新型コロナウイルスの感染拡大前と後では人々の考え方や行動のあり方がずいぶんと変わってしまった。古いクルマを愛するファンにとってもそれは同じで、各地で毎週のように開催されていたイベントやミーティングがめっきりなくなってしまった。寂しい思いを味わいつつ、ウイルスが収束する日を心待ちにしていることだろう。だが、緊急事態宣言が解除されて政府からも屋外で2メートルの距離が確保できる場合ならマスクを外すことが推奨されるようになった。さすがにマスクを外している人は少数派だったものの、2022年6月5日に山梨県甲府市の甲府駅北口よっちゃばれ広場で「第13回記念大会 甲府駅自動車博覧会」が開催され、多くの来場者で賑わった。今回は写真を中心に速報でお伝えしよう。
今回で10回目を数える記念大会となった甲府駅自動車博覧会は1970年代のビンテージカーを中心に映画の劇中車レプリカや新旧のスーパーカー、ビンテージバイクが展示されるイベント。主催は山梨県を中心に各地で数多くのイベントを開催しているモグラハウスだ。1970年代のモデルが中心ではあるものの、参加資格には幅があり同一車種の展示を防ぐため例外的に80年代のモデルでも参加が認められている。また劇中車以外は基本的にノーマル車が対象とされていて、1985年までに生産されたバイクも展示対象となっている。今回は4輪車が先着100台、2輪車が先着20台で募集された。
6月5日の午前9時から会場へ展示車両が搬入されるのだが、熱心な参加者が多く9時の時点ではほとんどの車両が展示を済ませていたのが印象的。また会場が駅前広場ということで入場制限がないため、早くも多くの来場者が駆けつけている。開会式は午前10時からの予定だったが、すでに1時間前から会場は盛り上がりを見せていた。午前10時の開会式が終わると会場の一角ではウクライナ支援の募金も行われた。遠い異国で勃発した戦争とはいえ、日本も対岸の火事ではない。平和だからこそクルマのイベントが成立するわけで、人々が集まるこうした機会を積極的に活用していただきたいもの。募金箱へ投入する人の姿が多く見られ、なにやら穏やかな気持ちになった。
イベントには数多くの団体や企業が協力していたが、山梨交通からは1966年式いすゞTSD40型ボンネットバスが展示された。乗降ドアが開放されて室内への乗り降りが自由にできたことから、カップルや親子連れが楽しそうに乗りこみ座席で会話を楽しんでいた。もちろん窓が開放されて感染リスクを低減する配慮も実施されていた。このいすゞTSD40型は実際の走行可能な状態にメンテナンスされていて、午後1時10分から開始されるパレードの先導車も勤めた。
開会式の後は午前中にかけて車両紹介が行われた。今回は日産、トヨタ、劇中車レプリカが対象となり車両オーナーや製作したプロショップの代表がマイクを向けられた。また甲府警察署が協力してパレードが実現したのだが、安全運転を心がけるための安全講話も開催。注目されることが多いクルマたちばかりなので、くれぐれも安全運転には気を遣っていただきたいという主催者と警察署の配慮だろう。今回が10回目となったことを記念して、午後1時10分からは甲府市街を参加車両がパレードする催しが実現した。ボンネットバスが先導車となり、展示されたほぼ全車が甲府駅北口から南口の市役所一帯を走り抜けた。パレードから展示車が戻ってくるとマツダ車の紹介が行われ、午後3時半で閉会式となった。
会場となった甲府駅北口よっちゃばれ広場についても触れておきたい。この広場は樹木と水による「つなぎの森」をイメージした場所で、夏場には涼霧システムが設置されている。甲府市民の憩いの場であり、各種イベントも開催されている。また広場には明治8年に建てられた睦沢学校の校舎が移築されている。一度は取り壊しが決まった校舎は昭和41年に武田神社境内へ移築され生き延び、翌年には国の重要文化財に指定。平成20年に甲府駅周辺区画整理が行われ、この地へ再び移築された。校舎は山梨県の初代官選知事である藤村紫朗が推奨した建築様式であったことから、この名前が付けられた。この後は会場の模様を写真とともにお伝えしよう。