マイナーチェンジ版VWポロは、全車最新世代の1.0Lに統一!【新型VWポロ試乗記】

VWポロがマイナーチェンジ。新たに3気筒1.0Lを積むトップグレード「TSI Rライン」に試乗した。

1975年の欧州デビュー以来、全世界で1800万台、日本では96年以降、累計約30万台を販売したBセグメントコンパクトの人気ブランド、フォルクスワーゲン・ポロがマイナーチェンジを実施した。エクステリアが洗練され、1.0TSIユニットを最新世代に変更、先進安全技術もアップデートした新型ポロ。具対的な変更点の解説とともに、TSI Rラインの試乗レポートをお届けしよう。

REPORT:佐野弘宗/PHOTO:高橋 学
フォルクスワーゲン ポロ TSI R-Line
フォルクスワーゲン ポロ TSI R-Line

今回のVWポロのマイナーチェンジのキモは大きく3つ。ひとつがエクステリアデザインのフェイスリフト、2つ目が先進運転支援システム(ADAS)のアップデート、最後が1.0リッターTSIエンジンの改良だ。グレードもゴルフ8に似た構成にあらためられて、もっとも安価な「TSIアクティブベーシック」から「TSIアクティブ」に「TSIスタイル」、そして「TSI Rライン」という4種となった。

今回最大のハイライトとなるエクステリアについては、プレス部品には手をつけずにゴルフ8に通じるVWの最新トレンドを取り入れた……と考えると理解しやすい。バンパーやグリルなどが安定した台形モチーフとなり、左右のヘッドランプをつなぐストリップがあしらわれる点もゴルフ8に似る。さらにリヤに回っても“逆L字”を描く横長のコンビランプもゴルフ8っぽい。

全幅値に変更はないが、これらの変更によってビジュアル的なワイド感がかなり強調されており、競合他車と比較しても押し出しは強くなった。とくに今回の試乗車だった最上級のRラインではフロントグリル下部に横一文字に白色LEDが光るようになっており、よりゴルフ8感が強い。

ゴルフ8に似た意匠となったフロント周り。左右ヘッドランプ間を繋ぐストリップが設けられ、写真では分かりづらいが、最上級グレードのRラインでは、グリル下部に横一文字の白色LEDが発光する。
流れる光も採用されたリヤコンビネーションランプ。MC前は小さくスクエアなデザインだったが、逆L字型で大型化され、どっしりと車格感が上がったような印象を受ける。

エクステリアが写真以上に上級移行感のあるイメチェンを果たしたのに対して、インテリアは従来イメージと大きく変わっていない。ただ、センターディスプレイが9.2インチに大型化したほか、カラー液晶メーターが全車標準となり、エアコンパネルの一部がゴルフ8からお馴染みのタッチスライダー式となったのは新しい。こうしたデジタル系装備は確かにBセグメントでもトップ級の充実度だが、ダッシュボードその他の主要樹脂部品の仕立てはこれまでと基本的に同じ。インテリア全体の質感では、プジョーやルノーなどのフランス勢にいまだ少しゆずるのは残念だ。

インテリア全体の印象に大きな変更はない。
Discover Proをオプション設定。モニターとメーターへのナビゲーションマップ同時表示も可能となった。センターモニターは、9.2インチの大型前面タッチスクリーンだ。
デジタルメータークラスター“Digital Cockpit Pro”は、「Active Basic」以外に搭載。ほぼ全面にナビ画面を広げることも可能だ。大型10.25インチディスプレイを採用する。

ADASについては全車速ACCと車線トレース機能を組み合わせた「トラベルアシスト」機能が追加されたのがポイントだが、いっぽうで上級グレードに標準装備となっているレーンチェンジアシストとリヤトラフックアシストを省略するレスオプション(−2.86万円)が用意されたのが興味深い。これは昨今の半導体・部品不足を反映したもので、レスオプションを選択すると、納期が短縮されるとか。

というわけで、今回は箱根の山坂道で乗ることになったRラインだが、エクステリア以上に注意すべきはエンジンだ。従来のRラインがポロ唯一の1.5リッター4気筒ターボを積んでいたのに対して、今回から(近い将来に上陸予定のGTIを除いて)全車が1.0リッターに統一された。これは日本仕様にかぎった話ではなく、ポロの1.5リッターは今回を機に、グローバルで姿を消してしまったらしい。

この1.0リッターも、ミラーサイクル燃焼やターボチャージャーの可変ジオメトリー機構などを新採用した最新世代エンジンである。排ガスや燃費の性能は向上しているようだが、95ps/175Nmというピーク性能は変わっておらず、単独で乗るかぎりは新旧エンジンの違いはよく分からない。まあ、もともと1.0リッターとしてはパンチのあるエンジンで、とくにポロとの組み合わせなら動力性能に不足があろうはずもない。そのかわりに少し騒々しいのもこれまでどおりだが……。

従来型と異なり、新型ポロはRラインも含めて3気筒1.0Lを搭載する。ミラーサイクル燃焼プロセスの採用やバリアブルターボジオメトリー機構の搭載など改良が施された最新世代ユニットだ。
ホイールはグレード毎に4種類別のデザインが用意される。下から、15インチスチール、15インチアルミ、16インチアルミ、17インチアルミを設定。写真はRライン用の17インチアルミだ。

新しいRラインでも、45偏平の17インチタイヤ、スポーツサスペンション、XDS(=電子制御ブレーキLSD)といった専用シャシー装備もあらかた継承されている。それもあって、1.0リッターでは正直いって物足りないくらいに“シャシーが速い”。乗り心地もはっきりと硬めだが、ボディ剛性感もBセグメントとしては高いほうなので不快感はない。

“シャシーが速い”、安心感ある新型ポロRラインの走り。Rラインはスポーツサスペンション、XDSとともに、215/45R17サイズのタイヤを履く。

価格はマイチェン前と比較すると、各グレードともMC前の同等グレードより27〜30万円ほど上がっている。そのなかで、Rラインだけは価格上昇も20万円弱に抑えられているのだが、前記のようにエンジンがダウングレードして、動力性能も明確に下がっている。いずれにしても、まるで「プチゴルフ?」と思わせるエクステリアの押し出しを見ると、この程度の価格アップは想定内というか、ぎりぎり納得できなくもないレベルではある。とはいえ、一般的にもっとも満足度が高そうなのは、本体価格280万円台のTSIアクティブに、トラベルアシストにパークアシスト、スマートキーなどをセットにした「テクノロジーパッケージ」(17.6万円)を追加……といったチョイスだろうか。

「フォルクスワーゲン・ポロ」価格表
TSI Active Basic 1.0L TSI/7速DSG  2,572,000円
TSI Active          1.0L TSI/7速DSG  2,821,900円
TSI Style            1.0L TSI/7速DSG  3,245,000円
TSI R-Line          1.0L TSI/7速DSG  3,299,000円
スペック表
フォルクスワーゲン ポロ TSI R-Line
全長×全幅×全高 4085mm×1750mm×1450mm
ホイールベース 2550mm
最小回転半径 5.1m
車両重量 1190kg
駆動方式 前輪駆動
サスペンション F:マクファーソンストラット R:トレーリングアーム
タイヤ 215/45R17
エンジン 水冷直列3気筒インタークーラーターボ
総排気量 999cc
トランスミッション 7速DSG
最高出力 70kW(95ps)/5000- 5500rpm
最大トルク 175Nm(17.9kgm)/1600-3500rpm
燃費消費率(WLTC) 17.1km/l
価格 3,299,000円

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