絶好調トヨタ・ハリアーに死角あり!? 今なおコスパ抜群なマツダCX-5はどこが強い?

絶好調トヨタ・ハリアーに死角あり!? 今なおコスパ抜群なマツダCX-5はどこが強い?

トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”
トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”
2020年度の販売台数が9万台弱と、2020年6月の発売以来絶好調の新型トヨタ・ハリアー。しかし、それ以前はCセグメントSUVの中で圧倒的な走りと内外装の質感、そしてコストパフォーマンスの高さを備えていた現行マツダCX-5に対し、死角はないのだろうか? 首都圏から本栖湖までを往復する各400km前後を走り、今なおCX-5がハリアーを上回っているポイントを探った。

REPORT&PHOTO●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード
マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード

それでは肝心の、走りはどう違うのだろうか。

今回試乗したハリアーは2.5L直4+ハイブリッド、CX-5は2.2Lディーゼルターボ+6速ATと、パワートレーンが大きく異なっていたが、それだけには留まらない性格の違いが、両車から明確に感じられた。

ハリアーハイブリッドはA25A-FXS型2.5L直4エンジンと3NM型モーターを搭載
ハリアーハイブリッドはA25A-FXS型2.5L直4エンジンと3NM型モーターを搭載
ハリアーのテスト車両は225/55R19 99Vのトーヨー・プロクセスR46Aを装着
ハリアーのテスト車両は225/55R19 99Vのトーヨー・プロクセスR46Aを装着

まずハリアーは、路面や速度域を問わず滑らかな走りで静粛性も高い。ハイブリッドカーはモーター単独での走行時にロードノイズが目立ち、エンジン始動時にはその振動とトルクの細さを体感しやすい傾向にあるが、ハリアーはいずれも入念に抑え込まれており、シームレスに加速することができる。

ハリアーのフロントサスペンションはストラット式
ハリアーのフロントサスペンションはストラット式

そしてRAV4と同様に、細かな凹凸をキレイにいなして車体をフラットに保つのを得意としているが、ハリアーは大きな凹凸さえも物ともしない。本栖湖周辺の路面が荒れたワインディングに差し掛かっても、RAV4のように強烈な衝撃に見舞われることはなく、身構えていた筆者が拍子抜けしたほどだった。


ハリアーのリヤサスペンションはダブルウィッシュボーン式
ハリアーのリヤサスペンションはダブルウィッシュボーン式

なおハンドリングも滑らかで、操舵レスポンスは過敏すぎずダルすぎず、ロールの量も速度もファミリーカーとして程良い塩梅だが、これが楽しいかと言えばさにあらず。ステアリングに伝わる接地感は乏しく、ドライビングシミュレーターのよう……と表現すると昨今はむしろそちらに失礼なほど、人工的な感触だった。


CX-5のフロントサスペンションはストラット式
CX-5のフロントサスペンションはストラット式
CX-5のリヤサスペンションはマルチリンク式
CX-5のリヤサスペンションはマルチリンク式

これに対しCX-5は、低速域では乗り心地が硬く、路面の凹凸を忠実に拾い、突き上げや車体の揺れも出やすい傾向にある。荒れた路面ではロードノイズも大きいが、速度が上がるにつれてフラット感は増していき、ロールもしっかり抑えられているため、操舵レスポンスはクイックながら高速域での操縦安定性は抜群だ。

CX-5 XDのi-ELOOP装着車はSH-VPTR型2.2L直4ディーゼルターボエンジンと6速AT、キャパシタを搭載
CX-5 XDのi-ELOOP装着車はSH-VPTR型2.2L直4ディーゼルターボエンジンと6速AT、キャパシタを搭載

そんな走りのキャラクターが、本栖湖周辺のワインディングでは俄然活きてくる。

マツダ復活・ディーゼル復権の立役者といえる2.2L直4ディーゼルターボは、以前にも増して低速トルクに溢れ、かつ中高回転域でのパワーの伸びは鋭く、サウンドもディーゼルとは思えないほど甲高いものだ。

6速ATも、そんなエンジンの素性の良さを決して妨げるものではない。マニュアルモードに切り替えても、ドライバーのシフト操作に素早く反応して変速する。かつレブリミットあるいはアイドリング回転域付近でも、ドライバーの意に反するような自動での変速は行わない。


CX-5のテスト車両は225/55R19 99Vのトーヨー・プロクセスR46を装着
CX-5のテスト車両は225/55R19 99Vのトーヨー・プロクセスR46を装着

そして、前述のハンドリングである。これは最早、SUVの形をしたスポーツカーと言っても過言ではない。しかもこのCX-5のディーゼル車には6速MT車も設定されているため、そちらであればより一層、意のままの走りが楽しめるのは間違いない。

燃費に関しては、今回のテストではハリアーが19.0km/L、CX-5が15.4km/Lと、WLTCモード燃費に対しては幾分低いものの、両車ともCセグメントのSUVとしては優秀な数値をマークした。


ハリアーのADAS設定スイッチ
ハリアーのADAS設定スイッチ
CX-5のADAS設定スイッチ
CX-5のADAS設定スイッチ

ADASは両車ともフル装備の状態だったが、高速道路での疲労軽減に直結するACC(アダプティブクルーズコントロール)とLTA(レーントレースアシスト)に関しては両車ともまずまずの仕上がり。ACCは前走者がいなくなった際の加速のタイミングがやや遅く、LTAはRの緩いコーナーで若干左右にふらつくものの、概ね快適にアシストしてくれた。

ハリアーのJBLプレミアムサウンドシステム
ハリアーのJBLプレミアムサウンドシステム
CX-5のボーズサウンドシステム
CX-5のボーズサウンドシステム

最後に、オーディオについても言及しておきたい。ハリアーには9スピーカーの「JBLプレミアムサウンドシステム」、CX-5には10スピーカーの「ボーズサウンドシステム」、それぞれ上級仕様のものが搭載されていたが、音質の差は歴然。ハリアーは小さな音量でも楽器やボーカルの細かなニュアンスを伝えてくるのに対し、CX-5は全体的に痩せた印象で、荒れた路面では大きなロードノイズがその傾向に拍車をかけていた。

以上のように、双方に長所短所がありながら、ハリアーは快適性重視の高級SUV、CX-5は走りが楽しいスポーティなプレミアムSUVと、性格の違いが鮮明で、率直に言えば好みで選んで何ら問題ないと言える。

……と思いきや、両車のスペックシートを見た瞬間、その考えは雲散霧消した。

ハリアーの方が、車両本体価格が約100万円高い。しかも装備内容はほぼ同等レベル。

これこそがハリアーの最大の死角であり、実際に購入を検討するとなれば、筆者なら真っ先に選択肢から外すだろう。

ところが2020年度の販売台数(自販連調べ)を見ると、ハリアーは8万6843台、CX-5は2万3766台。現行CX-5のデビューが2016年12月と、すでにモデルライフ後半に差し掛かっているとはいえ、ハリアーが4倍弱もの大差を付けているのは、トヨタとハリアーのブランド価値、そしてトヨタディーラーの販売力がいかに並外れているか、その証というより他にあるまい。

トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”
トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”
■トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”(FF)
全長×全幅×全高:4740×1855×1660mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:1690kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:2487cc
エンジン最高出力:131kW(178ps)/5700rpm
エンジン最大トルク:221Nm/3600-5200rpm
モーター最高出力:88kW(120ps)/
モーター最大トルク:202Nm/
トランスミッション:--
サスペンション形式 前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:225/55R19 99V
乗車定員:5名
WLTCモード燃費:22.3km/L
市街地モード燃費:19.5km/L
郊外モード燃費:25.1km/L
高速道路モード燃費:22.1km/L
車両価格:482万円
マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード
マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード
■マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード(FF)*i-ELOOP装着車
全長×全幅×全高:4545×1840×1690mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1640kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:2188cc
最高出力:147kW(200ps)/4000rpm
最大トルク:450Nm/2000rpm
トランスミッション:6速AT
サスペンション形式 前/後:ストラット/マルチリンク
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:225/55R19 99V
乗車定員:5名
WLTCモード燃費:17.6km/L
市街地モード燃費:14.2km/L
郊外モード燃費:17.6km/L
高速道路モード燃費:19.6km/L
車両価格:380万500円+6万6000円(i-ELOOP)

著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…