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機動力、居住空間、装備のどれもが高い次元でバランスしている|カトーモーターDD
日本のキャンピングカーでは「バンコン」と「キャブコン」スタイルが一般的だが、駐車場の問題など生活を取り巻く環境によっては、バンコンしか選べない場合がある。もちろんバンコンだって快適なモデルが市場に多数出ているが、キャブコンに比べると居住性という点では及ばないことが多い。
しかし一方で、キャブコンはボディサイズが大きく、操縦安定性という点ではバンコンに敵わない。なにせあれだけの投影面積なのだから、空力的には難しいものがある。昨今ではそれを考慮して、ルーフ高の低いバンコンも登場しているが、まだ少数だ。
では、どんなモデルがバランスがいいだろうか。その好例がカトーモーターの「DD」である。DDはハイエースワゴンをベースに、キャンパーシェルを架装した“バンコン”だ。カトーモーター独自の『ダブルデルスタイル』という架装方法は、車体の一部を残しつつシェルを載せるというもの。
さらにシェルは、やはりオリジナルの「クイーンハット」というハイルーフ形状で、中の居住性と走行性能を実にうまくバランスさせた高さを採用しているのである。
さて、まずエントランスだが、キャブコンのような扉タイプのドアを採用している。こうしたドアの何がいいのかというと、オートキャンプ場での騒音。スライドドアの場合、開閉する度に音が出てしまうため、夜間に近隣から苦情が来ることも多い。そのため、昨今はバンコンなどの車中泊はお断りというキャンプ場もあるのだ。このドアなら、そういった心配は少ない。
インテリアはカトーモーターお得意の、ウッド素材を活かした暖色系となっている。車内は、キャブコンとほぼ同じレイアウト。エントランス正面にはL字形ソファーがあり、これを中心にダイネットが広がる。運転席・助手席を「対面対座加工」というオプションにすれば、さらにダイネットでの着座可能人数を増やし、ソファーの面積を広げることができる。
エントランス右手にはギャレーを設置。ギャレーには電子レンジと40L冷蔵庫が、標準でインストールされている。ちょっとした調理をするには、十分に実用的なサイズと言えるだろう。ただし、より快適に過ごすのであれば、オプションのサイドオーニングを装着して、調理スペースのその下で…というのが理想的かもしれない。
キッチンの前にはマルチルームがあり、その中に衣服や寝具などが収納できる。運転席・助手席上には2000×1400mmのバンクベッドが設置されており、こちらも収納スペースに活用できる。もちろん就寝スペースで使うのが前提だ。
最後部には常設ベッドを設置。1400×1900㎜のベッドは大人2名分の就寝スペースとなる。撮影車両にはエアコンが装備されていて分かりづらいが、そのベッドの上は600×1600mmの子ども用ベッドになっている。
加えて、ダイネットのソファーをベッドに変えると、950×1750mm(対面対座加工込み)の就寝スペースに。合わせて、大人4名+子ども1名が寝られることになる。
ちなみに後部の常設ベッドの下は物置スペースとなっており、基本的にはこちらに旅の荷物などを積むことになるだろう。スペースを上手く活用すれば、ここに子ども用自転車などを積むことも可能だ。
バンコンとキャブコンのいいトコどりをしているDD。このモデルの美点は、やはりゴージャスな室内だろう。さらにバンコンよりも断熱性に優れているため夏も冬も快適で、FFヒーターやエアコンの装備が容易なのが、一般的なバンコンに勝る。さらに2100mm強という室内高は、バンコンではなかなか体感できない。
ちなみに価格は833万300万円〜(税込)。キャブコンと同じ価格帯だが、実質キャブコンと同等の装備なので妥当なプライスと言えるだろう。ハイエースベースの機動力、キャブコン並みの居住空間と装備、そしてバランスの取れた空力性能。ある意味、理想的な1台と言えるかもしれない。
カトーモーターDD
■車両本体価格:833万300円/展示車価格:951万2800円
■ベース車両:トヨタ・ハイエース
■乗車定員/就寝定員:4人/4(1)人
■主要装備:エアコン(デュアル)/給水タンク(20L)/排水タンク(20L)/調理器具(カセット式)/サブバッテリー(100Ah)/外部電源/カーテン/ルーフベンチレーター(給排気)/収納庫
■展示車のオプション装備:リヤヒーター 2万7500円/キャンパー特装 24万2000円/エアコン 63万8000円/リヤ断熱出窓 27万5000円