新型日産フェアレディZ vs トヨタGRスープラ vs GR86・スバルBRZ サイズは? パワーは?マツダ・ロードスターRFと比べたら?

ついに正式発表された新型フェアレディZ。日本仕様である「フェアレディZ」の発表はこの冬を予定している。
日産の新型フェアレディZが北米ニューヨークで発表された。北米でのモデル名は、「Nissan Z」である。日本仕様となる「フェアレディZ」の国内発表は今冬。これでフェアレディZ、トヨタ・スープラ、トヨタ86/スバルBRZという”手が届く範囲の”FRスポーツカーがすべて新型に切り替わったことになる。フェアレディZとスープラ、スバルBRZ/トヨタ86を並べて比較してみよう。

まずはボディサイズから

いよいよ新型フェアレディZが発表された。初代S30型(1969年)から数えて7代目となる。まずは、ボディサイズから。

上から新型フェアレディZ、トヨタGRスープラ、スバルBRZ

3台ともに、ロングノーズ、ショートデッキの典型的なスポーツカーのプロポーションをもっている。典型的である理由は、3台ともにFR(フロントエンジン、リヤ駆動)であるからだ。
それでも、新型BRZのキャビンがやや大きく見えるのは、BRZが2+2(つまり乗車定員は4名)だから。フェアレディZとスープラは2シーターである。

新型日産フェアレディZ

ついに正式発表された新型フェアレディZ

新型フェアレディZのボディサイズは

全長4379mm(172.4インチ)×全幅1842mm(72.5インチ)×全高1316mm(51.6インチ)、ホイールベース2550mm(100.4インチ)

プロトタイプから全長で0.1インチ(約2.5mm)短く、0.3インチ(7.6mm)狭く、0.2インチ(約5.1mm)高くなっている。

ホイールベースの2550mmはZ34型と同じ。基本的なプラットフォームは現行型からキャリーオーバーと言っていいだろう。SUV人気、電動化、厳しいCO2排出量規制のもとで、まったく新規にスポーツカーを開発するのは難しい。プラットフォームをキャリーオーバーして熟成させて性能を上げていくのが現代流のスポーツカー開発だ。

トヨタGRスープラ

トヨタGRスープラ 特別仕様車 RZ”Horizon blue edition”

トヨタ・スープラはBMWと共同開発というカタチで生まれたFRスポーツカーだ。

ボディサイズは
全長4380mm×全幅1865mm×全高1295mm ホイールベース2470mm
である。

3台のスポーツカーのなかでもっともホイールベースが短いのがスープラだ。全長は新型フェアレディZとほぼ同じ。全幅の1865mmはもっとも広い。グラマラスなボディがスープラの特徴だ。

トヨタGR86&スバルBRZ

スバルとトヨタの共同開発によって生まれたトヨタ86とスバルBRZも新型に切り替わっている。トヨタGR86とスバル
BRZのボディサイズは
全長4265mm×全幅1775mm×全高1310mm ホイールベース2575mm
である。
ホイールベースの2575mmは先代より5mm長い。プラットフォームは前型からキャリーオーバーしているが、SGPの知見を生かして、インナーフレーム構造を採ったことで、ボディ剛性は大きく向上している。

上から新型フェアレディZ、トヨタGRスープラ、スバルBRZ

パワートレーンは?内装はどうだろう?

全長4300mm±100mmの比較的コンパクトなFRスポーツという共通点がある3台だが、パワートレーンはまったく違う。
新型フェアレディZは3.0ℓV6ツインターボ
スープラは、直列4気筒/6気筒ターボ
新型BRZの心臓は新開発の2.4ℓ水平対向4気筒自然吸気
と、水平対向/V型/直列とバラエティに富んでいる。

新型フェアレディZ 3.0ℓV6ツインターボ

3.0ℓV型6気筒ツインターボエンジン、VR30DDTTを搭載。
スカイライン400Rと同じエンジンだ。

次期フェアレディZのエンジンは予想通り、3.0ℓV6ツインターボのVR30DDTT型だった。現在スカイライン400Rが搭載するエンジンを同じである。パワースペックは400Rと同じだ。
エンジン形式:3.0ℓV型6気筒DOHCツインターボ
エンジン型式:VR30DDTT
排気量:2997cc
ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm
圧縮比:10.3
最高出力:405ps/6400rpm
最大トルク:475Nm/1600-5200rpm
燃料供給:DI(燃料筒内直接噴射)
使用燃料:無鉛プレミアム

トランスミッションは引き続き6MTを設定する。6MTは、クラッチディスクとギヤトレーンを強化している。2ペダルトランスミッションは9速AT。ジヤトコが新開発したパドルシフト付き9速トランスミッションだ。

新型BRZ 2.4ℓ水平対向4気筒DOHC

86&BRZの心臓は2.4ℓ水平対向4気筒自然吸気エンジン。

新型BRZのエンジンは、FA24型水平対向4気筒DOHCだ。現行型のFA20型が2.0ℓだったのに対して、新型は2.4ℓ。これにともなって最高出力、最大トルクともにアップしている。
現行型と共通なのは、自然吸気エンジンであること。フェアレディZ、スープラがターボ過給エンジンなのに対して、BRZはあくまでも自然吸気にこだわる姿勢を見せる。つまり、高出力・大パワーより扱いやすくレスポンスに優れた、回して楽しいエンジンを志向しているということだ。最高出力回転数が7000rpmという高回転になっているのもその表れだ。
このエンジンは、北米のアセントなどに積んでいるターボ過給のFA24の自然吸気版。吸排気に可変バルブタイミング機構がつき、燃料供給は、直噴とポート噴射を併用するD-4Sを使う。

エンジン形式:2.4ℓ水平対向4気筒DOHC
エンジン型式:FA24
排気量:2387cc
ボア×ストローク:94.0mm×86.0mm
圧縮比:13.5
最高出力:235ps/7000rpm
最大トルク:250Nm/3700rpm
燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射)+PFI(ポート噴射)
使用燃料:無鉛プレミアム

スープラ3.0ℓ直6ターボ

スープラは、3.0ℓ直列6気筒DOHCターボを積む。パワースペックは387ps/500Nmだ。

スープラのエントリーは、BMWのB48型2.0ℓ直4DOHCターボである。最高出力は258ps/5000rpm、最大トルクは400Nm/1550-4400rpmだ。GR86/BRZとライバル比較するならこの直4ターボということになるが、今回の主役は新型フェアレディZ。したがって、RZが搭載するB58型3.0ℓ直6ターボのスペックを紹介しよう。
エンジン形式:直列6気筒DOHCターボ
エンジン型式:B58型
排気量:2997cc
ボア×ストローク:82.0mm×94.6mm
圧縮比:11.0
最高出力:387ps/5800rpm
最大トルク:500Nm/1800-5000rpm
燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射)
使用燃料:無鉛プレミアム

組み合わせるトランスミッションはZF製8速ATで、MTの設定はない。

インテリアを見比べてみよう

新型フェアレディZ

新型フェアレディZのインテリア(北米仕様)

トヨタ・スープラ

トヨタGRスープラ

新型BRZ

スバルBRZのコックピット。この3台のうち、GR86・BRZだけ4シーターだ。

3台ともタイトで囲まれ感のある古典的なスポーツカーのコックピットの文法に則っている。

せっかくなのでマツダ・ロードスターRFとも比べてみよう

FRスポーツカーなら、マツダ・ロードスターを外すわけにはいかない。ロードスターは2.0ℓエンジン搭載のRFを選んでみた。

エンジンはSKYACTIV-G2.0の直4自然吸気。スペックは次の通りだ。
エンジン形式:直列4気筒DOHC
SKYACTIV-G2.0
排気量:1997cc
ボア×ストローク:83.5mm×91.2mm
圧縮比:13.0
最高出力:184ps/7000rpm
最大トルク:205Nm/4000rpm

上が新型フェアレディZ、下がマツダ・ロードスターRF

マツダ・ロードスターRFのボディサイズは
全長3915mm×全幅1735mm×全高1245mm ホイールベース2310mm
である。新型フェアレディZと比べると全長で464mmも短い。やはり、ロードスターは、FRライトウェイトスポーツで、フェアレディZやスープラとは違うカテゴリーの住人であることがわかる。

それにしても、スポーツカーにとって厳しい環境で、(頑張れば手が届く価格の)国産FRスポーツが4モデルも存在することにあらためて驚いた(スープラはオーストリア製だが)。

2021年は86/BRZ、フェアレディZが新型に切り替わった、ある意味、純エンジンによるスポーツカーの最後の煌めきの年になるのかもしれない。

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