン”で、MQBプラットフォームを採用した7代目ゴルフと同世代だ。現行VW車のラインナップはSUV系を充実させており、ミニバンのカテゴリーというとかつては上級車のシャランの設定もあったが、今はなく、目下のところこのゴルフトゥーランがVWでは唯一のミニバンとして用意されている。
エクステリア




全長×全幅×全高=4535㎜×1830㎜×1670㎜、ホイールベースは2785㎜。目安としてこの原稿執筆時点での現行型ゴルフ(8型)と比べておくと、全長はハッチバックより240㎜長く、ヴァリアントに対しては105㎜短い。またホイールベースは、ハッチバック(2620㎜)+50㎜のヴァリアント(2670㎜)よりさらに115㎜長い2670㎜だ。とは言え最小回転半径は5.5mに留められ、1830㎜の全幅が日本の道路、駐車場事情でも大きな支障にならないことは、実車を取り回してみるとわかる。
乗降性



当初から大きく変わらないスタイリングは、装飾を最小限にした旧来からのVW車らしいシンプルさが好ましい。また分類上はミニバンながら、後席用のドアは日本車のようなスライド式ではなくヒンジ式のスイングドアを採用。生活臭がなくスマートなピープルムーバーがいい……と考えるユーザー向きだ。余談ながらVW方式で、ハッチバックのゴルフ同様にこのクルマは“4ドア”と称している。もちろんドアは大きく開き、開口部形状も広く取られているから乗降性はスムーズ。ちなみに3座個別の2列目シートの左右席にはイージーエントリー機能が備わり、レバー操作で2列目シートが前方にスライドしつつ跳ね上げられるので、3列目シートへの乗り降りを容易なものにしている。
インストルメントパネル

室内空間はミニバンらしく天地に余裕があり、少し高めの着座位置により見晴らしが良い。3列目は誰が座るかにもよるが、2列目シートの調整により、大人でも何とか実用レベルのスペースが確保できる。スペースと言えば3列目のシートを起こした状態では、さすがにラゲッジはミニマム。スーパーの買い物袋を落ちないよう気を配りつつ、載せ降ろしするといったところ。むしろこのクルマの場合は2列目、3列目を畳むと、広くフラットな床が出現する(助手席背もたれを前倒しさせると前後方向のスペースが最長で使える)。
居住性



2列目を起こした状態でも奥行きが1mほどのスペースが確保されているので、いざとなればイケアでもコストコで(!)躊躇なく出掛けられる。テールゲートは電動パワー式で、荷物で両手が塞がっていたら、バンパー下に足をかざして外からゲートを開けることも可能だ。一方でミニバンとして考えたときの秀逸な走りの実力も光る。高速で安定感があり、山道でも自然な身のこなしをみせてくれ、同乗者にとっても快適性が高い。
うれしい装備





月間販売台数 61台(24年5月~10月平均値)
現行型発表 16年1月(一部仕様変更 21年4月)
WLTCモード燃費 16.3 ㎞/ℓ※ディーゼル車

ラゲッジルーム



搭載エンジンは1.5ℓガソリンと2.0ℓディーゼルの2機種のインタークーラーターボを設定。いずれも7速DSGの組み合わせで、十二分な性能とレスポンスを発揮してくれる。

