職務質問、受けたことありますか? 刃物は銃刀法だけでなく軽犯罪法にも該当?!|クラシック・ジムニー(JA71C)でアウトドアへ

キャンパーは必ずと言っていいほど携帯する刃物、しっかり扱わないと……
先日、生まれて初めて職務質問を受けた。だが、僕はいたって善良? な市民である。「なぜ? 職務質問」という疑問が出たので、現場で警察官に聞くとともに調べてみることにした。刃物や武器は銃刀法と考えがちだが、じつは軽犯罪法にも当てはまるときがあるのだ。なるほど。

TEXT & PHOTO:伊倉道男(IKURA Michio)

非公開: キャンプでの遊び道具を子どもと一緒に作ったら、きっと楽しい!|クラシック・ジムニー(JA71C)でアウトドアへ

以前紹介した、フィンランドのスポーツ、モルック。楽しそうだけど「荷物になるのよねぇ」「結構、値段がするのよねぇ」という声もちらほらと。それなら、マジック1本で遊べるモルックを作ろうじゃないか。木材は現地調達すれば荷物にもならない。そう、薪でモルック、名づけて「薪モルック」(いや、まんまだな)。子どもと一緒に作ったら、いい思い出にもなるぞ。 TEXT & PHOTO:伊倉道男(IKURA Michio)

刃物取り扱いの心得

先日、生まれて初めて「職務質問」を受けた。だが、僕はいたって善良? な市民である。「なぜ? 職務質問」という疑問が出たので、現場で警察官に聞くとともに調べてみることにした。あ、なるほど、これはある意味、警察の「キャンパー狩り」なんだ。チェックするのは、刃物をどう扱っているか、である。確かにキャンパーは刃物を所持している確率が高いため、好成績が狙える。そして僕のポリバケツ色のジムニー(JA71C)には誰が見てもキャンパーだとわかるくらい堂々と、木製のカヌーが積んである。

僕のジムニーは、誰がどう見てもとてもわかりやすいキャンパーのクルマ、である。

ちなみに、刃物や武器は銃刀法と考えがちだが、じつは軽犯罪法にも当てはまるときがあるのだ。

いまのキャンパーは焚き火が大きな楽しみのひとつで、そのための斧や鉈、もちろん調理に使うナイフ、これらを持参しているケースがほとんど。で、この刃物類の扱いが取り締まりの対象となる。なにがどうのと書くと長くなるので、刃物の扱いをどうしておけばよいかを事例を挙げておきたい。

ちなみに、僕自身は少し法律の知識があり、これを何十年も守ってきたので、何事もなく警察官と話をしてアウトドアフィールドへ向かうことができた。だがロス時間は20分。けっこう長い時間である。

まずはクルマでの保管方法だ。運転席から手の届く所に刃物を置いておかない。
ドアポケットは当然だが、グローブボックス、ダッシュボードの収納スペースも避けたほうがよい。

次についうっかり、という場面だが、アウトドアフィールドで刃物を携帯、例えばポケットや太ももにナイフを装着。このままスーパーマーケットにカレー粉を買いに行った。これは完全にアウトである。
もしもあなたが銀行のATMに並んでいるときにナイフを携帯した男が入ってきたら、どう思う? そりゃ、「銀行強盗が来た!」となるだろう。スーパーマーケット、コンビニや個人店も同様だ。普通に考えて、街中で(自宅やレストラン以外で)ナイフを持つ人間は、要注意人物であろう。

よって、アウトドアフィールドから一般の生活圏に戻るときには十二分に注意が必要なのである。

正当な理由、とは

包丁一本、サラシに巻いてぇえ~♬ っと。

クルマの中での刃物の保管方法も重要だ。法律では、どんなときでも「正当な理由がない限り、刃物は携帯してはいけない」ということになっている。この「正当な理由」がわかりにくい。

例えば、キャンプに向かう移動中は、この正当な理由が存在する。ところが、キャンプのあと、刃物をクルマから降ろすことを忘れて、家族を迎えに駅まで向かったとする。ここには「刃物」を携帯する「正当な理由」は存在しない。これもコンビニや銀行と同じで「ついうっかり忘れていた」では通らない。

つまり刃物に該当する物は、アウトドアフィールドから戻った直後に本来の保管場所(要するに家の中だね)に即座に戻さなくてはいけない。これはクセをつけておくことが大切だ。

次は刃物の単体の話。ナイフなどは必ずシース(鞘)に納めておくこと。刃をむき出しにしておいてはいけない。このシースなどをアウトドアフィールドで紛失しまった場合は、必ずタオルなどで刃をカバーをしておこう。

カトラリーと一緒に保管することで明らかに調理に使う物、と判断できる。

そしてなんらかのケースにさらに入れておくとよいと思う。ただ、ここでも少し問題が出る。隠し持っていると判断されかねない場合もあるのだ。そうならないために、ナイフは例えばカトラリーと一緒に保管、斧や鉈、ノコギリは焚き火台と一緒に保管としておけば、なにか尋ねられた際も「正当な理由」だと言えるだろう。

斧や鉈、ノコギリは焚き火台と一緒に。

ではその時に警察官がなにを聞いてきたか、である。
まず最初に行く場所を聞く。僕の答えは「これからカヌーを乗りに川に行く」で、セーフ。もしもここで「娘を迎えに駅に行く」と言ったら、刃物を持参している「正当な理由」が成り立たずアウトとなる。

次に「なにかヤバい物を持っていませんか、飛び出しナイフとかですね」と言ってきた。
「ナイフはあるよ、でも飛び出しナイフって、もう何十年も前に禁止されているし、いまは持っている人はいないよね」。
この若い警察官が生まれる前に成立した法律である。もう間違いなく、机の上で考えたキャリアとかの人間の指示と思われる。職務質問の仕方もマニュアルがあるのだろう。罠のようになっている。

ちょっとアタマにきたので「君たちは誰? 制服を着ててもパトロールカーに乗っていても、警備会社の人? と思われるよ。似てるからね。法律を守らせるのなら、まず自分たちが法律を尊重しないといけないんじゃないの!」と捨てゼリフを吐いてその場を立ち去った。

ところで、この日は本当にツイていなくて初めてカヌーで横転して、ずぶぬれになった。6月とはいえまだ水は冷たい。まぁ、ちょっと血が上ったアタマを冷ますのにはちょうど良かったが。

ここに書いたことは、法律のみに限らず、マナーとしてどうするか? も含まれていると思う。明確に法律では? と知りたい方は、ぜひ、警視庁のホームページをご覧になっていただきたい。

取り扱いについてはここにも詳しい。

しかし、突然の職務質問、これはけっこう精神的に疲れるものだということがわかった。

先に知識を持っていれば、「はい、ちゃんと守ってますよ」と堂々と話ができるだろう。わかったうえで対処ができれば、せっかくの休日を心穏やかに、楽しく過ごすことができるのではないかと思う。もちろんアウトドアに限らず、だけれど。

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著者プロフィール

伊倉 道男 近影

伊倉 道男

フォトグラファー。国学院大学法学部法律学科卒。アパレル会社にて総務人事、営業を経験。その後、但馬 治…