ルノー・ルーテシアE-TECH HYBRID ずば抜けた燃費性能「気持ち良く、元気に走って燃費がいい」

ルノー・ルーテシアE-TECH HYBRID 車両本体価格:344万円
気持ち良く走って燃費がいいクルマが出てきた。ルノー・ルーテシアE-TECH HYBRID(イーテック・ハイブリッド)だ。グレード構成は2種類で、ベース仕様のメーカー希望小売価格は329万円(税込)。レザーシートと前席シートヒーターがセットになった「レザーパック」仕様は344万円(税込)だ。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

ずば抜けた燃費性能

ボディカラーはブルーアイロンメタリック

Bセグメントの輸入車では、フォルクスワーゲン(VW)・ポロTSI Styleが324万5000円、プジョー208GTが324万円だ。ポロは1.0L・直列3気筒直噴ターボエンジンと7速DCTの組み合わせ。最高出力は70kW(95ps)/5000-5500rpm、最大トルクは175Nm/1600-3500rpmである。プジョー208は1.2 L・直列3気筒直噴ターボエンジンと8速ATの組み合わせで、最高出力は74kW(100ps)/5500rpm、最大トルクは205Nm/1750rpmだ。

ルーテシアE-TECH HYBRIDは1.6L・直列4気筒自然吸気エンジンに走行用モーターと発電用モーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載する。先に発売されたクーペSUVのアルカナが搭載するシステムと基本的に同じだ(バッテリー冷却の方法が異なり、アルカナは水冷なのに対し、ルーテシアは空冷)。最高出力36kW(49ps)、最大トルク205NmのEモーター(走行用モーター)と、最高出力15kW(20ps)、最大トルク50NmのHSG(発電用モーター)を組み合わせる。総合出力は140hp(参考値)だ。

全長×全幅×全高:4075mm×1725mm×1470mm ホイールベース:2640mm 車重:1310kg

WLTCモード燃費はポロTSI Styleが17.1km/L、208GTが17.9km/Lなのに対し、ルーテシアE-TECH HYBRIDは25.2km/Lだ。ちなみに、1.3 L・直列4気筒直噴ターボエンジンと7速DCTを組み合わせる(最高出力96kW(131ps)/5000rpm、最大トルク240Nm/1600rpm)ルーテシア・インテンス/インテンスパックのWLTCモード燃費は17.0km/Lである。ルーテシアE-TECH HYBRIDの燃費値が図抜けていることがわかるだろう。

短い試乗ではあったが、カタログ上の数字がいいだけではないことを確認した。メディア向け試乗会では川崎(神奈川県)を起点に首都高速を通って横浜・みなとみらい(神奈川県)あたりの市街地をぐるぐると走って再び首都高速を通って川崎に戻った。約46km走行した際の燃費は4.1L/100km(24.4km/h)だった。

別の機会に小田原厚木道路を小田原西ICから厚木料金所まで32km、制限速度70km/hの道を、左側車線を基本に走った際の燃費は3.3L/100km(30.3km/L)だった。計測開始時のバッテリーは満充電状態だったことを付け加えておくが、それにしてもいい数字だ。小田厚はほぼ一定速で淡々と走ったが、川崎↔横浜はSportモードに入れるなどして走りを堪能したうえでの数字である。

ルノーのハイブリッドシステムは、走りを我慢しなくてもいい燃費が出る。ハイブリッドシステムの効率がいいからだし、バッテリー容量をケチっていないからだ。E-TECH HYBRIDはエンジンに4速、走行用モーターに2速のトランスミッションを組み合わせている。発進時は常にモーター走行だ。クラッチやトルクコンバーターなどの発進デバイスは持たない。静かに、応答良く、リニアに走り出し、加速する。

インテリアのマテリアルは、手が触れる多くの部分でソフトパッドを採用している。
ルーテシア E-TECH HYBRID レザーパックに装備されるシートは、上質なレザー仕様。優れたサイドサポートとともに、快適性とホールド性を高次元で両立している。シートヒーター付き。

アクセルペダルの踏み込み量などからモーターの手に負えないとシステムが判断すると、エンジンが始動し、モーターの動力とエンジンの動力を混合したり、エンジン単独の動力で走行したりする。エンジン音や回転数(エンジン回転計は備えていないので、OBDIIポートから情報を取り出し、モニターしながら走った)から判断するに、エンジン1速の出番はほとんどなく、2速、3速、4速でカバーする状況が多い。4速がATの6速相当のギヤ比になっており、100km/h走行時のエンジン回転数は約2100rpmだ。本線合流などの加速シーンでは3速でカバーすることが多く、3速での100km/h走行時エンジン回転数は約2800rpmである。

形式:直列4気筒DOHC 型式:H4M 排気量:1597cc ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm 圧縮比:9.6 最高出力:91ps(67kW)/5600pm 最大トルク:144Nm/3200rpm 燃料供給:PFI 燃料:無鉛プレミアム 燃料タンク:42ℓ

加速シーンではAT(オートマチック・トランスミッション:自動変速機)のように2速→3速→4速とシフトアップするが、変速時にありがちなショックは皆無だ。小気味いいリズムだけを感じさせる。ルノーはE-TECH HYBRIDの変速機構を「電子制御ドッグクラッチマルチモードAT」と呼んでいるが、実際にはATのような遊星歯車を用いた構造ではなく、MT(マニュアル・トランスミッション)の変速動作を自動化したAMT(オートメーテッドMT)の構造に近い。

AMTは変速の際にクラッチを切って次の段を選択〜クラッチをつなぐ動作が必要で、その際にトルクの伝達が途切れて失速感やショックが生じる。E-TECH HYBRIDは変速の際に動力伝達を切らない。F1をはじめとするモータースポーツでおなじみのドッグクラッチを使い、次の段に飛び込ませて変速する。乱暴にこれをやってはショックが出るし、歯車を傷めてしまうが、主に発電用に用いるHSG(ハイボルテージ・スターター&ジェネレーター)で回転を同期させるため、シームレスな変速が可能。実際、アップシフト時のスムーズさは天下一品だ。具体的にどの部分にどのような専門知識が活用されたか明らかではないが、E-TECH HYBRIDにはF1のハイブリッドシステム開発で培ったノウハウが生かされているという。

EV走行(モーターの動力のみによる走行)は75km/h程度までという説明だが、平坦路で巡航するようなシーンでは100km/hでEV走行することもある。エンジン単独で走るシーンでは伝達効率の高いMTで走っているようなものなので、燃費が良くなる道理。アクセルをオフにすれば即座にエンジンを停止し、モーターによる回生(発電)が始まる。そこで蓄えたエネルギーを次の加速の際にモーター駆動に使うことで、エンジンに使う燃料消費の低減につながり、燃費向上に寄与する。国産ハイブリッド車のこのクラスでは1kWh以下のバッテリー容量が多いが、E-TECH HYBRIDは1.2kWhの容量を確保しており、そのぶん回生できるエネルギー量が多く、燃費に効く。また、モーターがアシストする出番が増えるので、頼もしい走りにつながる。

ギヤで構成された変速機構のみを介して動力を伝えるため、効率は高く、ダイレクト。モーターの強みが生きる発進時は必ずEV走行とし、エンジンが必要な状況のみエンジンを始動しつつ、ツボを押すようにモーターアシストを利かせ、「いまの一押し気持ち良かった」とドライバーに感じさせるのが、E-TECH HYBRIDだ。気持ち良く、元気に走って、燃費がいい。

タイヤはコンチネンタルECO CONTACT6
タイヤサイズは前後とも205/45R17
サスペンションはFマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式 
1.2kWhのバッテリーを搭載する。
プラットフォームはルノー・日産・三菱アライアンスのCMF-Bを使う。トレッド:F1505mm/R1495mm 最低地上高:135mm
ルノー・ルーテシアE-TECH HYBRID
全長×全幅×全高:4075mm×1725mm×1470mm
ホイールベース:2640mm
車重:1310kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rトーションビーム式 
駆動方式:FF
エンジン
形式:直列4気筒DOHC
型式:H4M
排気量:1597cc
ボア×ストローク:78.0mm×83.6mm
圧縮比:9.6
最高出力:91ps(67kW)/5600pm
最大トルク:144Nm/3200rpm
燃料供給:PFI
燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク:42ℓ
メインモーター
5DH型交流同期モーター
最高出力:49ps(36kW)/1677-6000rpm
最大トルク:205Nm/200-1677rpm
サブモーター
3DA型交流同期モーター
最高出力:20ps(15kW)/2865-10000rpm
最大トルク:50Nm/200-2865rpm
主電池:リチウムイオン電池

燃費:WLTCモード 25.2km/ℓ
 市街地モード21.9km/ℓ
 郊外モード:26.2km/ℓ
 高速道路:25.5km/ℓ
トランスミッション:電子制御ドッグクラッチマルチモードAT
車両本体価格:344万円

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…