高級クルーザーに相応しいオーラを纏う「日産エルグランド」【最新ミニバン車種別解説】

販売台数ではアルファードの後塵を拝するものの、根強い人気を誇る「日産エルグランド」。ファンの期待に応えるためにエクステリアやインテリアをリフレッシュし、安全装備をアップデート。オーナー満足度を高める工夫がしっかりと凝らされている点はうれしい限りだ。
REPORT:岡本幸一郎(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:井上 誠 MODEL:新 唯

先進安全装備は最新版に進化。モダンな印象を高めた意匠

かつてしのぎを削った双璧の一方 が、コロナ禍にあっても売れ行きが絶好調なのとは対照的な状況とはいえ、あえて選んでくれるユーザーのために見た目をリフレッシュし、先 進安全技術をアップデートするなどできる限りのことをやったのは、根強いニーズに少しでも良い形で応えるためにほかならない。2020年のマイナーチェンジで、 先進安全技術については、FCW(前 方衝突予測警報)、インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システ ム)、BSW(後側方車両検知警報)、 RCTA(後退時車両検知警報)などの機能を備えた「360度セーフ ティアシスト」を全車標準装備とした。標識検知機能では最高車速と一 時停止の標識が検知可能となった。かつては3・5l車でないとAC Cすら選べなかった時期もあったことを思うと、最新版は大違い。さすがにプロパイロットまでは搭載でき なかったのはやむを得ないとしても、 よくここまでやったと言える。

エクステリア

直近のマイナーチェン ジでフロントグリルな どデザインを小変更。「アーバンクロム」系 は各部の加飾に漆黒の ブラッククロームが装 着されている。
現行ラインナップは全車ハイウェイスターとなり、大型のエアロパーツを装着。さらに「アーバンクロム」系の場合は、リップ形状のフロントスポイラーが備わり、ほかより全長が 10 mm長 い4975mmとなっている。全幅も1850mmと大きく、最小回転半径は5.7mに。対向車とのすれ違いや段差のある場所では少し運転に気を遣うこととなる。

外観では、繊細なつくり込みで力 強さに磨きを掛けたというフロント グリルが従来との識別点となる。エ レガントな「サテンクローム」も用 意されているが、精悍な漆黒のフロ ントグリルやフォグランプフィニッ シャー、グラファイトフィニッシュ の インチアルミホイールなどの専 用装備が与えられる特別仕様車「ア ーバンクロム」シリーズが、これか ら買うなら本命となるだろう。

乗降性

全5色のボディカラーの選択肢の中でも歴代初となる唯一のツートー ンカラー採用の「ディープクリムゾン/ミッドナイトブラック」は、こ れまでにない独特の雰囲気を感じさせてくれる。インテリアはインパネからドアトリムに掛けて水平基調のデザインとされ、中央にピアノブラックでまとめたインチの大型ディスプレイが 配置されたことで、従来とは雰囲気 が一変している。プレミアムシート が連続したキルティングパターンになったのも最新版の特徴。かつてに比べて高級かつモダンな印象に仕上 がっている。

インストルメントパネル

ラグジュアリーミニバンらしい、広がり感の あるインパネデザインを採用。10 インチワイドディスプレイを採用したナビゲーションを販売店オプションとして設定する。

ワンステップで車内にアクセスでき、運転感覚も重心の高い感覚があまりないのは、低床プラットフォー ムを用いたエルグランドならでは。 もともとリヤにマルチリンクサスペ ンションを採用していることも効いて乗り味にもストローク感がある。後席の居住性についても、いち早く採用した中折れ機構やオッマン を備えた2列目キャプテンシートの 座り心地は申し分なし。3列目も構 造がシンプルでシートのサイズやク ッション厚を確保する上で有利な前 倒し式を採用したことも効いて、着 座感は良好だ。乗員にとって快適な 移動空間が提供されている。

居住性

長らく走りに関する変更は伝えられていないが、当初よりも揺れやノ イズが低減して乗り心地や静粛性が 向上したり、ステアリングフィールがスッキリとしたものになったりと、 時間の経過とともに大なり小なり改善されてきたのは間違いない。

うれしい装備

コンフォタブルキャプテンシートはリラックスした姿勢を実現する背もたれの中折 れ機能とオットマンを採用。アームレストやシートサイドテーブルも備わる。
3 列目シートに前後スライド機構も装備。シートバックに備わるレバーを引くだけでスライドすることが可能で、3 列目 に乗車スペースを保ったまま荷室の奥行きを550mmにまで拡大することができる。
月間登録台数   269台(21年6月〜11月平均値)
現行型発表    10年8月(一部改良21年4月)
WLTCモード燃費  10.0km/l ※250系

ラゲッジルーム

可能性は低そうだと言われた次期型の情報も、このところちらほら出てきているようでどうなるかは定かではないが、ひとまずエルグランド が消滅することはなさそうで安堵している人も少なくないことだろう。

※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.139「最新ミニバンのすべて」の再録です。

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