ブガッティ シロンはフランスに本社を置く自動車メーカー、ブガッティ・オトモビルの製造している、いわゆる“スーパーカー”と呼ばれる高性能スポーツカーですが、“スーパーカー”よりもさらに高価で高性能なため“ハイパーカー”――超高性能スポーツカー――と呼ばれます。「シロン」という名前はブガッティと縁の深い伝説的なレーシング・ドライバー、ルイ・シロンの名前にちなんでいます。シロンは2016年にデビューし、全世界500台限定で製造されています。
シロンはやはりブガッティが2005年から2015年まで製造していた“ハイパーカー”、ヴェイロンの後継モデルになります。ヴェイロン同様に“世界一複雑”と呼ばれ1000psオーバーの出力を誇る空前絶後のW型16気筒エンジンを車体中央に搭載しています。
このエンジンはヴェイロンに搭載していたものよりさらにパワーアップされ、4基のシーケンシャル制御ターボから成る過給システムを与えられ、1500psに達する最高出力と163.2kgmに達する強大なトルクを得るに至っています。また、この強大な力を確実に地面に伝えて生かし切るために、シロンは4輪駆動(4WD)とされました。さらに、このエンジンの強大なパワーとトルクを受け止めるため、車体はヴェイロンからの流用はほとんどなく、ほぼすべてが新造されています。なお、最高速度は時速420kmとされていますが、実際にはそれ以上の速度を出すことが可能で、2019年に速度記録専用仕様車によって時速490.48kmが記録されています。
さて、シロンには5種類ほどのバリエーションモデルがありますが、『トミカ』の『No.37 ブガッティ シロン ピュアスポーツ』は、2020年に登場した全世界60台限定生産の特別仕様車、シロン ピュアスポーツをモデルとしています。
シロン ピュアスポーツは「ワインディングロード(連続カーブの曲がりくねった道路)を無理なく走れる“ハイパーカー”」を目標に作られた仕様で、リヤウィングを油圧可動式から固定式にしたり、4本で16kgの軽量化がはかれるマグネシウムホイールやカーボン素材を採用するなどの変更により約50kgの軽量化を達成しているのが特長です。ちなみに、10kg軽量化されたリヤウィングの支柱とリヤスポイラーのデザイン造形は真後ろから見ると「X字」を描く翼のようになっており、まるで某有名SF映画シリーズに登場する宇宙戦闘機のようにデザインされています。
これらの軽量化によってシロン ピュアスポーツは俊敏性が向上し、また、空力性能の見直しなどによって旋回時のダウンフォースが向上したため、一段と旋回性能が向上しました。さらにシャシーとサスペンションも専用に設定し直され、エンジンの回転領域の上限が200rpm引き上げられています。加えてギヤボックスは80%がシロン ピュアスポーツ専用に再設計され、ギヤレシオがクロース化されました。そしてタイヤまでもがミシュラン社と共同開発した新型になっています。
運転装置に目を向けると、ドライバーがより集中して運転できるようにするため、電動パワーステアリング(ESP)などの運転支援装置も改良されています。シロンは「EB」、「ハンドリング」、「アウトバーン」、「トップスピード」の4種類の運転モードを持っていますが、シロン ピュアスポーツでは「Sport +」モードが追加されています。このモードではトラクションコントロールがかなり後から効いてくるため、ドライバーは自分の運転スタイルに合わせ、理想的な走行ラインから高速コーナーでのわずかなドリフト走行まで、意のままに操ることが可能となります。これらの数々の改良や専用化によって、シロン ピュアスポーツは「純粋で妥協のないドライビングマシン」になっているとブガッティでは説明しています。
『トミカ』の『No.37 ブガッティ シロン ピュアスポーツ』は、この特別なマシンの特徴意をよく捉えて再現しています。ブガッティの“特別な一台”をコレクションに加えてはいかがでしょうか?
■ブガッティ シロン ピュアスポーツ 主要諸元
全長×全幅×全高(mm):4647×2162×1212
ホイールベース(mm):2711
トレッド(前/後・mm) :1776/1695
車両重量(kg):1995
エンジン形式:W型16気筒クワッド インタークーラーターボ
排気量(cc):7993
最高出力:1103kW(1500ps)/6700rpm
最大トルク:1600Nm(163.2kgm)/2000-6000rpm
トランスミッション:7速AMT
サスペンション(前後):ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(前後) :ディスク(ABS)
タイヤ:(前) 285/30ZR20 (後)355/25ZR21