ウォークミニ(車両本体価格:272万8000円)|ドリーム・エーティー
車中泊派に人気のカテゴリーと言えば、軽バンだ。リヤがフラットかつ広大な荷室になる軽バンは、そこを就寝スペースにするのにうってつけなのは言うまでもない。
車中泊派は軽バンにキャンプ用品を持ち込んだり、自作の家具を備え付けたりして旅を楽しんでいるが、やはりキャンピングカービルダーがつくった軽キャンパーを購入するのが手軽で、使い勝手の面でも満足できる。
軽キャンパーにもいくつか種類があるが、人気なのは「軽バンコン」。スズキ「エブリイ」やダイハツ「ハイゼットバン」などをベースに、車内に家具をインストールするタイプである。

一般的には、ベッドキット、収納家具兼シンク、それに頭上の物入れというのが軽バンコン三種の神器だ。なにせ車内空間が限られるため、家具の大きさ、レイアウトが使い勝手の良さにつながる。つまり、こうした装備をインストールするアイデアこそ、ビルダーのセンスということになる。
今回紹介するドリーム・エーティーの『マルチパーパスビークル・ウォークミニ』は、そんなアイデアにあふれた新作軽キャンだ。まずそれを解説する前に、軽バンコンの基本的なことをお伝えしたい。

軽バンコンは車内後部の片側、もしくは両サイドにキャビネットやシンクを配置する。ベッドは車内にベースフレームを展開するか、もしくは折り畳んだ後席の上と、荷室に備えたベース兼収納スペースにマットを並べるというのがスタンダードだ。
就寝スペースにするのはいたって簡単だが、ここでいくつか“問題”がある。まず大抵のモデルは、マットを使わない場合には荷室に積んでおくか家に置いておく。ただ、荷室に積んでおくと普段使いで荷室が犠牲になって困るし、家にいちいち置きにおいくのは面倒だ。

さらに、荷室にベッドのベースが常設になる場合、ある不便が生じる。それは補機用バッテリーのメンテナンスだ。ドリーム・エーティーがある北海道では、極めて寒冷になるため、バッテリーの消耗が早く、定期的なチェックが必要だ。もしあがってしまった場合、ベースをいちいち取り外してフロアをあらわにして、その下にあるバッテリーを取り外すという面倒さがあるのだ。
ウォークミニはこうした事態を想定して造られている。荷室のマットは山形に折って右サイドの壁面に収納し、前のマットは荷室の上にあるラックに収納。これで荷室空間をほとんど犠牲にすることなく、様々なシーンで活用できるわけである。
このモデルの特徴はそれだけではない。例えば後席を倒した場合に、シートバックは必ずしも床面と平行にはならない。つまりマットを広げた時に、完全フラットにならないのである。そこで同社は、後席シートバックにプレートを装着している上に、ヘッドレストの取り付け部に高さ調整をする“脚”も追加した。これで、完全フラットかつ安定したベッドができるというわけだ。
もちろん基本的な使い勝手も十分に考慮されており、折り畳み式テーブルや小物を入れる収納ポケットなど細部までぬかりがない。こうした装備は地味に思えるが、実際に使ってみると、実にありがたいものなのである。
感心したのは、ポータブル電源との親和性。昨今、“ポタ電”の進化は著しいものがあり、1000Wクラスでも各メーカーのセールをなどを使えば10万円以下で購入できるようになった。軽バンコンの場合はサブバッテリーを搭載するスペースさえも限られることから、昨今はポタ電の使用を推奨するビルダーが多くなっている。
ウォークミニは、ポタ電と車両を接続するコンセントを設け、100V 2口、12V 2口のコンセントを使えるようにしている。もちろん、ポタ電にもコンセントは付いているのだが、複数のガジェットや家電を使うは便利と言えるだろう。また、ポタ電を置く場所も限定されない。

パッと見はオーソドックスな軽バンコンだが、ウォークミニは実に真面目でアイデア満載のモデルだ。バンコンを使っているとわかるが、派手な装備を持ったモデルよりも、オーソドックスで収納などの基本装備がしっかりしたモデルの方が使いやすい。そういう点では、ウォークミニは秀作キャンパーと言えるのではないだろうか。
ドリーム・エーティー https://www.dream-a-t.jp/





















