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今日は何の日?

■フェローMAXの高性能バージョンMAX SS

ダイハツ「フェローMAX SS」
1970年にデビューした高性能スポーツ「フェローMAX SS」

1970(昭和45)年7月21日、ダイハツの軽乗用車「フェローMAX」発売の3ヶ月後に高性能スポーツ「フェローMAX SS」がデビューした。当時の軽自動車市場は、1967年に登場した「ホンダN360」に端を発した軽の高性能化時代が到来、各車が凌ぎを削る中、フェローMAX SSは最強を誇った。

ダイハツ初の軽乗用車フェロー誕生

ホンダN360
1967年にデビューし、大ヒットした「ホンダN360」

1957年に誕生した「スバル360」で日本の軽自動車市場は幕開け、その後マツダ「キャロル」、三菱「ミニカ」、ススキ「フロンテ360」と各メーカーから立て続けに新型車が投入され、一気に活況を呈した。そのような中、「ミゼット」や「ハイゼット」の成功によって軽商用車で確固たる地位を築いていたダイハツが、1966年に満を持して市場に投入した軽乗用車第1弾がフェローだった。

初代「フェロー」
1966年に誕生した初代「フェロー」。ダイハツ初の軽乗用車
初代「フェロー」
1966年に誕生した初代「フェロー」。ダイハツ初の軽乗用車

フェローは、リアにトランクを持つ3ボックススタイルに、日本初の角型ヘッドランプを装備。搭載エンジンは、実績のあるハイゼット用エンジンを水冷化した最高出力23psを発揮する360cc 直2・2ストロークエンジンで、駆動方式はFRが採用された。

初代「フェロー」
1966年に誕生した初代「フェロー」。ダイハツ初の軽乗用車

4輪独立懸架の乗り心地の良さや運転のしやすさ、広い室内空間などが評価されて、フェローは順調に販売を伸ばした。ところが、1967年に高性能で広い室内、おまけに低価格を達成した「ホンダN360」が登場して爆発的な人気を獲得、フェローの存在は薄れて販売も徐々に失速してしまった。

2代目は、高性能を図ったフェローMAX

ホンダN360が火を付けた軽の高性能化時代に対応するため、ダイハツは1970年4月、初めてのモデルチェンジで「MAX」のサブネームを付けた2代目となるフェローMAXを投入した。

2代目「フェローMAX」
1970年にデビューしたフェローの2代目「フェローMAX」。高性能とFF化が特徴
2代目「フェローMAX」
1970年にデビューしたフェローの2代目「フェローMAX」。高性能とFF化が特徴

フェローMAXは、ロングノーズにカムテールを組み合わせたダイナミックな2ボックススタイルに変貌。また、当時の軽がRRかFRを採用する中で、ホンダN360に続いてFFに変更。これにより実現された広い室内空間も訴求ポイントのひとつだった。

2代目「フェローMAX」
1970年にデビューしたフェローの2代目「フェローMAX」。高性能とFF化が特徴

パワートレインは、圧縮比を10に高めるなどの改良を加えて、最高出力33ps/最大トルク3.7kgmを発揮する360cc水冷直2・2ストロークエンジンと4速MTの組み合わせ。足回りは、フロントがストラット式、リアがセミトレーリングアーム式の4輪独立懸架が踏襲された。

最高速度は115km/h、0→400m加速21.8秒とトップレベルの動力性能を発揮。車両価格は標準グレード(デラックス)が35万円で販売された。

最強モデルのフェローMAX SS追加

フェローMAXから遅れること3ヶ月、同年7月のこの日に高性能スポーツのフェローMAX SSが追加された。

ダイハツ「フェローMAX SS」
1970年にデビューした高性能スポーツ「フェローMAX SS」

エンジンは、フェローMAXと同じ360cc直2・2ストロークだが、圧縮比を11に高めたり、ツインキャブを装着するなどの改良を加えて、最高出力40ps/最大トルク4.1kgmを発揮。軽として初めて40psに到達し、三菱「ミニカ70SS/GSS」の38psを抜き、当時の軽では最強のエンジンとなった。最高速度も120km/h、0→400m加速は19.8秒を記録した。

ダイハツ「フェローMAX SS」
1970年にデビューした高性能スポーツ「フェローMAX SS」

また、装備として木目ナルディタイプのステアリングホイールにタコメーター、スポーティホイール、コンソールボックス、デュアルエキゾーストパイプなどを標準装備して、スポーティさをアピールした。

ダイハツ「フェローMAX SS」の主なスペック
ダイハツ「フェローMAX SS」の主なスペック

車両価格は、39.8万円に設定。当時の大卒初任給は3.7万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で247万円に相当する。

フェローMAXハードトップ
1971年にデビューした「フェローMAXハードトップ」

フェローMAXは、さらに翌1971年に軽としては初のハードトップモデル「フェローMAXハードトップ」を追加し、ヒットモデルへと成長した。

フェローMAXハードトップ
1971年にデビューした「フェローMAXハードトップ」
フェローMAXハードトップ
1971年にデビューした「フェローMAXハードトップ」

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軽の高性能時代を迎えた軽市場は活況を呈したが、1973年のオイルショックと排ガス規制強化によって状況は一変、大きな試練に直面した。特に排気量の小さい軽自動車の負担は大きく、黄金時代から一気に暗黒時代に突入してしまった。しかし、悪いことばかりではない。高性能技術は停滞した一方で、排ガス低減技術は大きく進化したのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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