【火曜カーデザイン特集】 海外版ハイエースの商用モデルが欲しい!

エクストリーム・スポーツには、とびっきりな商用車を使おう! だから海外版ハイエースが欲しい! のに……

BMXやスケートボードなど、オリンピックでも大注目となったスポーツだが、このようなハイスピードな競技をエクストリーム・スポーツと総称する。これらのスポーツに興味を持った方も多いのでは? と思うが、そんなスポーツも実際にするには場所や施設も限られる。そんな時には、トランポを買ってギア&荷物満載で移動しよう。
by 松永大演 / カースタイリング

スポーツのためのクルマは商用車がイチオシ

大注目したいのは、海外版ハイエースのベーシックな商用モデル。サイドウインドウがないのが魅力。ドライバーの前方にタイヤが来ることで、クラッシャブルゾーンやエンジンとの位置関係だけでなく、足入れ性、乗降性などの点からも運転席は後方に移動したようだ。

エクストリーム・スポーツをやるのに、使いやすいクルマは? といったら、思い浮かぶのはどんなものだろう? 

まずバイクやボードなどの道具が必要で、さらにメンテナンスのためのツールも載せておきたいし、できれば休憩もしたいし着替えも気楽にできるとベスト。こうなると、究極の選択はキャンピングカーのようなものなのかもしれないが、そこまでしなくても、かなりベストな1台となると思われるのが海外版のハイエースの商用モデルだ。

2019年に海外発表され注目されたモデルだが、日本ではグランエースと名前を変えて進化し、アルファードやヴェルファイアの上をいくような超上級ミニバンとして登場している。

海外版ハイエースの乗用ロングモデル。ボデイのプレスラインやヘッドライトとバンパーの関係性など、日本のハイエースのフロントタイヤを前方に移動して、ちゃんとハイエースに見えるか? といったトライアルにもなっているように見える。デザインからは、まぎれもないハイエースの末裔だとわかる。
日本仕様のグランエース。バンパー、グリル、ドアハンドル、ヘッドライトなど上質な仕立てによって、ハイエンドミニバンに生まれ変わった。
どんと広い荷室。棚を作ったり、使いやすくアレンジすれば色々なスポーツギアにも便利に使える。
インパネは最新モデルらしく、扱いやすさに溢れている。

しかしあえて注目したいのは、商用車のベースモデルの方。海外では宅配や荷物を運ぶためのモデルとして特化した、サイドウインドウもないモデルだ。しかし室内をみてもらえばわかるが、内部は何もなく、どーんと広いのが取り柄。スポーツギアを固定したり、スケートボードやスノーボードならば何種類か置ける棚をつけたり、ツールを載せたり、クールボックスを置いてみたり…。荷室の扱いは自由自在だ。もちろんウインドウがないから、着替えられるし、ベッドを設置すれば仮眠もOK。折りたたみ式のリクライニングチェアや、タープ、テーブルを収納しておくのもいい。

日本のグランエースにはない魅力が海外版ハイエースにあった!

この車のサイズはL5.3m×W1.95m×H1.99mと、でかい。2人しか乗れないのに贅沢なサイズだが、こうしてスポーツギアをのせてどこへも行かれれば、移動可能なプライベートルームあるいは移動式ガレージといったところ。PCを稼働させたり、大型モニターを装備するのもいい。

こんなことを考えると、できれば日本にも入れて欲しい1台だ。

このスクエアな荷室がたまらない。プロボックスの親分?

しかしちょっと考えれば、このスタイルはハイエースで我慢することも可能。おすすめはDXのルートバン。やはりサイドウインドウはない、広々空間がセールスポイント。そして、海外版ハイエースよりも良い点は、フロント席に3人乗れるということ。

日本で買えるハイエース3人乗りルートバン。荷室はフラットな広い空間を確保し、前席には3人乗れる。

自動車にとってはだんだんつまらない時代に入りそうだが、使い方次第で、例えばこんな商用車はプライベートルームやプライベートガレージにもなる。そんな自分たちの工夫次第で楽しむやり方は、まだまだたくさんありそうだ。

また、クルマのデザインも、エクトリームスポーツだけに特化したものが生まれてもいいのでは? と思ったりする。これからはクルマ自体で走ることを楽しむ時代ではなく、移動した先に楽しさを求める方向性も拡大するのではないだろうか。クルマの装備も豊富なことに期待するのではなく、どれだけ剥ぎ取れるか、も魅力の対象と考える人も増えるはずだ。

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著者プロフィール

松永 大演 近影

松永 大演

他出版社の不採用票を手に、泣きながら三栄書房に駆け込む。重鎮だらけの「モーターファン」編集部で、ロ…