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モデルライフ終盤であろうと、改良も特別仕様車も手抜かりなく
トピックはふたつ。
ひとつは一部改良、もうひとつは特別仕様車の発売。
トヨタはいずれについても昨年2024年11月28日にその概要を発表ずみだが、その日本発売の詳細が決定したことによる、あらためての正式発表だ。
昨年2024年のTGR発表では、「スープラ3.0Lモデルの改良と、特別仕様車”A90 Final Edition“を発売」としており、このとき「検討中」としていた特別仕様車の日本発売は、当初から2025年春と決めていたヨーロッパ発売と合わせる格好になった。
“A90 Final Edition”は限定150台。

受付は全国のGR Garage店頭にて行われ、期間は本日3月21日から4月13日、当選発表は5月9日予定としている。
また、来月4月12日(土)、13日(日)に岡山国際サーキットにて開催される、2025 AUTOBACS SUPER GT Round1にて、今回の改良型スープラRZと特別仕様“A90 Final Edition”を展示予定という。
RZの一部改良、A90 Final Edition、それぞれの概要について述べていく。
1.一部改良内容(RZ)
最近のトヨタ車の「一部改良」は、レクサス車も含め、外観は「一部改良」ほどにも変えず、中身をマイナーチェンジ以上に手を入れる「一部改良」が常套になっている。
今回のスープラもその例に漏れない。
今回のRZの「一部改良」は、市街地からワインディング、サーキットまで存分に走りを楽しめるよう、「さらなる一体感のある走り」を追求。安心・安全のためのブレーキ性能を向上させた上で、ボディ、サスペンション、シャシー剛性の向上およびチューニングの最適化、空力性能の改善を施したという。

改良点は次のとおり。
1.ドライブトレーン
・新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善した。

2.ブレーキ
・大径化したbrembo製ディスクブレーキをフロントに採用し、制動性能を強化した。

3.ボディ・サスペンション
・状況に応じて減衰力を調整する電子制御ダンパーの特性を見直し、合わせてフロントスタビライザーも強化することで、走行性能を向上。
・前後スタビライザーブラケットにアルミ強化品を採用したのと、フロントコントロールアームに強化ゴムブッシュを、リヤサブフレームに強化ゴムマウントを採用することでサスペンションとボディの一体感を高め、路面状況がドライバーにをより伝わりやすくなるようにした。
・リヤ床下ブレースの構造を強化することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上させた。

・今回の進化点にあわせ、EPS制御を最適化。ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上させた。
・前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性を向上させた。
4.タイヤ・ホイール
・ホイールカラーにマットブラックを採用し、精悍なスタイリングに磨きをかけた。

5.外装
ダックテールタイプのカーボンリヤスポイラーを採用。フロントにはホイールアーチフラップを追加し、フロントタイヤスパッツの高さを拡大することで前後の空力バランス、ダウンフォースを最適化し、接地性とハンドリング性能を向上させた。



6.内装
ドライバーシートにはGRロゴ刺繡を施したアルカンターラ+本革シート表皮を使用。シフトノブのリングおよびステッチ(6速マニュアルのみ)、シートベルトに赤色を採用しスポーティーさを強調した。



2.特別仕様車“A90 Final Edition”
ベース車の改良と同じレベルにとどまるものもあるが、ベース車以上に大きめ規模の変更を受けている項目の方が多く、内装も「Final Edition」の名にふさわしい、専用仕立ての装備があつらえられている。

特にエンジン性能向上が著しく、こちらは最高出力、最大トルクとも、どちらも変化がないRZに対し、A90 Final EDITIONは大幅に引き上げられている。
1.パワートレーン
・吸気経路を見直し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。それに合わせてエンジン制御を最適化することで出力を285kW(387PS)から324kW(441PS)へ、トルクを500N・m(51.0kgf/m)から571N・m(58.2kgf/m)へ向上させ、加速性能とレスポンスを向上させた。
この最高出力値、最大トルク値は、昨年の発表時点では従来と変わらない値だったが、途中方針が変更されたのか、どちらもアップしている。

・エンジンオイルパンにバッフルプレートを追加。コーナリング性能向上に伴う高G域でのオイルの偏りを防止した。
・エンジン性能向上に伴い、冷却性能を強化。ラジエーター冷却ファンを強化するとともにサブラジエーターを追加し、さらに、ディファレンシャルギアカバーの冷却フィンを大型化した。
・新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善した。
・アクラポヴィッチ製チタンマフラーを採用し、迫力のあるエンジンサウンドを実現させた。

2.ブレーキ
・フロントにbrembo製19インチブレーキと高μブレーキパッドを採用し制動性能を強化。さらに、前後にフローティング構造のドリルドディスクを採用し、スポーツ走行時においても優れた制動力を確保した。

・ステンレスメッシュのブレーキホースを採用し、制動時のホース膨張による圧力伝達損失を抑え、強化したブレーキシステムの性能を最大限引き出した。
3.ボディ・サスペンション
・GR Supra GT4が採用しているKW製サスペンションを採用。伸び側16段、縮み側12段の減衰力調整を備えて様々な使用状況に対応したほか、前後スタビライザーを強化することで、限界性能を向上させた。
・フロントロアアームに強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを採用し、リヤサブフレームをGR Supra GT4と同じアルミリジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感を向上させた。
・フロントカウルブレースを強化した上で、フロント床下ブレースを追加。リヤ床下ブレースの構造を強化し、室内には強化ラゲージクロスバーを採用することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上させた。



・今回の進化点にあわせ、EPS制御を最適化し、ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上させた。
・前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性能を向上させた。
4.タイヤ・ホイール
・10mm拡幅したハイグリップタイヤ「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」を採用。コーナリング時の安定性および限界性能をさらに向上させた。
・フロント19インチ、リヤ20インチの軽量ホイールにはTGRのロゴを刻印した。
5.外装
・GR Supra GT4の開発を担当するTOYOTA GAZOO Racing Europe(以下、TGR-E)が空力性能開発を担当。TGR-Eの持つモータースポーツ参戦を通じて得た知見と、風洞実験施設を用いてテストを重ね、開発した。
・カーボンフロントスポイラー、カーボンフロントカナード、フロントセンターフラップを採用。さらに、GR Supra GT4を彷彿させるスワンネック構造のカーボンリヤウイングを装備することで前後の空力バランス、ダウンフォース、ドラッグを最適化し、接地性とハンドリング性能を向上させた。
・カーボンボンネットダクトを追加。脱着式のインナーダクトを採用し、取り外し時には冷却性能向上に寄与するという。



6.内装
・シートパッドにアルカンターラ素材を使用したレカロ製カーボンフルバケットシート「RECARO Podium CF」を採用。走行性能向上によりドライバーにかかるGが増加する状況においても、しっかりと体をホールドし正確なドライビングをサポートします。また運転席シートを赤色とし、ドライバーオリエンテッドコクピットを強調する。
・ステアリングホイール、ドアトリム、センターコンソールニーパッド、センターアームレスト、シフトノブ・ブーツ、インストルメントパネル中央部の表皮にアルカンターラ素材を使用。また、赤色シートベルト、専用カーボンスカッフプレートを採用することにより台数限定モデルの特別感を高めた。




車両本体価格
6MT、8ATとも、従来同様車両価格は同じ。これは一部改良を受けても同じだが、価格はともに68万7000円上昇した。
いっぽう、特別仕様車の”A90 Fainal Edition”は価格も特別でRZの倍に近く、購入層も限られるだろうから、限定150台もうなずける。
