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2列目も快適で良好な居住性 ターボは力強く軽快な乗り味
トールという車名を聞いてもピンとこない人が多いかもしれないが、トヨタ・ルーミーの兄弟車と言えばわかる人が増えるだろう。何しろルーミーは売れまくっている。ルーミ ーとトールはまったく同じクルマなので、トールがもっと売れても良い のだが、販売店の数に大きな差があるため仕方ない。ちなみにルーミーの開発や生産はダイハツが行なっているから、実際はトールが本家でルーミーは暖簾分けのようなものだ。
エクステリア
トールは2列シート車なので本当はミニバンとは言い難いのだが、そ の使い勝手の良さは、まさに3列目シートのないミニバンだ。トールの全長は3705mmとコンパクトカーのサイズだが全高は1735mmとミニバン並みに高いので、室内高も1355mmとゆとりがある。そのため後席に乗り込めば、ミドルサイズミニバンの2列目に乗っているのと同等以上の優れた居住性が確保されている。後席へのアクセスは両側スライドドアとなっているため乗降性も申し分ない。パッケージングは軽ハイトワゴンのタントに近いが、横幅が広いから余裕をもって座ることができ、少し窮屈にはなるが後席に3名で座ることもできる。
乗降性
荷室はあまり広くはないが、後席にはスライド&リクライニング機能が用意されていて、荷物が多いときには前にスライドさせれば簡単に荷室を広げることができる。後席を倒せばフラットで広い床面の荷室がつくれるから自転車も積める。前席はシートの高さが3列シートのミニバンよりも低いので小柄な人や高齢者でも乗り降りがしやすく、前方の視界も開けているから運転がしやすい。最小回転半径も4.7m と小さく、狭い道や駐車場でも軽自動車に負けない取り回しの良さだ。まさにトールはミニバンと軽ハイトワゴンのいいとこ取りのパッケージングを実現しているのだ。
インストルメントパネル
エンジンは3気筒1.0lで自然吸気とターボを設定。自然吸気でもひとりで乗って街なかを走る程度なら力不足を感じないが、乗車人数が増えたり登坂路に差し掛かるとターボが欲しくなる。ターボなら加速もスムーズになる上に、高回転域を多用しなくて済むので静粛性も高くなるなどメリットが多い。ターボと自然吸気で燃費の差が少ないのもいい。ロッキーに搭載された新世代のエンジンやCVTに比べると、滑らかさやレスポンスでは劣ってしまうが、ターボの力強さがあれば不満はない。
居住性
フットワークは街乗りを重視した特性のためクルマの動きも、あらゆるシーンで穏やか。全高が高いゆえにカーブでは大きなロールを許すが、ステアリングの応答性を鈍く設定しているから急激に車体が傾くようなことはなく、安心して運転ができる。そのぶん中立付近の反応が曖昧だが、ファミリーカーとしてはいい塩梅だ。2020年のマイナーチェンジからは上級グレードに電動パーキングブレーキが付いたのもうれしい。同時にACCも装備されたが、こちらは先行車の認識が遅いときがあり、制御の改良が望まれる。
うれしい装備
月間登録台数 1020台(21年6月〜11月平均値) 現行型発表 16年11月(マイナーチェンジ20年9月) WLTCモード燃費 18.4km/l ※自然吸気のFF車
ラゲッジルーム
軽ハイトワゴンからステップアップして、ミニバンのような小型車に乗りたい人や、ミニバンを買ったものの3列目シートを使う機会が少なかった人にお薦めだ。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.139「最新ミニバンのすべて」の再録です。掲載データは作成時点での参考情報です。