全軽自協が公開している軽四輪車 通称名別 新車販売確報によると、2022年2月は「ホンダ・N-BOX」が1万9974台でトップを獲得。続く2位が「ダイハツ・タント」で8936台、3位が「スズキ・スペーシア」で6964台となった。
価格は「N-BOX」が144万8700円〜と、「タント(124万3000円〜)」や「スペーシア(131万2300円〜)」と比べると高めであるにもかかわらず、圧倒的な差をつけていることから「N-BOX」は指名買いが多いのだろう。
一方、「タント」と「スペーシア」は価格も台数も拮抗しており、この2台を比較している方もいるのではないだろうか? しかし、実際に販売店へ行くと、営業マンによる巧みな話術とプレゼンでペースを掴まれた挙句、「頑張りました」と渡された見積書を前に「もう少し考えてみます」と言うのは……気が重い。
ただ、クルマは買った後が重要。購入時は気にならなかったものの、使うほど気になってくるポイントがある。仕事柄、「タント」と「スペーシア」に触れる機会があったが、「ここが気になりそう」なポイントがあった。それがシートアレンジだ。
フルフラットにする手順に違いあり
「タント」も「スペーシア」もどちらもシートを倒すことで長尺物を積めるようになる点は変わらない。ただ、シートを倒す手順に違いがある。
例えば「タント」の場合、手順は以下の通りだ。
①助手席側のスライドドアを開ける
②助手席のヘッドレストを外す
③助手席の背もたれを後ろへ倒す
④後席の肩口にあるレバーで背もたれを前へ倒す
一方、「スペーシア」の手順は「タント」よりも複雑だ。
①後席の肩口にあるレバーで背もたれを前へ倒す
②助手席のヘッドレストを外す
③倒した後席の背もたれが引っかからないように助手席を前へスライド
④助手席の座面を跳ね上げる
⑤助手席の背もたれを前に倒す
「スペーシア」の場合、③と④の動作のために助手席のドアを開けるというワンアクションが加わる。しかし、助手席の背もたれを後ろに倒す「タント」は、サーフボードなどを直に積むと助手席背もたれの表面が汚れてしまう。その点、背もたれを前に倒す「スペーシア」だと汚れを心配する必要は少ない。
また、「スペーシア」の助手席座面下には取り外せるトレーが用意されており、運転用の靴などを収納しておくのに便利だ。
一方、「タント」はミラクルオープンドアを活用することで長尺物を助手席側から積める。また、運転席と助手席のロングスライド機能を使えば、後席の子供へ手が届きやすくなり、チャイルドシートに子供を座らせてそのまま運転席へアクセスできる。
どちらも室内の広さをアピールしているが、「スペーシア」が収納や積載性にこだわっている一方で、「タント」は子育て層の利便性にこだわっていると分かる。各車の空間づくりと自分の使い方を照らし合わせて判断を下そう。