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■女性をターゲットにした2WDのジムニーL登場
2000(平成12)年3月21日、スズキは人気の軽オフローダー「ジムニー」3代目に、2WDモデルの「ジムニーL」を追加した。ジムニーLは、駆動方式を2WDのFRとし、街乗りを気軽に楽しみたい女性をターゲットにして外観もファッショナブルにアレンジしたモデルだ。

軽オフロード4WDを確立した初代&2代目ジムニー

初代ジムニー(LJ10型)は、1970年に誕生した。ラダーフレームや頑丈な前後リジットアクスル、2WD/4WDを切り替えるパートタイム4WD、副変速機付トランスミッション、大径タイヤを装備した本格的なオフローダーであり、この構成はその後のジムニーの進化の過程でも引き継がれている。



パワートレインは、359cc直2の水冷2ストロークエンジンと4速MTの組み合わせ、車重が600kgという軽量ボディなので悪路や砂地でも十分な走破性を発揮。手頃なサイズの本格オフローダーとして存在感を示した。


1981年には、初のモデルチェンジを行ない2代目(SJ30型)がデビュー。初代に続いた2代目は、ジープ風から当時のRV感覚を取り入れたダイナミックなボクシースタイルへ変貌し、キャンバスドア/ハーフメタルドア/フルメタルドアなど豊富なバリエーションが用意された。

パワートレインは、パワーアップした539cc直3の 空冷2ストロークエンジンと4速MTの組み合わせ、駆動方式はパートタイム4WD。小型ジープというイメージから、RV風のスタイリングに変わった2代目ジムニーは、アウトドア好きの若者からの人気を獲得することに成功、この2代目で現在のジムニーの原型が出来上がったのだ。

オフロードとオンロードを融合させた3代目ジムニー

1998年、軽自動車の規格改定に合わせて登場した3代目(JB23型)は、ボディが大きくなり、ソフトな丸みを帯びたフォルムに変貌した。

従来のコンセプトを継承しつつ、特徴は優れた悪路走破性とオンロードでの快適性を高次元で融合したこと。前後ともコイルスプリングを用いたサスペンションが十分な吸収能力を持ち、市街地でもスムーズな走行を可能にしたのだ。

さらにリアに横開きゲートを持つワゴンボディは、十分な室内空間と荷室空間を確保した。分割可倒式の後席を畳むとさらに広い荷室空間ができ、また前席をフルリクライニングすれば仮眠スペースが生まれるといった具合に、日常的にほとんどのシーンで不自由なく、快適に使いこなせるのも大きな魅力だ。
パワートレインは、2代目後期から搭載された最高出力64ps/最大トルク10.8kgmを発揮する660cc直3 DOHCインタークーラー付ターボエンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。これらにより、オンロードでもレスポンスよくパワーフルな走りを体感できた。
3代目に女性向けの2WDジムニーを追加
2000年3月のこの日、3代目に女性をターゲットにしたジムニーLが追加された。最大の特徴は、ジムニーの代名詞でもある4WDでなく、2WD(FR)モデルであること。

女性にも好まれるように外観がファッショナブルにアレンジされ、専用車体色(パールホワイト)、スモークドガラスの採用や、車体同色化したドアミラー、サイドアンダーミラー、ドアハンドル、前後バンパーなどが装備された。

さらに快適性や利便性にも配慮。エアコン、AM/FMラジオ付カセットステレオ、パワーステアリング、パワーウインドウ、パワードアロック、キーレスエントリー、抗菌インテリアが標準装備され、豊富な収納スペースを設けて小物類を便利に収納できるのも女性ユーザーへの配慮である。
パワートレインは、高出力の660cc直3 DOHCインタークーラー付ターボエンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ、車両価格は114.3万円(5速MT)/124.1万円(4速AT)に設定された。当時の大卒初任給は、19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約133万円/145万円に相当する。
新たな挑戦だったカジュアル系のジムニーLは、残念ながら人気は得られず、1年足らずで生産を終えた。

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ユーザー層の拡大を狙ったジムニーLの設定だったが、そもそも4WDで真価を発揮するジムニーなのに2WDとは?と、ジムニーファンからソッポを向かれ、中途半端なジムニーLで終わってしまったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。