BMWの走りが味わえる希少な3列シートコンパクト「BMW 2シリーズ グランツアラー」【最新ミニバン車種別解説】

車内の広いコンパクトカーとして設定された2シリーズ。アクティブツアラーとグランツアラーが ラインナップされるが、中でもグランツアラーの走行安定性は特筆に値する。BMWとしては背の高いボディを持ち、とくにファミリーユースに使いやすい一台だ。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:林あやの

充実の積載容量と直進安定性 BMWらしい操舵感覚も好感

BMWには、車内の広いコンパクトな車種として、2シリーズのアクティブツアラーとグランツアラーがある。グランツアラーは全長が4585mm、ホイールベースも2780mmと長く、3列のシートを装備する。 駆動方式はFFと4WDで、プラットフォームは基本的にBMW MIN Iと共通だ。

エクステリア

FFと4WDを用意するが、全高はどちらも同じ1640mm。17インチのアルミホイールは全グレードに標準装備で、意匠も共通だ。
2列仕様の2シリーズアクティブツアラーと比較すると全長で210mm、ホイールベースで110mmほど長くなっているが、スタイリングに間延びした印象がないのは、さすがといったところだろうか。見てのとおり、ドア開口角には国産ミニバン的な配慮は感じないが、全長は小型車サイズで、ステアリングの切れ角も十分にあるので市街地では扱いやすい。

居住空間は、1列目と2列目のシートは広くて快適。座り心地はBMWらしく、腰から大腿部を確実に支える。走行中の着座姿勢が乱れにくく、ドライバーも正確に運転できる。 長距離を移動するときも快適だ。

乗降性

3列目は全高が1700mm以下のワゴン的なミニバンとあって狭い。 床と座面の間隔が不足して、大人が3列目に座ると膝がもち上がる。2列目を後端に寄せた状態では、大人は3列目に座れない。2列目の膝先空間を握りコブシひとつ弱まで詰める必要が生じる。つまり3列目は補助席に近いが、 短い距離を稀に多人数で移動する用途では、全高が1800mmを超えるミニバンの3列目は過剰な機能になってしまう。その点で全長を4600mm以下に抑えた運転しやすい2シリーズグランツアラーは、合理的な3列シート車と言えるだろう。

インストルメントパネル

8.8インチワイドディスプレイやヘッドアップディスプレイも用意するなど先進的なユーザーインターフェースとする一方、オーソドックスな指針式メーターで視認性を高める。

そして3列目の背もたれを前側に倒すと、ワゴンと同程度の床面積が広がる。グランツアラーは全高が1640mmだから、荷室高にも余裕があって積載容量も大きい。多人数乗車ではなく、荷物の収納を目的に、 グランツアラーを選ぶこともできる。

居住性

エンジンには1.5l直列3気筒ソリンターボと、2.0l直列4 気筒ディーゼルターボを用意。後者は頻繁に使う2000〜3000rpm付近の駆動力に余裕があり、街なかでの加速であれば、アクセルペダルを軽く踏む程度で済む。以前のBMWのディーゼルに比べてノイズ が小さく、4000rpmを上まわる領域まで滑らかに吹け上がる。ガソリン車のユーザーが乗り替えても、 違和感は生じないだろう。そしてグランツアラーで最も注目されるのが走行安定性だ。ボディを入念につくり込み、全高は1700mm以下でホイールベースは長く、高速道路では直進安定性に優れている。 3列シート車でありながら、トンネルを抜けた直後に強い風雨に見舞われても挙動が不安定になりにくい。 峠道では下り坂のカーブでも後輪の接地性が優れ、危険を避ける操作も安心して行なえる。軽快感もあり、 ミニバンというよりハッチバックの走りに近い。運転も楽しめる。

うれしい装備

2列目でも開放感が感じられる大きなパノラマガラスサンルーフを全グレードにオプションとして設定。フロント側は電動でチルト&スライドができる。
月間登録台数   NO DATA
現行型発表    15年5月(マイナーチェンジ18年6月)
WLTCモード燃費  16.7km/l ※218dグランツアラーLuxury

ラゲッジルーム

乗り心地は40km以下では少し硬く感じるが、速度が上昇すると適度な引き締まり感が生じて快適になる。 足まわりのセッティングでは、国産のミニバンに比べて、速度域を高めに設定している。グランツアラーは、BMWとしては背の高いボディに、前輪駆動のプラットフォームを組み合わせている。 従って運転感覚は後輪駆動の3シリーズや5シリーズとは異なるが、ステアリングホイールを回し始めると、小さな操舵角から車両の向きが正確に変わる。このあたりは後輪駆動のBMWに近い印象だ。特に優れた走行安定性は、大切な家族を乗せるミニバンとして、大きなメリットになっている。

※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.139「最新ミニバンのすべて」の再録です。掲載データは作成時点での参考情報です。

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