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■シャープなスタイリングに変貌した4代目カローラ
1979年(昭和54)年3月23日、1970年代の厳しい排ガス規制を乗り超えたトヨタは、全面的に改良を加えた4代目「カローラ」をデビューさせた。4代目カローラは、1980年代をリードする高級大衆車を目指して、国際的にも通用する直線的なシャープなスタイリングで、先代から続くワイドバリエーションを展開した。


日産サニーに対して“プラス100ccの余裕”で登場した初代(E10系)
1966年11月、日産自動車の「サニー」から遅れること7ヶ月、トヨタ「カローラ」の発売が始まった。1961年にデビューした小型大衆車「パブリカ」よりもワンランク上の大衆車として、ユーザーの上級志向に応えるのがカローラの使命だった。

サニーに負けられないトヨタは、“プラス100ccの余裕”というキャッチコピーで、サニーより100cc排気量が大きい、最高出力60ps を発揮する1.1L直4 SOHCエンジンを搭載。スタイリングは、当時最先端のセミファストバックが採用された。

サニーより遅れてデビューしたカローラだが、発売から3年半で100万台を超え、当時のミリオンセラー最短記録を達成し、販売台数でサニーを上回って大衆車トップの座を獲得。その後もカローラとサニーのライバル関係は続き、“C(カローラ)S(サニー)戦争”と呼ばれた熾烈な販売競争をしながら、日本のモータリゼーションをけん引するという重要な役割を果たした。
ボディを拡大して居住性を高めた2代目(E20系)
2代目カローラは、1970年にデビューした。最大の特徴は、ホイールベースを50mm伸ばしてボディを拡大し、車室内空間を広げてファミリーカーとして快適性を向上させたこと。セダンに加えてクーペ、ライトバンが用意され、エンジンは1.2L直4 SOHCに1.4Lエンジンが追加された。

2代目を機に、初代で設定されていたスポーティモデル「カローラスプリンター」が、カローラから独立して兄弟車「スプリンター」となった。また1972年3月には、クーペボディにパワフルな1.6L DOHCエンジンを搭載したTE27「カローラレビン/スプリンタートレノ」が追加され、ここにレビン/トレノの歴史が始まった。

ニーズに応えた豊富なバリエーションの3代目(E30系)
3代目カローラは、衝突安全性能を確保するためにさらにボディは大きくなり、上級車並みの快適性と安全性を追求した“大衆車の決定版”というコピーで登場した。

ボディバリエーションは、発売当初のセダン、ハードトップ、バンに、リフトバックとクーペを追加。パワートレインも、1.2L/1.4L/1.6L直4 SOHCエンジンに、トランスミッションは4速/5速MTと2速/3速ATの組み合わせと多彩だった。
多彩なバリエーションと手頃な価格のお得感もあり、3代目も引き続き人気を獲得した。

バリエーションを強化しながらブラッシュアップを図った4代目(E70系)
1979年3月のこの日に4代目がデビューした。4代目が目指したのは、“総合的に優れた、1980年代をリードする高級大衆車”である。

ボディタイプは先代に引き続き、セダン、ハードトップ、クーペ、リフトバックと、多彩なバリエーションを設定。それぞれに特徴を持たせ、セダンはフロントロー&リアハイの直線基調のシャープなスタイリング、ハードトップは軽快さ、新設定のクーペはスポーティなイメージ、リフトバックはスポーツワゴン風のデザインに仕上げられた。

パワートレインは、72psの改良版1.3L直4OHV、83psの1.5L直4 SOHC、110psの1.6L直4 DOHCの3種のエンジンと、先代同様4速/5速MTおよび2速/3速ATが組み合わされた。その後もモデル強化が行なわれ、1982年にはカローラ初の65psを発揮する1.8L直4 SOHCでディーゼル車が追加された。

車両価格は、セダンが71.8万~128.5万円。当時の大卒初任給は11万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約150万~269万円に相当する。

バリエーションを強化して、全体的にブラッシュアップした4代目だったが、好調だった販売も1980年を過ぎた頃には伸び悩んだ。1980年代を迎える頃には、居住性に有利なFF車が台頭したためだった。


これ受けてトヨタは4代目でFRを止め、5代目からFFレイアウトに切り替えることを決断したのだ。

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FF化については、トヨタはホンダと日産に遅れを取っていた。日産は1970年の「チェリー」、ホンダは1972年の「シビック」で採用し、トヨタが初めてFFを採用したのは1978年の「ターセル/コルサ」だった。市場の反応を見てアクションを起こすトヨタらしいのかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。