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ボディ拡張で荷室空間を拡大 静粛性や乗り心地も大幅向上
ソリオが全高1.7m台+スライドドアという軽スーパーハイトワゴ ンに似たパッケージとなったのは 2010年発売の二代目からだ。ボディサイズも最小回転半径(当時は5.0m、現行型は4.8m)も軽 に肉薄するささながら、5人乗りで前後ウォークスルーも可能という「ありそうでなかった」存在感が支持を獲得。以後、スズキの国内小型車市場には欠かせない存在となった。
エクステリア
20年秋に発売された現行型はそれから数えて三世代目(ソリオとしては通算四代目)にあたるが、その開発環境は以前とはまるで異なっていた。それまではライバル不在の孤高の存在だったのに対して、先代の途中にダイハツ・トール(とそのOEM版であるトヨタ・ルーミー)という強敵が出現したのだ。
乗降性
それまで「日本の古い路地にピッタリ」という理由でほとんど変わらなかったボディサイズが、現行型で全長が一気に80mmも伸びたのはトール/ルーミーの影響だろう。というのも、先代ソリオに対するトール/ルーミー最大の売りが荷室機能だったからだ。全長を伸ばした現行ソリオは、荷室床面積を先代比で大きく拡大することに成功している。まあ「自転車を2台積む」といった極限的な使い方では、床面が低いトール/ ルーミーが優る。しかし、ソリオはフル乗車状態でも35lサイズのスーツケースが5個積めたり、後席がワンタッチで座面が沈み込むダブルフォールディング可倒であるなど、日常的な使い勝手を含めた積載性では、一気に追いついた感が強い。
インストルメントパネル
パワートレーンは全車1.2l 4気筒+CVTで、最も安価な「G」以外はベルト駆動のスターター兼発電機(ISG)を備えるマイルドハイブリッドとなる。先代にあったフルハイブリッドがなくなった理由は「先代での販売比率が全体の5〜10% と低かった」からだそうだ。全車1.0lのトール/ルーミーと比較すると自動車税は不利だが、重量税はFF車の車重1t以下のソリオが得である。また、カタログ燃費もソリオの方が優秀である。
居住性
販売の主力はマイルドハイブリッドとなるだろうが、ハイブリッドといってもISGの出力はわずか3.1ps。その分のエンジン出力も絞って燃費向上に振ったセッティングなので、走行感覚にハイブリッド感はほぼない。ただ、最近のコンパクトカーとしては少数派となりつつある4気筒エンジンを積むこともあり、パワートレーン由来の振動やノイズは印象的なほど低い。さらに、構造用接着剤や高減衰マスチックシーラー、ダッシュアウターサイレンサーといったボディ側の静粛対策が入念なことも、ソリオならではの高い静粛性に寄与しているようだ。これらの技術はハスラーやワゴンRスマイルといった最新の軽にも使われている。
うれしい装備
月間登録台数 2918台(21年6月〜11月平均値) 現行型発表) 20年11月(一部改良21年4月) WLTCモード燃費 19.6km/l ※「G」を除くFF車
ラゲッジルーム
乗り心地は先代より快適だ。高速や山道でのパリッとした操縦性は後退したものの、街なかでの乗り心地は明確に改善されている。それでも、積極的に荷重移動させる運転をしたときの手応えには、トール/ルーミーよりスポーティさが残っている。トヨタの参入で瞬く間に日本車の定番となった感のある「スモールスーパーハイトワゴン」だが、しつこいようだが、その元祖はソリオだ。
※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.139「最新ミニバンのすべて」の再録です。掲載データは作成時点での参考情報です。