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■スポーツ感覚あふれる原付レジャーバイク「モンキーR」

1987(昭和62)年3月18日、ホンダは1967年の発売以来キュートなスタイルと使い勝手の良さで、幅広いユーザー層に人気のレジャーバイク「ホンダ・モンキー」に、スポーティな装備とパワーアップによって走りが楽しめる「モンキーR」を追加した。
60年も前から長く愛され続けているモンキー


モンキーの原型は、ホンダが経営していた遊園地“多摩テック”の遊具として開発された5インチのホイールを履いた小さなバイクだ。これをベースに、1963年に小さくて楽しいレジャーバイクとしてCZ100が輸出モデルとしてデビュー。海外で人気となったことから、1967年から国内で「モンキー(Z50M)」とネーミングされて販売が始まった。

モンキーは、構造が簡単な超小型・軽量、さらに分解組立が簡単なことが特徴の原付バイクで、エンジンはスーパーカブシリーズ用の最高出力2.5ps/最大トルク0.31kgmを発揮する49㏄空冷単気筒OHV 4ストロークを搭載。変速機構は、3速MT(自動遠心クラッチ)を組み合わせた。

モンキーは、スーパーカブに次ぐロングセラーであり、派生車が多いことも特徴で、1978年には兄弟車「ゴリラ」がデビュー。クルマに積んで目的地で楽しむことを前提としたモンキーとは異なり、ゴリラはツーリングで目的地まで移動できる、より実用的なモデルとして人気を獲得した。
可愛いだけでなくスポーティな走りが楽しめるモンキーR
1987年3月のこの日追加されたモンキーRは、スポーティな装備を追加してエンジンのパワーアップによってスポーティな走りが実現された。

エンジンは、従来の49㏄空冷単気筒OHC 4ストロークだが、最高出力を3.1ps→4.5psに向上。フレームはコンパクトで高剛性のバックボーン式・ツインチューブフレームを採用し、前輪に油圧式ディスクブレーキやテレスコピックフォークを装備など、コンパクトなボディながら本格的な仕様へと変更された。
さらに、スポーティな極太クロームメッキのマフラーカバーやエアロフォルムの可動式リアフェンダー、ワイドで力強い感覚のチューブレスタイヤ、軽快なライディングポジションを生むハンドル形状などの採用によって、より軽快でスポーティな走行が楽しめるレジャー用バイクに生まれ変わったのだ。
車両価格は、15.9万円。当時の大卒初任給は15.2万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約25万円に相当する。
モンキー進化の軌跡
モンキーは、1967年の発売以来、小さな変更も含めてユーザーの期待に応えるように進化し続けている。

・1969年:国内外でヒットしたモンキーの走行性能を向上させるため、8インチホイールに大型化して、フロントフォークのサスペンション、バッテリーを標準装備にしてウインカーを装備。

・1970年:フロント部とボディが分離できるセパレートタイプを追加。

・1974年:燃料タンクが2.5Lから4Lの台形タンクに拡大。リアもリジットからスイングアーム式に変わって、前後ともサスペンション式になり、エンジンはOHVからOHC機構に変更。この世代のモンキーが米国で大ヒットして、世界中にモンキーの名が広まった。

・1978年:燃料タンクが4Lから5Lタンクに拡大され、大きなシートやキャリア、ヘッドライトなどアメリカンな雰囲気にイメージチェンジした。

・1985年:出力と燃費を向上させた新エンジンを採用、出力が3.1ps/0.32kgmに上がり、さらにMTが4速化されることで、90km/Lの燃費を実現

・2009年:2008年に一旦生産終了となったものの2009年に復活。最大のポイントは、排ガス規制に適合するためにFI(インジェクション)化され、三元触媒が搭載されたこと。出力は、3.4ps/0.35kgmに向上したが、排ガス対応と大幅な車体の変更によって、価格がそれまでの約1.5倍に上昇した。

そして、2017年に惜しまれつつ生産が終了、翌2018年に排気量125ccエンジンを搭載して大きくなった「モンキー125」にバトンタッチされた。
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人気のモンキーも後半になると、クルマと同じように楽しむバイクの需要が減って、人気も低迷してきた。新型モンキーが125ccに排気量を上げたのは、排ガス規制が楽になることもあるが、レジャー用バイクとして楽しむだけでなく、通常の街乗りでも使うストリートバイクの役目も果たすという狙いがあるのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。