フロントにエンジンを縦置きし、後輪を駆動する。エンジンートランスミッションが直列になるのがFRの特徴。写真はジャガーの例でトランスミッション後端からトランファーを通して前輪を駆動する全輪駆動(AWD)である。

FRレイアウト(とFRベースのAWD)を採るミッドサイズSUVを持っている代表的ブランドは、BMW、メルセデス・ベンツ、そしてジャガーである。それぞれ、X3、GLC、FペイスがCX-60と同じボディサイズを持つ。

さらに、ガソリンとディーゼルの直列6気筒を持っているのも共通している。つまり、マツダCX-60と同じフォーマットなのだ。

まずは、マツダCX-60のアウトラインから確認してみよう。

マツダ新型CX-60のプロポーションは「後輪駆動」の文法どおり? CX-5、CX-8、CX-50と比べてみる

マツダが欧州でお披露目した新型SUVのCX-60は同社待望のラージアーキテクチャーを採用した第一弾モデルだ。エンジンをフロントに縦置きする新しいアーキテクチャーは、マツダのSUVのデザインにどんな変化をもたらしたか? 欧州の発表資料をもとに繙いてみよう。

https://motor-fan.jp/mf/article/49274/
マツダCX-60

■マツダCX-60
ボディサイズ:
全長×全幅×全高:4740mm×1890mm×1685mm
ホイールベース:2870mm
パワートレーン
2.5ℓ直4ガソリン/3.0ℓ直6ディーゼル/3.0ℓ直6ディーゼル+48 MHEV/2.5ℓ直4+PHEV
トランスミッション:8速AT
駆動方式:FR/AWD
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン Rマルチリンク
である。

BMW X3 vs マツダCX-60

上がCX-60、下がX3
左がマツダCX-60、右がBMW X3

このカテゴリーの代表選手と言っていいのがBMW X3。ボディサイズもサイドから見たプロポーションもCX-60と似通っている。ある意味、正統派のFRベース・ミッドサイズSUVのプロポーションである。

■BMW X3
ボディサイズ:
全長×全幅×全高:4720mm×1890mm×1675mm
ホイールベース:2865mm
パワートレーン
2.0ℓ直4ガソリンターボ/2.0ℓ直4ガソリンターボ/3.0ℓ直6ガソリンターボ/3.0ℓ直6ディーゼル
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:Fストラット Rマルチリンク

メルセデス・ベンツGLC vs マツダCX-60

上がCX-60、下がGLC
左がCX-60、右がGLC

CクラスベースのSUVがGLC。CX-60と比較すると全長が70mm短い独特のプロポーションだ。また、SUVクーペというもうひとつの車型を持っているのもGLCの特徴だ。エンジンは、2.0ℓ直4ガソリン&ディーゼルで直6エンジンはさらに上級のメルセデスAMG GLCでないと設定されない。

■メルセデス・ベンツGLC
ボディサイズ:
全長×全幅×全高:4670mm×1890mm×1645mm
ホイールベース:2875mm
パワートレーン
2.0ℓ直4ガソリンターボ/2.0ℓ直4ディーゼル
トランスミッション:9速AT
駆動方式:FR/AWD
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン Rマルチリンク

ジャガーFペイス vs マツダCX-60

上がCX-60、下がFペイス
左がCX-60、右がFペイス

Fペイスは、FRセダンのXE、XFと共通のアーキテクチャーで開発されたSUV。登場は2016年。ジャガーらしくアルミ合金を多用したボディが特徴だ。サイドから見たプロポーションは、CX-60、X3とよく似ている。つまり、FRベースのSUVの文法を守るとこうなる、ということでもある。

■ジャガーFペイス
ボディサイズ:
全長×全幅×全高:4740mm×1935mm×1665mm
ホイールベース:2875mm
パワートレーン
2.0ℓ直4ガソリンターボ/3.0ℓV6ガソリンスーパーチャージャー/5.0ℓV8ガソリンスーパーチャージャー
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン Rマルチリンク

並べて見てみよう

上からX3、CX-60、GLCである。X3とCX-60のプロポーションは、こうしてみても似ている。立ち気味で立派なフロントグリル、伸びやかなボンネットフード、リヤまで延ばしたルーフラインなど、正統派のSUVプロポーションだ。

上がFペイス、下がCX-60

価格はどうなのだろう?

マツダCX-60の価格は発表されていないが、「CX-5からの買い換えがスムーズにいく」ような価格設定となるようだ。つまり、CX-5の上級グレード程度(350万円程度?)がスタートプライスになるのだろう。では、ライバルたちの日本での価格はいくらくらいか? 

日本国内でのスタート価格は
メルセデス・ベンツGLC220d4マチック(2.0ℓ直4ディーゼル+AWD):731万円
BMW X3 xDRIVE20d(2.0ℓ直4ディーゼル+AWD):733万円
ジャガーFペイス ピュア(2.0ℓ直4ガソリン+AWD):686万円

直6ターボエンジン搭載グレード
メルセデスAMGGLC43 4マチック:1025万円
BMW X3 M40d(3.0ℓ直6ディーゼル+AWD):920万円
BMW X3 M40i(3.0ℓ直6ガソリン+AWD):901万円

こうしてみると、CX-60は非常に高い競争力を備えてデビューすることになる。国産でFRベースのミッドサイズSUVはほかに存在しない。独自のポジションを確立しそうな予感がする。正式な販売開始が楽しみだ。

マツダCX-60:直6を新たに開発する理由「内燃機関は選択肢として正しく残る。エンジンは今からが勝負です」

3月下旬にマツダ美祢自動車試験場で行なわれた「ラージ商品群技術フォーラム」で、ラージ商品群の第一弾であるミッドサイズSUVのCX-60のプロトライプが公開された。直列エンジンを縦置きし、モーター、新開発8速ATを直列に配置し後輪を駆動するラージアーキテクチャーは、すべてを一から開発したマツダ渾身の作。そこにはマツダらしいロジカルな考え方があった。パワートレイン開発・統合制御システム開発担当執行役員の中井英二さんに話を訊いた。

https://motor-fan.jp/mf/article/50173/