TaBee-Ks Jr（タビークス ジュニア）｜キャンパー鹿児島
昭和世代にとっては、現代において自動車免許を取得した若年層は大変だと思う。というのも、2007、2017と免許制度が変更になり、かつては最大積載量5t未満であれば運転できたトラック、つまり今でいう中型免許が必要な車両でも運転できたのである。
しかし免許の運転条件が厳格化されたことによって、かつて「2tトラック」と呼ばれていた車両さえも運転できなくなってしまった。AT限定免許の場合は、さらにその運転条件が限られてくる。その結果、“2025年問題”と呼ばれる物流界のドライバー不足が顕在化する結果となったのである。
そこでトラック業界が考えたのが、現行の普通免許でも運転できる車両総重量3.5ｔ以下となるモデルの投入である。いすゞ「エルフミオ」や日野「デュトロZ EV」などがそれに当たる。
こうした免許問題は、何もプロの世界に限ることではない。小型トラックをベースに造られる「キャブコンバージョン」キャンピングカーでも同じ問題が発生しているのである。キャンピング装備を架装して、総重量が3.5tを超えてしまうと、2017年以降に普通免許を取得したドライバーは、免許条件で運転することができないのだ。運転するには準中型免許が必要となってくる。
ちなみにキャンピングカー専用シャシーのトヨタ「カムロード」の場合、4速ATという点はクリアしているが、ディーゼルエンジン搭載車だと車両総重量が3.5tを超過してしまうため（ガソリン車はOK）、2017年以降に普通免許を取得した人では運転できない。
カムロードの場合、ガソリン車はパワー、トルク共にディーゼル車のスペックをかなり下回るため（特にトルク）、キャンピングカーとしては必ずしも運転しやすいとは言えないのが、また悩ましいところなのだ。
そんな状況で福音になったのが、いすゞ「トラヴィオ」というキャンピングカーシャシーの登場だ。トラヴィオはエルフミオをベースにしたキャンピングカーシャシー。乗り心地を向上させたサスペンション、柔らかくなったリヤサスの走行安定性をカバーするためのリアスタビライザーの追加、そしてサブバッテリー充電を考慮した150Aオルタネーターの採用を特徴としている。
さらに、1.9Lディーゼルエンジンと6速AT、最新の安全システムも採用しているのである。そして何より、このトラヴィオをベースにしたキャブコンであれば、AT限定＆普通免許でも運転することができるのである。
ジャパンキャンピングカーショー2025には、トラヴィオベースの新型キャブコンが何台かお披露目されていたが、その中のひとつがキャンパー鹿児島の「タビークス Jr.」である。
一回り大きな兄弟モデル「タビークス」はいすゞ「Be-Cam」をベースにしているが、そのサイズ4990×1990×3050mmに対して、タビークス Jr.は4930×1770×2930mmとコンパクト。とはいえ、バンクベッドや後部常設2段ベッド、キッチンスペース、ダイネット、マルチルームはしっかり持っている。
動力性能を見てみると、最高出力こそカムロードの2Lガソリン車に負けるが、最大トルクでは上回っているので、運転していて“力がない”と感じることはあまりないのではないだろうか。
標準装備品も冷蔵庫、ダイネット換気扇、家庭用エアコンと充実。電装系はほぼオプションとなるが、1000万円を切る車両本体価格は魅力的だ。何より最新のシャシーを使っているということが、安心材料のひとつになる。
夫婦ふたりで車中泊旅というユーザーにとっては、うってつけのモデルなのではないだろうか。今後、トラヴィオベースのキャブコンはどんどん増えていきそうだが、どのような居住空間を確保できるかが商品の魅力につながるだろう。そういう点では、2025年のキャブコンは注目のシーンと言えるかもしれない。
