初代となる現行型は、2019年のジュネーブモーターショーでコンセプトとして公開され、2021年に量産モデルが発表・発売された。フォルクスワーゲン・グループの「MEBプラットフォーム」を採用しており、これが5年ぶりの大幅改良となる。

アルプスで捉えたプロトタイプは、ブリヂストン製のタイヤとセンサーを装備し、自力走行せず、Q3に牽引されていた。一見故障のために牽引されているようだが(テスト走行では珍しいことではない)、実はブレーキテストの一環として現行型のQ3クロスオーバーに牽引されているとのことだ。

坂道の頂上まで牽引され、そこから自力で下り坂を走行し、最後までブレーキを効かせる。これは、ブレーキと、バッテリーの充電を助ける回生ブレーキシステムの両方をテストするものだ。

カメラマンによると、プロトタイプは自力走行が可能だったということなので、アウディはバッテリー管理ソフトウェアをテストしていたのではないかと推測される。おそらく、バッテリーが満充電のEV(つまり坂道での牽引)でも、過熱やその他の故障を起こすことなく、最大限の回生ブレーキを使用できる方法を模索していたのだろう。

足まわりには、現行モデルと同様に改良新型でもフロントにディスクブレーキ、リヤアクスルにはドラムブレーキを採用している。フォルクスワーゲングループがコスト削減のためにドラムブレーキを選択したことは否定できないが、回生ブレーキのおかげで、この用途ではドラムブレーキでも全く問題ないことが証明されている。

現行モデルでは、後輪駆動が標準で、自動回生と手動回生の両方に対応しており、パドルシフトで3段階の回生レベルを選択できる。ギヤセレクターの「B more」を選択すると回生レベルがさらに強化され、ワンペダルドライブも選択できる。

残念ながら、Q4 e-tronシリーズには1つの欠点がある。それは400ボルトのアーキテクチャだ。ヒョンデとキアがコンパクトな「アイオニック5」と「EV6」で800ボルトを採用している現代において、正直これは不十分といえるだろう。より洗練されたアーキテクチャにより、ケーブルや電子部品の小型化が可能になり、熱損失も低減されるため、全体的な効率が向上するからだ。

800ボルトへの対応は当分先かもしれないが、航続距離の延長は間違いなく実現可能だ。アメリカ合衆国では、ゼロエミッションのツインモーターモデルの最長航続距離はQ4 45 e-tronが288マイル(463km)、Q4 スポーツバック55 e-tronが258マイル(415km)とされており、どちらもDC充電で10%から80%まで充電するのに30分もかからない。

さて、プロトタイプに話が戻るが、改良新型では、ヘッドライトクラスターの輪郭が単なるアクセントではなくなり、クローズアップ画像では単一のレンズカバーを示唆しているように見えるようだ。

もちろん、フロントとリヤバンパーが刷新されるほか、充電時間の短縮、航続距離の延長、フラットな新ロゴの点灯、そしておそらくは新しいインフォテイメントシステム、スクリーンの大型化なども採用予定となっている。

Q4 e-tronシリーズ改良新型のスケジュールに関しては2026年半ばと予想されているが、これは流動的な状況。アウディは関税を回避するために、Q4、Q6、その他のe-tronモデルの米国生産を検討していると報じられており、そのシナリオは常に変化しているため、当分の間、具体的な情報は得られないかもしれない。

牽引されている姿は心配したが、現段階で問題はなく、ライバルとなるBMW「iX2」よりスポーティーな外観が期待できるという。
























