カナダ&デンマークの大排気量V8エンジンを搭載するハイパーカー【世界の(マニアックな)自動車オールアルバム】Vol.2

フェリーノCB7R、ゼンヴォTSR-S… 大排気量V8エンジンを搭載するレーシングカーさながらのハイパーカー【世界の(マニアックな)自動車オールアルバム】Vol.2

フェリーノCB7R
フェリーノCB7R
世界には、日本でもよく知られている大手メーカー以外にも数多くの自動車メーカーがある。シティコミューターやスポーツカー、SUVなどジャンルは多彩で、近年はEVを開発し自動車産業への参入を目指す新興メーカーが続々と誕生している。

「世界の(マニアックな)自動車オールアルバム」2回目の今回は、大手メーカーのない国から、超高性能なエンジンを搭載するハイパーカーの新興メーカー2社、カナダのフェリーノと、デンマークのゼンヴォをピックアップする。

TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●フェリーノ・カーズ、ゼンヴォ・オートモーティブ

カナダ発のスーパーカーメーカー「フェリーノ・カーズ」

フェリーノ「CB7R」 サイドミラーはAピラー上部、もはやルーフに近い位置に設置されていて個性的だ。

元レーシングドライバーのアントワーヌ・べセット氏が2010年に設立したフェリーノ・カーズは、2014年のモントリオール・モーターショーでサーキット専用マシンの「CB7」を発表。その公道バージョンとして、2018年に開発を始め2019年末に完了、10台限定で発売したのが「CB7R」だ。

フェリーノCB7R
フェリーノ「CB7R」リヤビューもグラマラスなFRスポーツカーらしいプロポーション

全長×全幅×全高は4191×1930×1143mm、ホイールベースは2451mmと小柄ながら、曲面を多用したロングノーズ・ショートデッキの古典的なFRスポーツカーらしいプロポーションを持つ「CB7R」だが、そのボディには炭素繊維強化複合材料が用いられており、サスペンションは調整式とされるなど、フォーミュラカー由来の技術を多用。乾燥重量は1135kgに抑えられている。

フェリーノCB7Rのコクピット
フェリーノ「CB7R」のコクピット。ステアリングのデザインなどは、もはやレーシングカー。

エンジンは525hpと659Nmを発する6.2L V8 NAが標準で、700hpと786Nmを発する7.0L V8 NAをオプション設定。0-100km/h加速はいずれも2.9秒で、最高速度は前者が325km/h、後者は345km/h。トランスミッションは6速の3ペダルMTが標準、シーケンシャルタイプがオプションとされており、前後重量配分50:50を実現していることも相まって、フォーミュラカーさながらの走りを体験できるという。

デンマーク唯一の自動車メーカー「ゼンヴォ・オートモーティブ」

ゼンヴォTSR-S
ゼンヴォ「TSR-S」ハンドメイドによる生産のため、年間生産台数は5台以下。なかなか街で見かけることはない激レアモデルだ。

ハンドメイドのハイパーカーを作り上げるためトロールズ・ヴォラートセン氏が2007年に設立したデンマーク初の自動車メーカー、ゼンヴォ・オートモーティブは、2009年に最初のモデルとしてミッドシップスーパースポーツ「ST1」のプロトタイプを発表した。

「セントリペタル・ウィング」を装着するゼンヴォTSR-Sのリヤビュー
ゼンヴォ「TSR-S」のリヤウイングは、コーナリング時に「セントリペタル・ウイング」を左右に傾けることで、より大きなトラクションをイン側のタイヤに与えることが可能だ。

やがて2016年のジュネーブモーターショーでは「ST1」の公道バージョンとして「TS1 GT」をデビュー。その後「TS1 GT」より250kg軽いサーキット仕様として「TSR」を開発する。そして、両車の良い所取りをしたと言える公道走行可能な高性能バージョン「TSR-S」を、2018年のジュネーブショーで発表した。

なお「TSR-S」には、旋回中に最大20°傾くことで旋回内輪のグリップを高めるとともに、制動時にはエアブレーキとして機能する「セントリペタル・ウィング」(求心翼)が、新たに採用されている。

ゼンヴォTSR-Sのインテリア
ゼンヴォ「TSR-S」のインテリア。無駄な装飾を削ぎ落としたスパルタンなインパネが特徴。

年間5台のみが生産されるゼンヴォの各車は、いずれも自社開発のツインスーパーチャージャー付き5.8LフラットプレーンV8エンジンと7速シーケンシャルトランスミッションをミッドに搭載しており、「TS1 GT」および「TSR」用のそれは1104bhpを発揮。

「TSR-S」用はさらに73bhp高い1177bhpを叩き出し、全てカーボンファイバーで作られ乾燥重量1495kgに抑えられた軽量ボディを0-100km/h2.8秒、最高速度325km/h(リミッター入り)まで加速させる、生粋のハイパーカーだ。

デウス・ヴァヤンヌ

東欧発、最高速度400km/h超の電動ハイパーカー! 【世界の(マニアックな)自動車オールアルバム】Vol.1

世界には、日本でもよく知られている大手メーカー以外にも数多くの自動車メーカーがある。シティコミューターやスポーツカー、SUVなどジャンルは多彩で、近年はEVを開発し自動車産業への参入を目指す新興メーカーが続々と誕生している。 「世界の(マニアックな)自動車オールアルバム」1回目の今回は、大手メーカーのない国から、電動ハイパーカーを開発する新興メーカー2社、オーストリアのデウスと、クロアチアのリマックをピックアップする。 TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●デウス・オートモビルズ、リマック・アウトモビリ

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著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…