
三菱パジェロは、1982年にフォルテをベースに初代モデルが登場。1985年には世界一過酷なレースと言われるパリ・ダカールラリー(パリダカ)で初優勝し、同レースでは2001年から7連覇の偉業を達成するなど、その名を世界に知らしめたビッグネームだ。しかし、2019年のファイナルエディションを最後に日本国内モデルは生産終了となっていた。

南欧で捉えられたプロトタイプは、三菱のタフなSUVラインアップへの人々の関心を再燃させ、待望のパジェロ復活の憶測を呼んでいる。しかし、その噂には幾つかの説があり、新型モデルはアウトランダーのユニボディプラットフォームを採用するのではないかとの説もあれば、協業体制にある日産のパトロールから流用した、より伝統的なラダーフレーム構造を採用するとの説もあり、現状では情報が錯綜している。
そしてもう一つの説は、次期パジェロがトライトン・ピックアップのシャシーをベースに開発され、実質的には老朽化したパジェロ・スポーツの後継車になるというものだ。さらには、このプロトタイプが、主にアジア市場向けの7人乗りユニボディSUV、三菱DSTコンセプトの量産型であるという噂もある。
高温下でテスト中のプロトタイプは、比較的カモフラージュも軽く、より洗練された統一感のあるスタイリングを採用していることがわかる。また、高くスクエアなフォルム、直立したノーズ、そして伝統的なオフロードカーを彷彿とさせるプロポーションを備えているようだ。

フロントエンドは、幅広のグリルと大胆なスキッドプレートの横に、垂直に積み重ねられたLEDデイタイムランニングライトが特徴的だ。サイドからのキャビンはDSTコンセプトを彷彿とさせ、リヤは垂直のウインドウ、コネクテッドLEDテールライト、そしてディフューザーを兼ねた特大のスキッドプレートにより、最新の日産パトロールを彷彿とさせる。
その他の有力な説は、オーストラリアのメディア『Drive』によるもので、このプロトタイプがパジェロスポーツの後継車となる可能性を示唆している。三菱は“スポーツ”バッジを完全に廃止する予定だという。以前の報道では、このラダーフレームSUVの次世代モデルは、外観デザインにおいて、近縁のピックアップトラックであるトライトンとは大きく異なるとされていた。
とはいえ、最新のスパイショットを見る限り、このSUVは以前のパジェロスポーツの開発車両と比べるとプロポーションが若干異なっているようだ。よく見ると、フロントオーバーハングが明らかに短く、フロントガラスがより垂直になっているものの、モノコックボディのアウトランダーとの共通点が多いようにも思える。
プラットフォームの選択は、最終的にパジェロのパワートレインのラインアップを決定づけるはずだ。アウトランダーの2.4L プラグインハイブリッドパワートレインの改良版を搭載し、出力が大幅に向上するという話もある。仮にこの構成になるとすると、後輪軸に2基、前輪軸に1基の電気モーターがガソリンエンジンと連動して作動、総合出力は382ps(285kW)以上になるものと予想されている。
パフォーマンスと燃費効率のバランスにとどまらず、電動パワートレインの瞬発力とトルクは、オフロード性能の向上に大きく貢献するだろう。また、前後のロック式e-ディファレンシャルと組み合わせたダイナミックトルクベクタリングも、その効果を発揮するに違いない。
次世代型パジェロのワールドプレミアは、早ければ2025年内とも予想されていたが、最新情報では、2026年とも伝えられている。プレミアムモデルとして位置づけられるパジェロの主な競合車種は、レクサスGX、ランドローバー・ディフェンダー、ジープ・グランドチェロキー、レンジローバー・スポーツ、アウディQ7、BMW X7、インフィニティQX80などが挙げられる。




















