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3列目格納時は荷室広々 低燃費なハイブリッドも好感

シエンタという名前はスペイン語の7(Siete)に由来。「こんな小さなボディだけど7人乗れるんだぞ」という思いを込めて付けられた。だからすべてのグレードに、3列シートの7人乗りを用意する。
エクステリア




その3列目シートの折り畳み方が秀逸。ミニバンの多くは、3列目シートは左右に跳ね上げて格納する方式だが、シエンタは2列目シートを持ち上げると、その下にスッポリと仕舞うことができる。この機構により3列目格納時でもラゲッジルームは制約されず、広々使える。反面、3列目を格納/展開する際に、2列目を動かす手間が掛かるし、2列目にチャイルドシートを付けてしまうと、その付け外しをする手間が上乗せされる。ここがシエンタ7人乗りの要注意ポイントだ。
乗降性



だから3列目は頻繁に出し入れするのではなく、普段は格納しておいて、息子家族が帰省した際に展開して使うとか、友人を駅まで送迎するとか、6〜7人で食事に行くとかいったシーンで使用すると良い。CMのイメージでは子育てファミリー向けのように見えるシエンタだが、2列シートの5人乗りは大人の趣味グルマにピッタリ(これも全グレードで選べる)。2列目席は背もたれを前に倒すと、7人乗りで3列目の格納に使っていたスペースにダイブダウンするので、ラゲッジフロアは完全にフラットになる。床の前後長も2mを超えるため、車中泊もしやすい。荷室高は1mを超えるため、ロードバイクやMTBなども車輪を付けたまま搭載できるなど、アウトドア・アクティビティのシーンで便利に使えるのだ。
インストルメントパネル

シエンタに用意されるパワーユニットは、1.5ℓ3気筒の直噴ガソリンエンジンと、それをポート噴射化してTHS―Ⅱシステムと組み合わせたハイブリッドユニットを用意する。前者のトランスミッションには、〝ダイレクトシフトCVT〞を採用。発進時には伝達ロスの少ないギヤトレーンを使用するため、小気味の良い発進加速が味わえる。直噴エンジンは低速トルクがしっかり出ている反面、爆発間隔が4気筒より長く、気筒当たりの容積も同じ排気量の4気筒より大きいため、燃焼音は低周波寄り。これを「力強い」と感じるか「うるさい」と感じるかで、このクルマの評価は変わってくる。とは言え急坂の登坂や高速の合流、追い越し加速でもなければ、感じるシーンはないのだが。
居住性



特筆すべきは、ハイブリッド仕様車の低燃費ぶり。ユーザー参加型燃費登録サイトでは、20㎞/ℓ超えの報告が当たり前になっている。ドライブフィールは、ズバリ〝日本の市街地ベスト〞。ハンドルの操作力は比較的軽く、混雑した街中や狭い路地、駐車操作も楽々。乗り心地はソフトで、路面店に出入りする際、横断歩道の段差なども快適に乗り越えられる。ただし、低速域ではタイヤの硬さやサスペンションの初動の渋さ、路面変化によるロードノイズの変化が大きめに感じられることもある。
うれしい装備





月間販売台数 9576台(24年5月~10月平均値)
現行型発表 22年8月(一部改良 24年5月)
WLTCモード燃費 28.8 ㎞/ℓ※「HYBRID X」の5人乗り/FF車

ラゲッジルーム



またダウンサイザーには、操舵感が頼りなく思えることもあるかも。サスペンションにお金を掛けて、クロスオーバーSUV風モデルを追加すれば、魅力はさらに高まると思う。

