デビュー以来人気は衰えず 常に良好な周辺視界も自慢

現行JB64型ジムニーのデビューは2018年と今年で7年目を迎える。一般の乗用車ならモデル末期に相当するが、ジムニーは先代JB23型も20年にわたってつくり続けられたから、ジムニー的には64型もまだ〝初期モデル〞と言えそうだ。

エクステリア

ジムニーの伝統と言える175幅16インチの幅狭大径タイヤが独特のプロポーションを生み出す。背面タイヤはスチールホイールとなるが標準装着と同じサイズ、交換しても走破性への影響はほとんどない。最小回転半径は4.8m。

7年経っても納期は1年前後掛かる人気ぶりだが、その状況が改善される可能性が出てきた。登録車仕様〝ジムニーシエラ〞に、5ドアの〝ノマド〞が追加されたからだ。ノマドの生産はインド工場。登録車だったら3ドアより5ドアというユーザーがノマドに流れれば、シエラを製造する湖西工場に余裕が生まれ、その分を軽ジムニーの生産に充てられる。というのは筆者の予想なのだが、そうなることを願わずにはいられない。

乗降性

ともあれ7年の間に3回の一部仕様変更を受け、〝4型〞となっている現在のジムニー。2型でAT車にアイドルストップ装置が装備され、3型でそれがMT車にも拡大されて賛否を呼んだが、いずれも4WDにシフトすれば作動しない仕様だから、悪路走行の邪魔にはならない。しかも5速MT車のそれは、シフトを〝N〞にしてクラッチペダルから足を放さないと作動しないロジック。一時停止や右折時には、たいていギヤを入れたままクラッチを踏んで待つだろうから、不必要に作動して煩わしさを覚えることはないだろう。バッテリーも55B24Lなので、交換時の費用も高くはならない。

インストルメントパネル

直感的に見やすいメーター周囲はヘアライン仕上げでメカニカルな雰囲気を演出。ボンネット形状など車両感覚がつかみやすくとても運転しやすい。チルト機構を標準装備する。

4型の改良点は法規対応。24年11月以降、継続生産車にも後方視界情報提供装置(ミラーかカメラかセンサー)の装着が義務化されたためだが、ジムニーは超音波センサーでの対応を選んだ。このように地道な進化を続けるJB64型ジムニーだが、本体に関する解説は、すでにされ尽くされていると思う。ラダーフレームの上にボディを載せる構造なので、激しい凹凸路でもボディは路面にぶつかりにくく、路面追従性の高い前後リジッドアクスル式サスペンションと軽量ボディの生み出す悪路走破性は世界第一級。しかもトラクションコントロール装置には、ブレーキLSD機能があるため、対角輪でシーソーになるような地形も難なく越えていく。

居住性

一方でオンロード性能には、クロスカントリー4WD特有のクセは残っている。JB23型より大幅に改善されたとはいえ、ステアリングの遊び感はハスラーなど乗用車ベースのSUVより大きめだ。乗り心地も同様で、フレームがしっかりしたため〝忍耐〞は必要なくなったものの、舗装路の補修跡を通過する際など、重いアクスルが暴れる感はある。燃費もあまり芳しくない。MTなら15㎞/ℓ前後は走るが、ATだと12㎞/ℓ に届くかどうか。ハスラーなら4WDでも18〜19㎞/ℓぐらいは走るので、ガソリン代を気にする人にはジムニーは向いていない。

うれしい装備

スペアタイヤの関係で採用する横開きのバックドアは、いまどき珍しい。少しだけ開けて荷物を出し入れするなど、狭い場所でも使いやすい。
月間販売台数     3498台(24年7月~12月平均値)
現行型発表    18年7月(一部仕様変更 24年2月)
WLTCモード燃費   16.6㎞/ℓ※5速MT車

ラゲッジルーム

しかしそんなネガティブな要素に目をつぶっても、乗りたくなるクルマがジムニーだ。抜群に良い周辺視界は、悪路だけでなくスーパーの駐車場でも便利だし、操舵のクセさえつかんでしまえば、50対50の重量配分でワインディングも快適。林道の奥まで踏み込んで、誰もいない森の中でコーヒーを沸かせば、「ジムニーにして良かった」と思うに違いない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.166「2025年 最新軽自動車のすべて」の再構成です。

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